2017.09.22

適正飲酒量を守ってオトーリはできるのか?

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健康おきなわ21コラボ記事。前編では宮古島観光協会のインタビューをお届けしました。後編では、前編で提唱した「適正飲酒量を守れるオトーリ」の方法を模索するべく、地元の方ご協力のもと実地検証を行いました。

適正飲酒量を守れるオトーリとは

健康おきなわ21 適正飲酒キャンペーンコラボ記事、前篇では『宮古島の人とオトーリの深い関係』と題し、宮古島観光協会の宮古島観光協会の池間専務理事と根間事務局長にお話を伺いました。
宮古島の人が集うお酒の席では必ずといっていいほど行われるオトーリ。ただお酒を飲む以上に、人間関係を円滑にするコミュニケーション・ドリンクとして素晴らしい効果を発揮していることがわかりました。
しかし、お酒はお酒。県が推奨する「節度ある適度な飲酒量」という観点から見れば飲み過ぎです。

ということで後編では、前編で提唱した「適正飲酒量を守れるオトーリ」の方法を模索するべく、宮古島の方々にご協力いただき居酒屋で実地検証を行いました。

今回場所をお借りしたのは市街地にある居酒屋『うまりずま』さん。昔ながらのうちな〜家を再現した懐かしい雰囲気の店内で、伝統的な沖縄料理を始め趣向を凝らした創作料理が食べられるとあって、観光客からも地元客からも支持されている人気の居酒屋です。

そして実地検証にご協力いただいたのは、宮古出身・在住の糸数優子さん、前里修彦さん、上里勝彦さんのお三方。プラスDEEokinawa編集部からmiooonとmycoが参戦で合計5名。多すぎず少なすぎず、オトーリを回すにはちょうど良いぐらいの人数です。まずはめいめい好きなドリンクで乾杯!(※前篇でご紹介したとおり、オトーリは酒席の最初から回すものではありません)

なんと糸数さんはオトーリの免許証とも言える、宮古島オトーリ回士認定証の保持者。宮古観光協会安全飲酒啓蒙部会と沖縄宮オトーリ普及推進協会という団体が発行しているけっこうレアものだそうです。心強いことこの上なし。

自己紹介や宮古島の話などをしつつ程よく杯を重ね、場が温まってきたところでいよいよ本題へ。
今回の企画趣旨を説明しつつ(伝わったのはおそらく半分ぐらい)、実際にここからオトーリを回していきたいと思います。
ルールは2つ。
適正飲酒を守ること。そして、オトーリを楽しむことです。
 

コラボ企画

健康おきなわ21
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この記事は「健康おきなわ21」のタイアップ記事としてお送りします。
沖縄県では適度な飲酒量を推奨しています。また未成年、妊産婦の飲酒は絶対にやめましょう。

節度ある適度な飲酒量とはどれぐらいなのか?

ちなみに節度ある適度な飲酒量とは一日平均純アルコールで約20g程度(女性はその半分の約10g)。
ビールにだと中ジョッキ1杯でアルコール量が18.6g。
チューハイは1.5杯で17.8g。

しまった!オトーリが始まる前にすでに適正飲酒を超えた!

衝撃の事実が発覚してしまったのですが、ここで終わったら宮古島までやって来た意味がなくなってしまうので、いったん最初に飲んでいたアルコールのことは忘れて、ここからオトーリだけで適正飲酒を守る試みをしたいと思います。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい....。

宮古保健所が出しているお酒の適正量を見るとオトーリで一般的に使われる泡盛の水割り(30度を3倍でうすめたもの)で純アルコール量20gの限界は小さめのグラスに氷を入れて3杯弱
す、すくない。本当にこれでオトーリは楽しめるのでしょうか。

コラボ企画

健康おきなわ21
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「節度ある適切な飲酒」の量は1日平均純アルコールで20g程度です。
純アルコール量の求め方は、お酒の度数(%)xお酒の量(ml)x0.8(アルコール比重)/100で求められます。

