2016.09.14

「ふちゃぎ」に似た餅とはどんなものか

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沖縄では旧暦8月15日(十五夜)に綱引きや獅子舞など様々な行事が各地で行われる。 この日に供える「ふちゃぎ」に似た餅があるという。いったいどんなものなのか。

明日は旧暦8月15日。中秋の名月、十五夜です。
お月見といえば満月のイメージがありますが、実際は1日2日ずれることが多いそうです。今年は17日が満月なので2日早いですね。

さて、沖縄で旧暦8月15日といえば五穀豊穣を願った行事があり、糸満大綱挽のほか各地で綱引きや獅子舞などなどが行われます。
この日はヒヌカン(火の神様)や仏壇に「ふちゃぎ」を供えます。

ふちゃぎといえば何といっても見た目のインパクト。パッと見は甘そうな感じがするけど、食べてみると甘くないギャップ(最近は甘く味付けされたのも増えてきた)。
それゆえDEEokinawaでも何度か取り上げどうにかしようとしたこともありました。

ふちゃぎを進化させてみる
ふちゃぎを進化させてみる vol.2
もしかして、ふちゃぎの餅を変えてみたらどうなのか

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初めて見た時の衝撃は薄れ、もう見慣れた

 

それでは、これは何でしょうか?

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そう、ふちゃぎ。
餅にびっしりとついた豆。沖縄県民からみれば完全に「ふちゃぎ」そのもの。

でもこれはふちゃぎではなく、ささげ餅(ささぎ)というもの。ささげ餅は、石川・富山・福井の北陸3県で食べられているというお餅。

今回はこの「ささげ餅」と「ふちゃぎ」が似ているというお話です。

 

ささげ餅を探しに

ということでやってまいりました。北陸は金沢です。
沖縄からはJTAが、金沢に最寄りの小松空港まで毎日1往復運航しています。

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近江町市場。朝7時からやっている回転寿司がとても美味しかったです

ささげ餅のシーズンになると、コンビニやスーパーでも売られているそうですが、残念ながら見つけることはできませんでした。
困ったときは市場に行けばなんでもあるだろうと思い、金沢の台所「近江町市場」へ。

売っているものは違えど、牧志公設市場周辺の雰囲気にどことなく似ています。似たようなものも売っていたからでしょうか。

sasagemochi_05.jpgのサムネール画像
沖縄ではハンダマ。こちらでは金時草
sasagemochi_07.jpgのサムネール画像
菓子パンのように売られている車麩。ちょっと高級

市場の人に聞いたりして探し歩いていると見つけました。ささげ餅の文字を...!

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ふちゃぎが店頭に並ぶのは、主に十五夜の前後数日(通年売っているところもありますが)。

ささげ餅は、7月から9月までの夏限定。お店の人に聞くと行事物ではなく、豆が採れる時季のみに作られているのだとか。土用餅として土用の丑の日に食べる習慣があるそうです。冬に買いに来てガッカリする観光客もいるのだとか。

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ふちゃぎにしか見えない

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近江町市場の2軒でささげ餅を買うことができました。家の近所で売っていたふちゃぎと比べてみましょう。

 

比べてみる

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1軒目で買ったささげ餅。152円。

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2軒目で買ったささげ餅。120円。

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家の近所で売っていたふちゃぎ。122円。

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ささげ・ささげ・ふちゃぎ

ささげ餅とふちゃぎ。似ていますが並べてると違いがわかります。

ささげ餅は、もち米をついたいわゆる餅です。ふちゃぎは「ふちゃぎ餅」ともいいますが、こちらは餅粉をこねて蒸したもの。なので正確には餅ではなく団子。食感はモチモチ感と歯切れの違いがあります。どちらも餅自体に味は付いていません。

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ささげ・小豆
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ささげ・小豆

次に豆の色と大きさの違い。
ささげ餅は茶色っぽい大粒の豆。ささげの中にある「ささげ豆」を使っています。
ふちゃぎは紅色っぽい豆で小粒。小豆を使っています。

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市場で売っていたささげ。上に見えるのは冬瓜ではなくきゅうり

sasagemochi_18.jpgささげ。フーロー豆っぽいです
 
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割ってみると緑の豆と茶色くなった豆
 

小豆ではなくささげが使われているのは、小豆は煮たら皮が破れやすく「腹切れしてしまう豆は切腹に通じてしまう」という理由からなのだとか。
たしかに小豆と比べると、ささげ豆はかなりしっかりした歯ごたえで実が詰まっている感じ(ちょっとチーチーカーカーします)。
味付けはどちらも塩茹でしただけでほんのり塩味。

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沖縄で売られているフーロー豆。ささげとよく似ているのは同じササゲ属だから。別名は、十六ささげや、長ささげ、大角豆など。
ふちゃぎで使われている小豆もささげ属です。
また宮古島で栽培されている黒小豆も同じくささげ属。宮古島のふちゃぎは黒小豆が使われるものがあったりします。

 

ささげ餅とふちゃぎは似てた

ささげ餅とふちゃぎ、違いをまとめると、ささげ豆と小豆の違い。餅と餅粉の違い。夏限定と十五夜。豆の味の違いはあるけど塩味でほぼ一緒。
微妙に違うところがありますが、かなり近いものではないでしょうか。というかほとんど一緒なんだと思います。
日本全国を探せばこのような似たものがまだまだありそうですね。

一緒といえばこの野菜。

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金時草のたくましさに驚き、ハンダマと食べ比べたくて買って帰りました。
左の大きなものが金時草。右が沖縄のハンダマ。別の種類なんじゃないかと思うくらい違う。八百屋のおっちゃんに聞くと金沢では金時草を生で食べることはないそうです。ハンダマのほうが柔らかく生でも食べられます。

もしかしたら山口よりも金沢のほうが近いのかもしれません。

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