2013.07.12

【大人の社会科見学】沖縄海塩研究所

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16回目の【大人の社会科見学シリーズ】は、沖縄本島からフェリーで2時間の粟国島からお届けします。

みなさんは粟国島に行ったことがありますか?
粟国島は、那覇から西へ約60kmに位置していて、フェリーで約2時間。飛行機だと20分。

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フェリーは一日一往復
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定員9名は日本一旅客数が少ない定期航路

映画「ナビィの恋」の舞台として有名ですが、他の島と比べて、ちょっとマイナーな印象がある粟国島。

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周囲13kmの粟国島。大きすぎず小さすぎず

沖縄本島周辺離島で人気なのは座間味島や渡嘉敷島などの慶良間諸島でしょうか。フェリーの本数も多いので日帰りもできますが、粟国島は1往復しかなく(粟国港停泊時 間が2時間しかない)日帰りするのはちょっと厳しい。往復飛行機なら朝行って夕方に戻れますが、せっかく行くなら何泊かしたほうが楽しめると思います。

さて今回で16回目の【オトナの社会科見学】は粟国島の塩工場に行ってきました。

島の北へ

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集落から北へ自転車で約15分。牧場を抜けると奇抜な建物が見えてきます。

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粟国の塩を製造する(株)沖縄海塩研究所
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事務所で見学受付を

事務所で見学受付をして、いざ塩工場見学へ!

一番の見どころは海水濃縮

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塩を作るのに必要なのはもちろん海水。ポンプで海水を汲み上げて、この建物の中へ通されます。

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壁は穴の開いた花ブロック
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海水を濃縮するタワー。フォントがプリティ

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中に入るとそこは竹林。逆さまに吊るされた竹がビッシリ。

たくさんの枝をつたって流れ落ちる

ブロックの壁から抜けてくる風に触れる面積が増える

海水がゆっくり自然に乾燥し、水分は蒸発

塩分を含む水は下のプールに落ちて再度ポンプで汲み上げられる

また上から流れ落ちてくるという循環

繰り返し

1週間以上かけて塩分濃度を6倍から7倍に上げて「かん水」を作ります。こうして竹を使い、何度も循環させる製法はここの特許。

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竹は4年に一度交換。1万5千本!の竹をくくるので交換には1ヶ月かかるそうです。
ビニール製とかのネットでも効果は同じですが、人の口に入るものを作る以上、人工の素材ではなく自然のもの(竹)を使っています。

濃縮の進み具合は夏と冬で異なり、夏だと10日で3倍のところを冬だと3日で5倍。冬のほうが生産量が多い。これは夏の湿った風より、冬の湿度が少ない北風のほうがが乾燥を早めるため。たしかに沖縄の冬は北風が強いですよね。

煮詰める

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濃縮されてできた「かん水」は煮詰めるため平釜へ運ばれます。

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ガスではなく薪
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薪はパレットや建築廃材も利用されている

濃縮された「かん水」は30時間!かけて、湯気が完全になくなるまで煮詰めていきます。
釜を見守る職人さんは二交代制。薪の具合を調整するのも腕の見せ所。火力を上げようと薪を詰め込みすぎても釜の中が酸欠になりダメ。途中2時間は薪の火を落として休ませるので、その間は釜職人さんも一息付けるそうです。夏は本当に暑い!
 

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奥にある黒っぽい箱に温められた海水が入っている

釜と煙突の間には、次に注がれる「かん水」の水槽があり出番を待っています。これは余熱で温かくなってくれてるように「登り窯」と同じような配置の工夫が。温めず冷たい「かん水」を注入してしまうと全体の温度が下がってしまうため。

アク取り

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表面に浮いているものがアク

煮詰めていくと出てくるのがアク。アクが多いとエグ味が増し、塩の出来に影響がでます。
アクは人体に吸収されないカルシウム(いわゆる石膏)なので、なるべく100%を目指して丁寧に最後までアクを取ります。

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塩に見えるけどアク

そんな悪い事だらけに思えるアクですが、実は廃棄されるのではなくちゃんと再利用されています。
鹿児島や関東(ローム)など火山灰が堆積してできた土地では、土中のカルシウム分が足りないので、このアクが農耕に利用されるのだとか。

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物凄く固い

特に販売はしていないが、要望があれば送料だけ負担してもらえれば送るとのこと。

脱水乾燥

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煮詰まってくると、塩の結晶が表面に浮いてきます。よーく見ると逆三角形の形。これが沈み底に貯まってきたものをすくい取ります。

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すくい取った塩は、そばにある脱水槽(洗濯機のように回るものではなく、底がスノコ状になっている箱)に移され、約2週間(季節で変わる)ほどかけて自然脱水。

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めっちゃ苦そう

スノコでろ過されて出てきたのは「にがり」。脱水されて抜け出た水分は「にがり」なんです。
この「にがり」もボトルで販売されています。

そんなこんなで、海水を濃縮して煮詰めて脱水乾燥して商品になるまで1ヶ月かかって出荷されます。

天日干しも

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薪を燃やした釜炊きで作られた塩以外に、天日干しの塩も作られています。

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温室でかん水を天日で結晶化させる
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結晶化するのは夏で20日、冬で60日ほどかかる

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できあがった塩は脱水槽に移し脱水乾燥。釜炊きとは一味違った塩なんだそう。天候に左右されるため大量生産することができません。貴重な天然塩。

たまには粟国島のことも思い出してあげてください

沖縄にはたくさんの塩が売られていますが、天然と謳っていても海外産の塩が混ざっていたり、人工ろ過、ミネラルなどを添加していたりするものがほとんどなんだそうです。
粟国島の塩のように、純粋に海水から作る塩は少ないらしいです。

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あ ぐ に の しお!

ということで今回は「粟国の塩」を作っている、沖縄海塩研究所からお届けしました。見学するとお土産で「粟国の塩」が頂けます。粟国島へ行くなら見学することをお忘れなく。

見学時間は9時頃から17時頃まで。

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