2014.05.07

沖縄のバヤリースオレンジは、なぜ色が濃いのか?

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みなさんは、ご存知でしたか?沖縄で売られているバヤリースオレンジと、日本本土で売られているバヤリースオレンジを比べてみると、色も味もパッケージも、ぜんぜん違うんです!

日本には、2種類のバヤリースオレンジが存在する!?

私が去年の年末に、神戸に行った時のこと。
那覇空港で買ったバヤリースオレンジを片手に、神戸のコンビニに立ち寄りました。


那覇空港で購入した、バヤリースオレンジ。
このパッケージと、この色。見慣れたバヤリースオレンジですね。

すると・・・

手に持ってるバヤリースオレンジとは、似ても似つかないパッケージのバヤリースオレンジが、売店に並んでいるではありませんか!!


こちらが、神戸で購入したバヤリースオレンジ。

色もパッケージも、沖縄のと全然違う!!
もはや、バヤリースオレンジを名乗る別の飲み物と言っても、過言ではない!?

すぐさまこのバヤリースオレンジを購入し、沖縄に持って帰ることにしました。

それが、昨年末の出来事。
衝撃的でした。
沖縄では、ダウンタウンの「笑ってはいけない」シリーズが、大晦日にテレビで放送されないのと同じぐらいに!!

 

二種類のバヤリースオレンジを、徹底比較する!!

あらためて沖縄に帰ってきてから、パッケージをじっくり見比べてみました。

やっぱり、面白いぐらい違いがありすぎる。
以下、写真で説明していきましょう。

パッケージも、飲料の色も違う。

この2本のバヤリースオレンジを並べて、記念撮影。
もはや説明は不要。見た目が違いすぎる。。

沖縄のバヤリース
本土のバヤリース

内容量が違う。

沖縄のは、500ml
本土のは、450ml

そして、ちょっと気になる説明書きが・・・

当社のバヤリースオレンジは、沖縄限定販売です。

ん?当社の?
ということは・・・

 

製造している会社が違った!!

製造会社が違う。

沖縄のは、沖縄バヤリースさん
本土のは、アサヒ飲料さん

さらには、果汁の%も違う。

沖縄のは、果汁10%
本土のは、果汁20%

さらに細かく見ていくと、
成分(100mlあたり)が、沖縄のはナトリウム2mgに対して、本土のはナトリウム0mgとか。
沖縄のは、エネルギー44kcalに対して、本土のはエネルギー46kcalとか・・・。

ただ、こんなことを記事にしても、超つまらない文章になることウケアイなので、このへんでやめます。

とにかく、同じバヤリースを名乗って大丈夫なのか!?と心配になるぐらい、違いがありすぎるのです。

なぜ同じバヤリースオレンジを名乗りながら、沖縄と本土でこんなにも内容が違ってしまったのか。
その答えを求めて、沖縄バヤリースさんへ突撃取材してきました!!

製造元に聞くって、なんて安直な・・・、とか言うな!

 

沖縄バヤリースさんに聞いてみる。

「沖縄バヤリースはコチラ」的な看板。沖縄特有のコンクリート直書き。
なにやら歴史を感じます。

沖縄バヤリースさんの本社。
本社前の自動販売機が、UCCさんとアサヒさんなのが、とても気になる・・・。

沖縄バヤリースさんの担当の方。

株式会社 沖縄バヤリース
総務部 企画課長
大城あさ子 さん

顔出しはNGということで、お名前と役職だけをご紹介。
沖縄バヤリースさんの応接室で、話を伺いました。


応接室では、お茶の代わりにバヤリースオレンジが出てきました!!


応接室には、沖縄バヤリースのほぼ全商品が展示されています!!

 

いまバヤリースが売られているのは、日本とタイだけ!?

- 今日はよろしくお願いします。まずは沖縄バヤリースさんの歴史を、簡単に教えてください。

沖縄バヤリースの元々の出発は、戦後のアメリカ統治下で、アメリカの資本で、カリフォルニア・バヤリース・オレンジ・オキナワ(のちにアメリカンボトリングに社名変更)という会社が立ち上げられたことに始まります。

その会社が、アメリカのゼネラルフーヅ社と、バヤリースのブランド商標権のライセンス契約をしたのが、沖縄でバヤリースオレンジが販売される始まりです。


発売当時の、バヤリースオレンジの瓶。応接室に展示されていました。

- 最初はアメリカ資本だったんですね。

より詳しく言うと、アメリカと香港の資本です。
この会社の創業者は、香港でもバヤリースの商売をしていたと聞いています。
また、タイでは、沖縄とは別の事業家がバヤリースの商売をしていたそうです。

- ということは、戦後まもなくの時期は、アメリカ・日本・沖縄(アメリカ統治下)・香港・タイで、バヤリースオレンジが販売されていたんですね!

