2015.07.13

宮古島から麻姑山書房がやってきた

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最近DEEokinawaの事務所近くの住宅街に開店した『麻姑山書房』。もとは宮古島にあった、知る人ぞ知る古書店なのです。

住宅街に現れた「本」の文字

先日、事務所近くの住宅街を歩いていたときのこと。
見慣れぬ「」という大きな赤い文字を掲げた一軒の家が目に入ってきました。

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『麻姑山書房』という味のある看板が
"かたずけながら営業しています"という一文も

一見するとごく普通の住宅なのですが、表の看板に『麻姑山(まこさん)書房』と書かれており古書店ということが分かります。
かたずけながら、という状況から察するに最近開店したばかりなのでしょうか。
はて、新規開店にしては看板にずいぶん年季が入っているような?

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沖縄本や児童本、美術・画集、辞典、小説などなど、あらゆるジャンルの本を取り揃えているようです。
赤川次郎に関してはオール百円という安さ!

中の様子が見えないのでドアを開けるのに少し緊張してしまいますが、営業中の張り紙を頼りに中に入ってみましょう。
 

そこは、めくるめく本の森

中に入るとすぐ目に飛び込んでくる 本、本、本。

右を見ても左を見ても上を見ても下を見ても、足元から天井までとにかく圧倒的な数の本です。
いったいここに何万冊あるのでしょうか...。

独特の版画が印象的な儀間比呂志さんの絵本も
玄関脇の和室には郷土書がずらり
年月を経て飴色になった文庫本たち
奥には陳列を待つ本たちが

外見から想像するよりもはるかに室内は広く、奥まで本棚がぎっしりと並んでいました。
ぐるりと全身を本に囲まれて歩いていると、まるで本の森に迷い込んだかのようです。
 

宮古島からやってきた古書店『麻姑山書房』

お店の方にお話を伺いました。

こちらの『麻姑山書房』さんは、もともと宮古島で30年営業されていた古書店とのこと。
なんでも宮古島の店舗が道路拡張工事のため立ち退かなければならなくなってしまい、工事後の土地で引き続き営業することも考えたそうですが、今後のことも考えて今年3月に那覇に移って来られ、翌4月から片付けながらの営業を再開されたとのことでした。

お客さんには「宮古島と同じ看板を出しているから、それを目印に来てください」とだけ伝え、特に宣伝などは行っていないそうです。

現在なんと20万冊超(!)の蔵書があるとのことでしたが、まだ全ては宮古島から運び込めておらず、文庫本や学術書から優先して持って来ているそうです。この本棚もすべて宮古島から持ってきたものだというので驚きです。いったいコンテナ何台分になるのでしょうね...。

店主の田中さんは以前京都で働いていたそうですが、地元である宮古島に戻ることになったときに古書店を開店。
『麻姑山書房』という店名の由来を伺うと、昔中国では宮古諸島のことを「太平山(たいへいざん)」や「麻姑山(まこさん)」と呼んでいた時代があり(海から見た島影を山並みに例えたのではないか)、じゃあ宮古島の本屋ということで『麻姑山書房』と名づけたのだそうです。
ちなみに「元々つけたかった名前は、調べてみたらぜんぶ既に使われててね。」と苦笑いしておられました。

こちらの古書の仕入れは、田中さんが京都時代に馴染みだった古書店から送ってもらっているものが主だそう。開店当初からなので、かれこれ30年以上!
沖縄の郷土書に関しては一般からの持ち込みが多いそうです。宮古島関連をはじめ、郷土書コーナーもかなり充実していました。


玄関を入って正面に掲げられたこちらの味のある柱時計は35年前にご友人から贈られたもの。
本の森に絶妙に溶け込んで穏やかな時を刻んでいます。

実は宮古島の店舗ではその独特の外観から、店にとって不本意なお客さんが来店し困ることもたびたびあったそう。
田中さんと一緒にお店に立つ奥様は、「純粋に本が好きな人をはじめ、近所の子どもたちにもたくさん来てほしいです。」とおっしゃっていました。

「今の子どもたちは昔に比べ、本を手にする機会が減っているのではと感じます。たくさんの本に触れる場を提供したい、という願いもあるんです。」

子どもたちが手に取りやすい場所に児童書コーナーがありました
実は大切な収入源となるオトナの本は、子どもたちの手の届かない上のほうに

田中さん曰く「年齢のこともあるので、向こう10年の営業予定」とのことでしたが、これからこの地域になくてはならない存在の古書店になりそうですね。
記事のネタが思いつかないときのDEEokinawaメンバーの駆け込み寺にもなりそうな予感です...!
 

一期一会の本との出逢いを楽しもう

改めて店内を見回すと、思わず手に取りたくなる本がいっぱい。

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先日の記事『[昔のこども遊び] サンサーン捕り』で参考にした本もこちらで購入したもの。

1995年1月発行のボーダーインク『ワンダー
強烈なインパクトの表紙『NICE DAY 365
『りぼん懐かしすぎてむせび泣くかと思いました
『高等学校 琉球・沖縄史学習ノート』なんてのも

気がつけばあっという間に時間が過ぎていました。
インターネット全盛のこの時代ですが、やはり実際に手にとれる本との出逢いっていいなあと改めて感じました。
本好きの方も最近本読んでないなあという方も、是非『麻姑山書房』の本の森で迷ってみてくださいね!

麻姑山書房

〒902-0061
沖縄県那覇市古島2-7-4
098-885-9612
営業時間:9:00〜21:00(12:00〜14:00は昼休み)
定休日:木曜日

*営業時間、定休日については2016年5月現在の情報です。

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