適正飲酒を守るオトーリ案その1 うずまきサンド

適正飲酒量を守るためには、もうむしろはじめから飲まないという選択肢ではどうなのでしょうか。
前編でもあったように、現在は優しいオトーリ。飲めない人にはお酒をすすめない。烏龍茶のグラスで乾杯するだけでもいいそうなので、お酒でまわさないオトーリもありなはず
ということで取り出した小道具其の壱は・・・

宮古島では定番の菓子パン、うずまきサンド。
お酒を飲まないオトーリですが、やはりなにかしらお酒の代わりになるものが無いとかたちにならないので、みんな大好きうずまきサンドを用意してみました。
(※今回は取材ということで特別に店外からの食べ物持ち込みを許可していただいております。)

オトーリの作法がいまいち理解できていない我々に代わって、まずは上里さんに『親』を務めていただきます。

うずまきサンドを片手にすらすらと口上(こうじょう)を述べる上里さん。聞き手側はおしゃべりをやめ、居住まいを正して親の口上をしっかり聞くのが作法だそうです。そう、たとえそれがうずまきサンドであっても。

口上が終わるとまず親が食べます。泡盛の場合はグラス1杯を飲み干しますが、うずまきサンドを丸ごと1個食べると後がいろいろ大変なので、一口分ちぎったものをグラス1杯分とみなすことにします。

そして親が食べ終わると、メンバーに順番にうずまきサンドが配られます。泡盛の場合と同様、まずはじめに渡された人が食べ切ってから次の人へ、次の人へと順番に回っていきます。

糸数さん


うっ、甘いわ〜。...でも美味しい。

前里さん


これ一口でいくのはけっこう厳しいですね...!口の中の水分もってかれます。

上里さん


グラスが無いと口上のときいつもの調子が出ないなあ。

糸数さん


うずまきサンドって大きいから普段は1つ食べきるのけっこうきついけど、これならみんなで分けあって食べられるからいいかもね!これはアリ!

泡盛の代わりにうずまきサンドを用いれば、いくら食べても酔わないしめちゃくちゃ楽しい!

しかし、よく考えるとまだこれで親1人の1サイクルが終わっただけ。オトーリはこのサイクルを参加者全員が親として行い一巡して終わるので、うずまきサンドオトーリをするとなると、あと親5人分の5個のうずまきサンドを食べることに。無理だわ。お腹がはち切れるわ。
あとお店ではやりづらい、というかそもそも持ち込みがダメな気がします。
イケそうな気もしましたが、この案は却下です。

結論:うずまきサンドオトーリは、適正飲酒は守れるけどお腹が苦しすぎて一巡できそうにない

適正飲酒を守るオトーリ案その2 書記がいる

お酒は楽しくて飲み過ぎてしまうというところがあります。それでは、誰かに見守られながらオトーリを回せば飲みすぎ防止につながるのではないでしょうか。
ということで取り出した小道具其の弐は・・・

メモ帳です。
メンバーの中から一人を書記係として任命し、誰かが酔っ払っておかしなことを言い出さないかつぶさにチェックしていき、少しでも飲み過ぎを感じたらそこで書記係からのストップが入るというわけですね。
しかも、話したこと・聞いたことをうっかり忘れてしまわないという一石二鳥です。

上里さんからバトンが渡り、今回の『親』は糸数さん。これまた流れるような素晴らしい口上です。
...が、このオトーリから約2週間後のこの記事を書いている現在、なにを話していたか内容をまったく覚えていません。いや!なんかいいこと言っていたとは思うのですが!