そう聞いています。

- いまもそれらの国で、バヤリースは販売されているのですか?

いえ。
今でもバヤリースを販売しているのは、日本とタイだけだと思います
アメリカも香港も、もうバヤリースは販売されていません。

 

沖縄バヤリースの誕生秘話

- 外資の前身会社から、沖縄バヤリースになった経緯は?

沖縄が日本に復帰することになり、先行きが不透明だという理由で、外国人経営者が会社を解散する方針を打ち出したそうです。

ですが、このままでは仕事がなくなると危惧した従業員の有志が、経営者から営業権を買い取って、沖縄バヤリースを設立しました
その当時の中心人物が、現在の沖縄バヤリースの会長である安里です。

- なるほど。沖縄では、それほどバヤリースのブランドが定着していたんですね。

そうですね。
まだまだ沖縄でバヤリースオレンジは売れる、という判断だったのだと思います。


バヤリースオレンジの瓶の変遷。これも応接室に展示してあります!

 

バヤリースオレンジが二種類ある理由。

- それでは、そろそろ本題なのですが。まず、沖縄バヤリースとアサヒ飲料さんの関係は?

沖縄バヤリースの前身が設立されたのとほぼ同時期に、日本本土ではアサヒ飲料さんが、バヤリースの事業を始められたそうです。
アメリカ統治下の沖縄と日本本土とは、それぞれが別の国という扱いで、独立した営業範囲を持っていました。

アサヒ飲料さんの営業範囲は、当時の日本の領土全域で、
沖縄バヤリースの前身会社の営業範囲は、アメリカ統治下である沖縄全域です。

- 本土と沖縄では、営業権を含む大元のライセンスが別だったんですね!

同じブランドの商品ではありますが、違う会社がそれぞれに製造しますので、もともと、使用する原料や工程も違っていたということですね。
それに加え、本土と復帰前の沖縄では、オレンジ果汁の輸入条件が違っていました。
日本では、1992年まではオレンジ果汁の輸入には制限があり、オレンジ果汁は今よりも価格が高かったそうですが、復帰前の沖縄では、輸入制限は適用されていなかったとのことです。

当社は復帰以前に設立され、復帰後もその営業範囲を引き継ぎ、オレンジ果汁の輸入についても変わらず継続することが出来たので、ずっと同じ工程でバヤリースオレンジを作り続けてきました。

また、本土と沖縄では気候が違いますので、消費者が好む味も違っているのではないでしょうか?

ですから、日本本土と沖縄のバヤリースとは、偶然同じブランドというだけで、別の環境で育ってきた商品と考えてもらってよいと思います。


アサヒ飲料さんのバヤリースには、このような記載が・・・。
沖縄のバヤリースとの違いなのでしょうか?

- なるほど。ライセンスが違い、果汁も違うと。それで、同じバヤリースでも、まったく違う商品になったんですね。

そうですね。
別の環境で育った商品なのですが、オリジナルのアメリカのバヤリースの味に近いのは、沖縄バヤリースの方だと言えるのではないでしょうか。
パッケージのラベルも、昔から変えていません。

 

日本本土では買えない!?沖縄のバヤリースオレンジ。

- 先ほどの営業範囲の話に戻りますが。沖縄のバヤリースオレンジは、本土で買うことは出来るのでしょうか?

残念ながら、沖縄のバヤリースオレンジは、日本本土で買うことはできません。
本土からの問合せは多いのですが、通販でも、本土のわしたショップでも、沖縄のバヤリースオレンジは販売していません。
なので、沖縄でバヤリースを買って、日本本土へのお土産として持って帰っていただければ嬉しいです(笑)


本土へ行く時は、沖縄のバヤリースをぜひおみやげに!!

