2011.10.17

【沖縄そばの日】木灰そばができるまで

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沖縄そばの麺は何種類かある。今回は戦前によく作られていた木灰そばを取り上げてみようと思う。

10月17日は沖縄そばの日!

本日10月17日は沖縄そばの日です。今では普通に沖縄そばと呼ばれていますね。

しかし、1972年の日本復帰後、そば粉を使用していないのに「そば」と呼ぶのは表示違反であると公正取引委員会からの指摘が。このままでは「沖縄そば」と呼べなくなってしまう危機が訪れました。

今まで呼び続けていた「沖縄そば」が、「沖縄風中華麺」とか「沖縄風うどん」になってしまう!ということで、名称存続運動を始めたのが沖縄製麺共同組合。
組合のみなさんの数々の努力が実り、晴れて1978年10月17日に沖縄そばの名称使用が認められた記念すべき日なのです。

この日は沖縄そばが無料で配られたり、色々なサービスをしている沖縄そば屋も多くあります。

木灰そばとは?

沖縄そばは小麦粉と塩、かん水で作られている。戦前、かん水の代わりに使われていたのが木灰
木灰はガジュマルやデイゴなどの硬い樹木からなら作れるそう。ガジュマルを使う店が多いが、デイゴなどでもできるとは知らなかった。この硬い樹木を燃やしてできたものが木灰。
木灰を水に入れてできた上澄み(灰汁)を、かん水の代わりに使われているものが木灰そばとなる。今では、かん水は簡単に手に入るため木灰を使っている店は少ない。もくはいそばもっかいそばと呼ばれたりもしています。

今回は、木灰そばを作っている「とらや」さんにご協力いただき木灰そばが出来るまでを紹介します。

木灰そば とらや

那覇市赤嶺にある「木灰そば とらや」。

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イオン那覇店の近くにある。

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カウンターやテーブルは手作り!
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揃えられた金城一門の器。器がいいと美味しさが一段と増しますよね。

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店主の屋良さん。

とらやさんは、以前お弁当屋もやっていたそうだ。根強いファンが多いお弁当屋さんだったのだが、そばやとの両立は体力的に厳しいということでお弁当屋はやめてしまったそうです。食べてみたかったなぁ。
今のカウンターは、以前のお弁当の盛りつけスペースだったので、大きめのカウンター。座敷のテーブルも手作り!

麺を作る

お店に入ると「麺場」と書かれた気になる扉がある。
その名のとおり、この中で麺を作っているそうだ。今回は特別に中へ入れてもらうことができた。

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職人のこだわりの場所ですよ。

麺場の中はジワッと汗が出てくるほどの気温。小麦と何かが混ざった香りがする。

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こだわりの小麦粉。

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木灰の灰汁。底に木灰が沈殿している。

これが木灰で作った灰汁。水に灰を入れてできた上澄み液を使って麺を作る。
できれば木灰を作っているところも見たかったが、毎日作っているわけではないので見ることはできなかった。特別なことは何もしていなく、ガジュマルなどの木を灰にすれば良いとのこと。使う水は硬水。軟水だとまとまりが悪く美味しくないそうだ。
強いアルカリ性らしく、皮膚などにつくと荒れてしまう人もいるので、作ってみる人は気をつけましょう。

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つなぐ、伸ばす、切るの3役ができる機械。

基本的なそば作りの工程は普通の沖縄そばと一緒。つなぎにかん水を使うか灰汁を使うかの違いだ。
小麦粉と塩、灰汁を混ぜあわせる。ある程度まとまったら、この機械で伸ばしていく。うどんだと足で踏んだりする作業と一緒だろうか。

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好きな厚さに設定できる。
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一定の厚みに伸ばしたら...

まとまったら生地は少し寝かす。

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設定した幅に麺を切っていく。

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今は使っていない手動の機械。
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小さくてもできることは一緒。

この小さい機械を使ってそば作りの練習をしていたそうです。

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出てきた...!

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とらやでは太さの違う中細麺と平打ち麺の2種類を作っている。

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好きな長さに切りそろえる。

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伸ばす、切るの切り替えはレバーで。釣りのおもりが使われていた。麺場の中は、この他にも屋良さんお手製の道具が。自分の使いやすいように工夫するのは職人ならではですねよぇ。(ちなみに屋良さんは釣り好き)。

調理する

裁断された麺はこの後の工程(企業秘密なので見せられません)を経て調理される。

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薄く色づいている。

かん水を使った麺は黄色くなるそうだ。木灰を使うと少しだけ色付いた麺になる。
使用する樹木によっては、味、色、香りが変わるらしい。デイゴの木灰そばとガジュマルの木灰そばでは味、色、香りがかわるということですね。食べ比べてみたい!

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油を落とすためサッと茹でる。
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10秒くらいで茹で上がり。

沖縄そばには茹で麺と生麺がある。茹で麺はサッと湯通しした麺に油をまぶしたもの。生麺は湯通しも油もまぶしていない素の麺のこと。茹で麺は油がまぶしてあるので、食べる前にサッと湯通しして油を落としながら茹でる。一度湯通ししてあるので茹で上がりは早い。

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ほわっと小麦の香り。

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寸胴の中で肉が茹でられている。
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煮こまれた本ソーキ。お、おいしそう...。

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本ソーキを器に入れて...

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寸胴には出汁が。
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出汁を注ぎ...

沖縄そばの出汁はいろいろありますが、とらやさんではかつお8:豚2の割合。麺の味がよくわかるあっさりしたスープです。

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ほぼかつおだしなので透き通ってます。

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老舗のかまぼこを乗せて
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島ねぎをちらして完成!

木灰そばの出来上がり!

とらやの本ソーキそばの出来上がり!

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とらやではソーキは別皿ででてきます。軟骨トロトロ!

木灰そばは説明のできない独特の香りがする。あっさりした出汁なので麺の味がよくわかる(でも説明できない)。

ソーキが別皿なのはうれしい。初めから乗せてしまうと、出汁の色や味が変わってしまうため別皿。紅しょうがも別に出てきます。デザートで白玉も付いてくる(ちょっとうれしい)。

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メニューは沖縄そばと本ソーキそば。4種類のごはん。

toraya__39.jpgのサムネール画像
黒糖はサービス。
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自家製の漬物。冬はゆず味も楽しめる。

お弁当屋さんだったので、そば以外も美味しい。自家製の漬物は食べ放題(食べ過ぎないでね)。
サイドメニューの4種類のごはんもオススメ。ちきなーじゃこのせごはん、きんぴらゴボウのせごはん、ひじきのせごはん、梅炊きジューシー(梅のジューシーは珍しい!)。

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一番人気は、ちきなーじゃこのせごはん。
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きんぴらゴボウのせごはん。

今日は沖縄そばの日ということで、お昼や夜に沖縄そばを食べる方も多いと思いますが、かん水を使った麺とは違い素朴な味がする木灰そば。普段食べ慣れた沖縄そばと違う麺を食べてみたかったら木灰そばはいかがでしょうか?


大きな地図で見る

自家製麺 木灰そば とらや
那覇市赤嶺1-15-14 金城ビル1F
11:00〜20:00(売り切れ次第終了)
しばらくの間、休まず営業中
 

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