国頭村安波の泡盛愛を確かめる

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国頭村安波では特定の泡盛の銘柄しか飲まないらしい(しかも沖縄県南部)。一体どういうことなのか話を聞いてきた。

皆さんは国頭村安波(あは)がどこにあるかご存じでしょうか。

沖縄県の東海岸側で、東村と国頭村の境目にある集落になります。この安波集落について次のようなメールを頂きました(メールを頂いた三宅様ありがとうございます!)。

国頭村の安波の方々は、昔の南部との交易の名残で泡盛は「まさひろ」しか飲まないというのは有名な話で、実際に共同店でもまさひろばかり並んでいた記憶がありますが、実際にどれほどのもんなのか、地元の方々がどんな気持ちで日々ひたすらまさひろを飲んでいるのかキチンと確かめて頂けないでしょうか。

「まさひろ」はまさひろ酒造(旧:株式会社比嘉酒造)が作っている泡盛の銘柄で三代目の比嘉昌廣(しょうこう)さんの名前を読み替えてネーミングされたものだそうですが、国頭村安波の人は泡盛「まさひろ」しか飲まないこれがどんなにすごいことかピンと来ない方もいらっしゃると思うのですが、国頭村安波集落と泡盛「まさひろ」を作っているまさひろ酒造(旧:株式会社比嘉酒造)の位置を見て頂ければ分かるのではないでしょうか。

安波集落は国頭村、まさひろ酒造は糸満市と沖縄本島の北端と南端の市町村なわけです。そんな中でまさひろしか飲まない、そんなことがあるのでしょうか。調べてきました。

 

まずは情報を集めてみる

さっそく、国頭村安波に行きたいところなんですが国頭村安波は自宅から自宅から2時間程度。かなり遠いのでまずは安波とまさひろの関係について調べてみます。まぁそんなピンポイントな情報なんてあるわけが…と思ったんですが

『仲村征幸の泡盛よもやま話』 77p
『仲村征幸の泡盛よもやま話』 78p

ありました。ピンポイントな情報。

まさひろと安波集落について記述されているのは中村征幸さんが書いている『仲村征幸の泡盛よもやま話』という本。仲村征幸さんといえばまだ泡盛が市民権を得てなかったころから泡盛を盛り立てるために「醸界飲料新聞」を発刊して泡盛の普及に尽力した御仁です。

書かれている内容によればその昔「与那原の港からマーラン船(別名山原船)に揺られて遠く国頭、東、大宜味の各村々を廻り泡盛"まさひろ"は卸されていたという」ということで交易の関係でまさひろが安波では飲まれるようになったということが書かれています。著者は1971年に実際に安波に取材に行って「まさひろ以外は絶対飲まない」という話を集落の人から聞き取りしており、2005年の記事でも共同売店に電話して未だにまさひろしか飲んでいないという実体を報告しています。

この報告が2005年。確かに安波集落の人はまさひろしか飲まない記述がありましたが、11年後の2016年。安波集落の人々はまだまさひろしか飲んでないのでしょうか。前置きが長くなりましたが、安波に行ってみましょう。

 

国頭村安波へ

というわけでやってきたぜ国頭村安波。

安波集落は冒頭でも説明しましたが、東海岸側に位置する集落なのですが

見渡す限り
山・山・山

ほぼ見渡す限り山。平坦な場所以外にも山の斜面に家が建っています。

道路に沿って川が流れています。写真だけ見ると沖縄っぽくない気もしますね。

給油所もありましたが、閉まっていました。道行く人に話を聞きたいところなのですが、見事に誰も居ない…。

 

共同売店で話を聞いてみる

道行く人々に話は聞けそうにないので共同売店にやってきました。

共同売店とは、集落の住民が共同で出資・運営する商店でその集落のライフライン。ここの泡盛のラインナップと話が伺えれば今でも集落の人々がまさひろLoveなのか分かるはず。

共同売店の中。食料品から園芸用品など様々なものが並びます。泡盛コーナーを探してみると…。

おおお…。

まじでまさひろしかない…!左上のピンクのやつはまさひろソフト(12度)です。日本酒や大宜味村の田嘉里酒造が出している「まる田」が2本だけ棚にはありましたが、棚を埋め尽くしているのはほぼまさひろとまさひろ酒造が作っているお酒。

せっかくなので共同売店の方にお話を頂きます。

 

― 国頭村安波では「まさひろ」しか飲まない、という話を聞いてやってきたのですが。

そうですね。私は安波集落の出身ではないのですが、みんな泡盛はまさひろですね。他の銘柄を入れてみたこともあったのですが、やはり売れませんでした。


熱燗もあるのか

ここではホットドリンクコーナーで熱燗も売ってます。こちらもまさひろ酒造の海人ですね。

― なぜ「まさひろ」しか飲まれないのでしょうか?

よく分からないけど、みんな山原船がうんぬんって話していますね。

― 他の集落ではそんなことはないんでしょうか

ここ安波集落だけらしいですよ。ここではまさひろしか飲まないので、年末年始の忘年会なんかにはまさひろの営業の方もやってくるんですよ。集落の人はお酒が好きなので共同売店の前が夜な夜な飲み会場みたいになっているんですが、まぁまさひろしか飲んでないですね。

 

話を聞いている最中に集落のおじさんが煙草を買いに来たのでちらっと話を聞いてみたのですが、「まさひろ以外は飲まないよ」「理由は山原船があれだからさ」と当たり前のような返事。「もしも居酒屋とかに行ってまさひろ以外の泡盛しかなかったらどうするんですか」という質問にはただ一言「(居酒屋にまさひろを)買わす」。


共同売店オリジナルTシャツに混じって販売されるまさひろTシャツ

というわけでメールを頂いた三宅さん。2016年現在でも国頭村安波では「まさひろ」のみを飲んでいます。というか愛しているといっても過言でないくらい飲んでいるようでございます。ご参考になれば幸いです。

 

共同売店にはその集落の暮らしが反映されている

というわけで本日は国頭村安波でまさひろのみがめちゃめちゃ飲まれているという状況について調査したご報告でした。

ところで取材後、ちょっと南下して東村宮城の売店にて話を聞いてみたのですが

ここでは残波と久米仙のワンカップが人気だそうです。共同売店だとお客さんは地元の方がほとんどなので、置いてある煙草の銘柄から商品までほとんど地元の方のニーズが反映されているそうで共同売店の品揃えはその集落の暮らしぶりが反映されているんじゃないかと思います(東村は民泊の受け入れもさかんなので、紅いもタルトなどのお土産も安く売っている)。

国頭村安波みたいな極端な例はそうそう無いと思いますが、共同売店の売れ筋から色々集落のことを聞いてみるのも面白いかもしれません。

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