 

意外な売れ筋商品!? 売上ベスト5を教えてもらう。

- 沖縄バヤリースさんでの、売れ筋商品ベスト5を教えてください。

ベスト5ですか・・・
そうですね。

じゃあ、順番に商品を並べてみますね。
1位はやっぱりバヤリースオレンジで、ベスト5はこんな感じですね。


写真左から、ベスト5です。

1位:バヤリースオレンジ(清明などのイベントでも、定番として飲まれます。)
2位:シークヮサー入り四季柑100(シークヮサーは根強い人気があります。サンエーさんなどの量販店でよく売れています)
3位:シークヮサー入り四季柑10(10%より100%の方が売れています)
4位:グァバ20(観光客だけでなく、地元沖縄の方にもよく飲まれています)
5位:アセロラ100(隠れた人気を誇ります。美容系のライターや編集者の方に、よく雑誌などで取り上げていただきます。)

- 逆に、商品として出したけど、売れなかったなーというものがあれば、教えてもらえますか。

まず、バヤリースオレンジのカロリーオフ。
カロリーをカットするために甘味料が変わりました。それで味が変わったのが、受け入れられなかったのかも知れません。。
私は個人的には、この甘味料の味が好きでした。口の中に甘味が残る、くせになる味でしたよ。
いまは、残念ながら発売されていません。

あとは、クリームソーダのカロリーオフです。
理由は同じような感じですね。

 

最後に、二種類のバヤリースオレンジの、味の違いを検証する。

- では、最後にお願いなのですが。二種類のバヤリースオレンジを飲み比べて、味がどう違うのかのコメントをお願いできますか?


見事に違う、飲料の色。

まず、色が違って、それから匂いも・・・
(匂いをかぎながら)あれ? え?? これって賞味期限はいつまでですか??

- え??えーと・・・2014年の2月21日ですね。・・・ん?2月????

2月で切れてますね・・・。
匂いがおかしいです。
これは、もう飲んじゃダメですね。。


大事なとこで痛恨のミス。もう4月なのに賞味期限は2月!!

 

担当者の優しさと、放心状態の私

- そ、そうか、昨年末に買ったやつだから・・・賞味期限が切れて・・・

あ、あの、沖縄のバヤリースオレンジの賞味期限は、6ヶ月なんです。
オレンジは、他の果汁に比べて賞味期限が短いんですよ。
だから、アサヒさんもそうなのかも・・・。
そんなの気が付きませんよね(優しいフォロー)

- そうなんですか。。(放心状態で、人の話を聞いていない・・・。)

(一口飲んで)でもでも、アサヒさんのは自然な味で、沖縄のは、ザ・アメリカンな味ですよね!!
賞味期限が切れてても、なんとなく分かりますね(優しいフォロー)

- そうですか。。(放心状態で、ほぼ聞こえていない)

 

このあと、気まずい思いをしながら、そそくさと沖縄バヤリースさんを退散。

本当にすみません。
そして、ありがとうございました。

大城さんの優しさに、感謝感謝です!!

なぜ、沖縄のバヤリースオレンジの色は濃いのか?

肝心の、その答えをまとめると。

沖縄バヤリースさんとアサヒ飲料さんでは、元々のブランド商標権の先が違い、営業権も違う。
また、当時の果汁の輸入制限の問題から、果汁の調達先も違う。
なので、同じバヤリースを名乗りながらも、違う飲み物みたいになった、ということのようです。

ぜひみなさんも、本土に行かれる際には、沖縄でしか手に入らないバヤリースオレンジをおみやげに!
そして、この記事の内容をみやげ話にしていただければ嬉しいです。

ただ、賞味期限のとこは、ぜひ記憶から削除していただければ・・・。


2014年7月26日。これなら大丈夫! 賞味期限の記憶は、これとすり替えましょう! 

沖縄では、清明の定番の飲み物としてもバヤリースオレンジが活躍しているようです。。
それだけ沖縄に定着しているバヤリースオレンジを、これからも飲み続けていきましょうね!

・・・これだけ褒めたので、なんとか賞味期限のことは忘れていただけないでしょうか?(笑)

株式会社 沖縄バヤリース
沖縄県南城市大里字古堅1208
TEL:098-945-3381
http://www.okinawa-bireleys.co.jp/

 

注意:
2014年4月3日に、沖縄バヤリースの営業権とブランド商標権が2015年1月からアサヒオリオンカルピス飲料に譲渡されるというニュースが発表されました。
ただし、この記事は、その発表がある前におこなった取材が元になっております。ご了承ください。

 

ゲストライター

ゲストライター写真:manabu
manabu
寒いのがイヤ。という理由だけで、暖かい沖縄に移り住んで約2年。
趣味は、甘いものを食べること。
特技は、コップ1杯のお酒で酔っぱらい、どこでも寝ちゃうこと。
今後はDEEではあまり取り上げられない、スポーツネタを記事にしようと画策中。
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