書記係は上里さんに依頼。通常どおり泡盛でオトーリを回しつつ、適正飲酒量を超えてしまわないかをしっかりチェックしてもらいます。

「どのぐらい入れる?」「あ、半分ぐらいで」
さすがはオトーリ回士認定証保持者の糸数さん、ちゃんと相手に希望の量を確かめて泡盛をついでいます。

そうこうしている間にも真剣な表情で状況をメモしていく上里さん。頼りになります。
糸数さんが親のターンが和やかムードのまま終了。上里さんのメモを見てみましょう。

中盤から"宮古島ズミと言ている"などと日本語が怪しくなっていますが、これは糸数さんのろれつが回らなくなってきたのではなくメモが追いついていないだけです。

上里さん


メモするのが追いつかなくて大変でした。オトーリの口上はいつも「心」で聞くのですが、今日は「耳」で聞いたので楽しめませんでした。


書記係がいることで何杯ぐらい飲んでいるのか把握してもらえ、適正飲酒量を守ることができそうです。
しかし反面、上里さんの言うように書記係に任命された人は全然オトーリを楽しめないという結果に。楽しくなければオトーリを回す意味がないので、これも残念ながら却下です。

結論:書記在中オトーリは、適正飲酒は守れそうだけど書記係が楽しくない

適正飲酒を守るオトーリ案その3 ピッチャーで飲んだ気に

少量でもものすごく飲んだような気分になることができれば、酔うほど飲まなくても楽しめるのではないでしょうか。
ということで取り出した小道具其の参は・・・

ピッチャーです。
宮古ではオトーリを回すときに、毎回グラスで泡盛の水割りを作るのは大変なので、こういった大きなピッチャーに直接泡盛の水割りを作っておき、それをグラスに注ぐというスタイルをとります。今回はこのピッチャーを活用して、豪快に飲んだ気分を味わう作戦です。

僭越ながら今回は私が『親』を勤めさせていただくことに。先のおふたりに習ってたどたどしいながらも口上を述べ、まずは親の私が泡盛を一杯。

ジョッキの何倍もの大きさがあるピッチャーは、持っただけでものすごく豪快に飲んだ気分になれそうです。しかも注ぎ口から直接口に注いで飲めば、他人とグラスを共有しないので衛生的というメリットも。

myco


...ンゴッ!
ゲフン、ガフンッ!

前里さん


・・・アイジャ!(※水分がかかったときに使う宮古島独特の感動詞)

糸数さん


ちょ、無理!お嫁に行けなくなるー!!

myco


(みんなほんの一瞬しか飲んでないのに楽しそう...!これはいけるのでは!)

前里さん


や、これ画的にも道徳的にもダメなやつですよね。

myco


ですよね。

薄々は感づいていましたが、当然却下ですよね。良い子は真似しちゃダメ、絶対。
 

結論:ピッチャーオトーリは、適正飲酒は守れそうだけど全体的にダメ

適正飲酒量でオトーリは回せたのか

というわけで、宮古の人にご協力いただいて実地検証を行いました。

うずまきサンド、書記係、ピッチャー...。
試行錯誤しながら最終的に今回オトーリで飲んだ泡盛は4杯弱。県が推奨する「節度のある適度な飲酒量」は少し超えてしまったのですが、いつもより少ない量で楽しくオトーリを回すことができました。超えてしまった分は、数日アルコールを減らして調整したいと思います。

また、「オトーリ」というシステムが、今回ほぼ初対面だった私たちをまるで旧知の友人であったかのように仲良くさせてくれたことに間違いありません。


塾帰りに寄ってくれた糸数さんの娘クララちゃんも一緒にハイチーズ

まさにオトーリはコミュニケーション・ドリンク!

お酒は悪ではなく、ちゃんと自分の飲酒量を把握してほどほどに飲む、休肝日を設けることなどが大切。
今宵もまた、宮古島のあちらこちらでオトーリが回されることでしょう。
ぜひ、健康おきなわ21のアルコールサイトでしっかり適正飲酒量について学んで、お酒と楽しく付き合いたいですね!
宮古島のオトーリという素晴らしい文化が、適正な飲酒とともに続いていくことを願ってやみません。あっり乾杯!

コラボ企画

健康おきなわ21
健康おきなわ21
健康おきなわ21のコラボ企画にてお届けしました。
沖縄県における「節度ある適度な飲酒量」を知っている人の割合は、全国の5割に対して2~3割にとどまっており、肝疾患の死亡率は男性が全国ワースト、女性が全国ワースト2となっています。
以下の「健康おきなわ21」サイトを参考に、飲酒がもたらす健康影響について正しく理解しましょう。

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