ナチョーラーシンジはどんな味なのか

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ナチョーラーという海藻をご存じだろうか。その昔の沖縄では虫下しとしてその煎じ汁が飲まれていたらしい。というわけでナチョーラーを煎じて飲んでみた。

海の薬草「ナチョーラー」

皆様は「ナチョーラー」という海藻をご存じでしょうか。ナチョーラーは「海人草(カイニンソウ)」とも呼ばれ、その昔沖縄では虫下しの薬として使われていたのだそうです。


虫下しっていうとこれを思い出しますよね。僕は2回引っかかったことあります。

海藻で虫下しというと民間療法レベルの話っぽいですが、昔の文献には

海人草は仙薬じみた異臭がありますが、古来海人草が保健上重大な役割りをしているのは周知のことであります。不老長毒の秘薬として、愛用欠かさぬものであり、伊江男爵の曾祖父伊江王子の様に九十才の長寿を保たれたといわれます。朝晩なちようら湯を一杯づつ飲みましたら長寿法にもなると尚順男は云われていました。ナチョウラは古来虫下しの特効薬として貴重なものであります。
昔は年一回、全島民が五月十五日の春夏の境にナチョウラ・デーの日を定めて行なわれたそうです。

『琉球料理』月刊沖縄社 1966年 田島清郷著

と書かれており、沖縄県内では広く虫下しとして利用されていたようです。別の文献資料でも

両親とも小学校時代、夏休み前に飲まされた記憶があるから、少なくとも大正年間から虫下しとして使われている。シンメーナービ(大鍋)でぐつぐつ煎じたものをヤカンに移し、先生が生徒一人ひとりに、茶碗一杯ずつ飲ませた。ナチョーラもほかの海藻のように、煎じるとどろどろと溶けてしまう。臭くて飲みにくいので、鍋に黒砂糖を混ぜたり、飲んだあとに黒砂糖をくれるところもあったようだ。

『ありんくりんぬちぐすい 沖縄の自然を味わう』週間レキオ社 2002年 金城勇徳著

ということで学校でも駆虫のためにナチョーラーを煎じた汁を生徒に飲ませていたという記載が見つかります。

それにしても「仙薬じみた異臭」だの「臭くて飲みにくい」だの散々な言われようですがこのナチョーラーの煎じ汁、いったいどんな味なんでしょうか。気になったので実際にナチョーラーシンジ(海人草の煎じ汁)を作って飲んでみたいと思います。

 

ナチョーラーを求めて

さて、ここまでナチョーラーの写真が全然出てきておりませんがしばしお待ちください。

ナチョーラを探しに海に行こうとも思ったのですが、那覇市の公設市場あたりで乾物で販売されているという情報を見つけてやってきました。


乾燥アーサの隣とかに置いてました

普段気にとめてなかったので全然気づかなかったのですが、乾物屋さんや健康食品店などに結構な確率でナチョーラは並んでいます。衛生状態も良くなった昨今において、ナチョーラの需要がどこにあるのか不明だったのですがお店の方曰く「虫下しだけじゃなく、身体の掃除になる」みたいな事をおっしゃっていました。

ついでにお店で調理法も聞いてきました。

 

ナチョーラーシンジを作ろう


沖縄県産 海人草 500円くらいだった

というわけで買ってきましたナチョーラー。

袋から取り出した姿がこちらです。こうやって写真で見てみると薬草茶みたいなビジュアルですが、よく見るとびっしりと細かい毛みたいなものが生えていて蜘蛛の足みたいです。ちょっと怖い。

では早速、さっきのお店人に教えてもらったやり方でナチョーラーシンジを作ってみましょう。


干す前にもっと砂とか落として欲しかった…

まずはたっぷりの水でナチョーラーを洗います。販売されていたナチョーラにはかなり砂だったり汚れだったりがついていたので、何度も水を替えつつ海藻を洗います。

続いて、水をたっぷり入れて火にかけます。沖縄でシンジ(煎じ汁)というと、水から素材を入れて煮出すことが多い気がします(ターイユシンジはどんな味なのか)。この時点で潮の匂いというか、カラカラに干からびたカニが発する匂いというか、身を食べた後放置された貝殻の匂いというかなんかすごい匂いが立ちこめ始めました。

小一時間煮詰めたナチョーラーが上の写真です。カニみそみたいな色に、磯臭さもすごくなってきてひょっとしたら間違えてカニみそを煮てるんじゃないのかくらいの感じになってきました。

中の海藻はどうなっているかというと、細かいヒゲ部分は溶けてしまいましたが、太い茎部分は残っています。最初の方の文献では「煮るとドロドロに溶けてしまう」と書いてあるのですが、乾燥ものだと結構時間がかかりそうです。

ナチョーラーを買ったお店の人によれば、使うのは煮出した汁のみ。海藻本体は「成分が強すぎる」ので少量食べる程度がよいとのことでした。

 

ナチョーラーシンジの味を確かめる

というわけでこれが正解か分かりませんが、とりあえずナチョーラーシンジが完成いたしました。

怪しい色
泥水みたいになった

見た目は泥水というか、なんか魔界の飲み物みたいなビジュアルに。

文献ではマズイと強調されてましたが、実際どうなのか。飲んでみたいと思います。

まずは匂い。これは先ほどから事務所に漂っている強烈な磯のかほりが鼻を突き抜けます。これが文献に書かれてている「仙薬じみた異臭」ということでしょうか。ありていに言えば臭いです。

ドキドキしながら味を確かめてみます。

……!

あれ…?普通にうまい?

確かに匂いは臭いのですが、昆布出汁のような海藻のうまみが溶け出しており、苦いとか飲みにくいということはない気がします。ちょっと独特な風味はありますが。

文献では飲みにくいので黒糖と一緒に、みたいなことも書かれていたので黒糖と飲んでみましたが、甘い昆布出汁みたいになったので、逆にこっちの方が好き嫌いが分かれる気がします。

ついでに鍋に残っていたナチョーラーも食べてみましたが、

こっちはうまみも歯ごたえも残っていない、なんかフガフガした物体でした。

というわけで本日はナチョーラーを煎じて飲んでみるというお話でしたが、いかがでしたでしょうか。聞くところによれば沖縄だとあひる汁にナチューラーが入っていることがあるようです。こちらは今度追加取材で食べてみたいと思います。

効用については現在僕のお腹にはぎょう中が居ないので不明ですが、とりあえずお腹を壊すことなく、健やかに過ごしております。

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