2013.10.10

ゆいレールのフリー乗車券で琉球泡盛の里を訪ねる旅

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ゆいレールの一日乗車券で首里の4酒造所を巡るスタンプラリー企画。泡盛マイスター仲間と一緒に参加してみました。

今年6月15日から沖縄都市モノレール株式会社(ゆいレール)さんで、【琉球泡盛の里を訪ねる旅!-フリー乗車券でスタンプラリーに挑戦!】という企画が行われていることをご存知の方はいらっしゃるでしょうか。

ゆいレールの一日フリー乗車券を利用して、首里にある四つの酒造所(瑞泉酒造・瑞穂酒造・識名酒造・咲元酒造)を巡るスタンプラリーになっているのです。

スタンプラリーの内容は以下のとおり。

1:下記4か所の各酒造所で、ゆいレールフリー乗車券(有効期限内)をご提示ください。
2:酒造所のオリジナルスタンプを押印いたします。
3:4か所の酒造所のスタンプが集まりましたら、最後に押印した酒造所にて首里蔵元オリジナル「お猪口」をプレゼント
参加酒造所:瑞泉酒造・瑞穂酒造・識名酒造・咲元酒造

一日フリー乗車券は最初の改札通過時刻から24時間有効
駅構内にもポスターが掲示されていました

というわけで、早速泡盛マイスター仲間と共に酒造所を巡ってみることにしました。
古島駅からいざ乗車!
 

瑞穂酒造

市立病院前駅で下車し、まずはじめに訪れたのは首里末吉町にある瑞穂酒造。首里最古の酒造所です。

創業は嘉永元年(1848年)。160年余りの伝統を誇る造り酒屋。その歴史は王家の伝統とともに、育まれ慈しまれてきました。「古酒は沖縄の宝もの」これは瑞穂酒造が大切にしている言葉です。古酒を広めていきたいという願いのもと、覗くことのできる地下タンクも作り、精力的に伝統的な古酒を作り続けています。(パンフレットより)

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ゆいレールからも見えるピンク色の外観が目印。

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案内されたのは「天龍蔵」と名付けられた泡盛蔵。二匹の龍が泡盛のかめを守っています。

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代表銘柄はその名も「瑞穂」。その他に「首里天」「ender(エンダー)」などの銘柄も目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

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この時残念ながら工場が改装の準備中で見学ができないということで、泡盛の製造工程をDVD映像で鑑賞。

各銘柄、試飲OK
秘蔵の古酒も試飲させてもらえるかも...!

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天龍蔵の地下はなんと泡盛の貯蔵庫になっており、全部で38個のタンクが埋まっているそう。地下は年間を通して温度や湿度が一定しているので泡盛を貯蔵するのには最適なのです。
床の蓋を開けると深さ2.5メートルのタイル製のタンク内になみなみと泡盛が!ふわ〜んと漂う芳醇な香りだけで酔えそうです。むしろ溺れたい。

展示されているなかには見たこともないラベルの泡盛も
奥の「いちご」が気になります

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というわけで見学を終え、まずひとつめのスタンプをげっと!

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関係無いですが、天龍蔵に飾られていた招き猫がつるんとして可愛かったです。

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ちなみに瑞穂酒造はかつては首里の鳥堀にあったそうで、現在も鳥堀交差点の近くにその名残を観ることができます。(現在はレストランに建物を貸しているそう。)
 

咲元酒造

再び市立病院前駅からゆいレールに乗り込み、やってきたのは首里駅。
残り三ヶ所の酒造所は近い場所にあるので、ここからは歩いて巡っていきます。

首里の住宅街を歩いていると見えてくるのが咲元酒造
代表銘柄は「咲元」です。

1902年創業、由緒ある泡盛造りを今もなお継承するのが、100年以上の歴史を誇る蔵元の咲元酒造。戦後、二代目社長は、荒廃した首里の地で、死滅したと思われた「黒こうじ」を土の中から探し出し、泡盛の復興、再生に尽力しました。その思いを受け継ぎ、泡盛の原酒をしっかり造ることを理念とし、守り続けております。(パンフレットより)

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歴史を感じるレトロな木の看板と石柱が目印です。

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事務所の壁沿いに、かわいいおとしもの張り紙が。前の道は子どもたちの通学路のようです。

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蔵の中を案内していただきました。

戦後、泡盛の復興に尽力した咲元酒造先代の佐久本政良氏
ちょうどここが黒麹菌のついたニクブク(むしろ)を掘り起こした歴史的な場所だそう

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これが泡盛には欠かせない黒麹菌。咲元酒造の二代目佐久本政良氏の功績が無ければ今の泡盛は無いかもしれないと思うと、とても感慨深いです。

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回転ドラムと呼ばれる装置。ドラム式洗濯機のように回転することで原料のタイ米を洗米し、そのあと蒸し上げます。

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こちらは明日蒸留するというもろみ。少し試飲させていただきましたが、ものすごく酸っぱい!アルコール度数は17度ほどあるのですが、酸味が強いせいかあまりアルコールは感じませんでした。

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そしてこちらは前日に蒸留したてのもの。アルコール度数は50度ほど。濾過をする前なので原料米の油分が浮いているのが分かります。これが蓋の役目をして、その下にある泡盛の蒸発や品質の変化を防ぎ、また熟成にもよい影響を与えるのだそう。香りを嗅いでみると、硫黄のような油のような独特な香り。

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工場の片隅に、咲元酒造の前身である「佐久本酒造場」の看板がひっそりと置かれていました。いつ頃まで使われていたかは不明だそう。

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というわけで、ふたつめのスタンプげっとです。
 

識名酒造

次に訪れたのは識名酒造
代表銘柄は「時雨」。その他「歓」「おつかれさん」などの銘柄があります。
そして、現在沖縄で公表されている中で最も古いとされている泡盛は、ここ識名酒造の先々代が戦後、地中から掘り出したかめの泡盛で、約150年ものの古酒と言われています。150年を超える古酒とは、いったいどんな味わいなのでしょうか。

1918年に首里城近くの赤田町で創業。昔ながらの味の継承に努め、創業当時から造られている看板銘柄の「時雨」は、戦後の沖縄で量り売りが主流だった中、最初に瓶詰めし名前を付けラベルを張って売りだされた泡盛としても知られ、その当時からのかめをモチーフにした古風な絵柄が時代を物語っています。

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酒造所を巡るたびに増えていく荷物(泡盛)...。

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蒸しあがった原料米に黒麹菌を散布するときに用いる三角棚。この日は仕込みの日ではなかったのできれいに洗浄された状態でした。

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タンクの中で絶賛発酵中のもろみ。さかんにプツプツと細かい泡がたち、こうばしい香りがふわりと漂います。

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熟成がおわったもろみを蒸留するための蒸留器。

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ちなみに工場内の壁や天井が真っ黒になっていますが、これは空中を漂う黒麹菌のしわざ。無理やりとってしまうと泡盛の味にも影響してしまうため、どこの酒造所もそのままの状態にしておくのだそうです。

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こちらは冷却タンクの中。水中に見えるらせん状の金属の筒の中を、蒸留器から送り出された蒸気が通り、冷却されることで泡盛の原酒ができあがるのです。

蒸留したての原酒の度数は70〜80度ほど
ということは火も着く!

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工場の片隅で見かけて気になった「エロスの酒」のラベル。いったいなんだろう...(ドキドキ)。

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そしてみっつめスタンプげっと。「時雨」スタンプかわいい!

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ちなみに工場の奥にある住宅の外壁も黒麹菌で黒く染まっていました。恐るべし黒麹菌のパワー。

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と、次の酒造所へ向けて歩いている途中、後ろからバイクの音が。
なんと、案内してくださった方がわざわざ追いかけてきてくれて、カワイイ手作りのふくろうちゃんをおみやげに持たせてくれたのです!最後までやさしい心遣いに思わず泣くかと思いました。
 

瑞泉酒造

そして最後に訪れたのは瑞泉酒造
代表銘柄「瑞泉」に加え、「御酒」「おもろ」「青龍」などの銘柄も知られています。
ちなみに瑞泉酒造の経営者は咲元酒造と親戚筋で、同じ「佐久本」という姓なのだそう。

首里城下で1887年に創業、120年余の歴史を誇る名門の蔵元です。社名の「瑞泉」は首里城瑞泉門のほとりのこんこんと湧き出る泉「瑞泉」の名にあやかり名付けられました。県内唯一、戦前の黒麹菌を復活して作られた「御酒」やくーす(古酒)、各種リキュールなど多彩な商品を作っています。無料でテイスティングできます。

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今回巡ったなかではいちばん大きな酒造所でもあります。

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入ってすぐのギャラリーでは各銘柄が陳列されており、もちろん無料で試飲も可能。

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まずはじめにDVDで酒造所の歴史や泡盛製造工程の説明があります。

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北九州にある卸先の商店で大切に保管されていたという、まだ沖縄が琉球政府だった頃の泡盛の看板。

ガラス越しに製造工程の見学
古酒かめがずらりと並ぶ様は圧巻

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たっぷり試飲させていただき、最後のスタンプもげっと。これで4つ集まりました!

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こちらがスタンプラリーの記念品、首里蔵元会の特製おちょこ。
これで飲む泡盛はさらに美味しく感じそうです。

というわけで酒造所めぐりスタンプラリー、無事コンプリート。
最初は2〜3時間ぐらいで終わるだろうと思っていたのですが、各酒造所じっくり説明をしてくださったりいろいろ試飲させていただいたりで、結局半日ほどかかってしまいました。

大きい酒造所も小さい酒造所もそれぞれの特徴があり、造り手の個性があり、土地風土の影響もあり、それが製品の味わいにつながっているのだと感じました。愛情を注いで、こだわって作られている泡盛。同じ原料と製造工程で作っているにも関わらず、ここまで違いが出るお酒というのも世界的に見ても珍しく貴重なのではないでしょうか。泡盛の深遠なる世界に、さらに一歩足を踏み入れてしまった気持ちです。

おちょこがなくなり次第、このスタンプラリー企画はひとまず終了とのこと。
是非みなさんも参加されてみてはいかがでしょうか。

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