2012.04.04

シミーズのマネキンがいる静子洋裁店

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宜野湾の県道34号線沿いにある『静子洋裁店』。チラっと見えているシミーズのマネキンが気になり静子さんにインタビューしてきました。

家の近所にずっと気になっているお店があります。
以前、宜野湾の34号線はどうしたいのか?という記事でもご紹介した、いつもシミーズのマネキンがチラ見えしている『静子洋裁店』

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宜野湾市大謝名と中頭郡西原町字内間とを結ぶ県道34号線沿い、真栄原交差点のすぐ近くにあります。

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チラリ。今日もシミーズ一丁!

最近では朝の連続ドラマ『カーネーション』が全国的に大ヒットし、首都圏では料金を払えば時間制でミシンが使えるミシンカフェなるものができたりと、ちょっとした洋裁ブームが起こっているそう。
ちょうどいい機会なのであのシミーズマネキンの謎を解き明かしに行ってきました。
 

名前のとおりもの静かな静子さん

入り口の引き戸を入ってすぐの作業スペースにいらっしゃった静子さん。
なにやら作業中でしたが、お話をうかがってみました。

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ーこのお店は何年ぐらいされているんですか?

こっちきては24年ぐらいなるかな。店を出す前は自分のおうちでやってましたけど。
ここはひとりでやってますよ。前は縫い子もいたけど、今はひとりでやってます。夜は20時まで、朝は10時からやっていますよ。

もうずーっと、洋裁学校卒業して、そのまま洋裁学校の先生に採用されて勤めて、学校と洋裁店が一緒なっていたからそこで二ヶ年ぐらい勤めていたかな。そのあとはもっと上達したいと思って軍の家庭洋裁へ勤めて。それから結婚するまでずーっと働いていました。

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もう私もかぞえ74歳になるからね。こっちはもうあとしばらくしたらやめようかねと思って。
私もだけど、お客さんもみんな年取ってるからね。よくいらっしゃった方がもう亡くなったり入院したりでね。そういうのが多くなって減りましたね、前よりは。旦那さんが亡くなったとかね。ほとんど、お客さんは自分よりも先輩が多かったね。

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年取ったらもうなにもできないね、目も見えなくなるし。白内障で手術したり。今は見えるようになりましたけど、
60過ぎた頃からだんだんだんだん見えなくなって。無理にやっていたけど。60過ぎたらみんなこんなよーと言うからそうか、と思ってほったらかしていたけど、針に糸を通すのにも15分、20分とかかかって。

病院行くのも怖かったけどね。でも思い切って行ってよかった、本当に。片目は手術20分。早いね。
一日通院するだけでよかったんだけど手術、翌日眼帯外しておうち帰ってきたらもう〜綺麗!
こんなおうちでもね、「こんなに明るくて新しいおうちに住んでたの!?」と思うぐらいで。嬉しくてね。先生に感謝するぐらい嬉しかった!

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今は糸もすぐに通せるようになってね、悪くなると緑内障になってたかもしれないし。放ったらかさなくてよかった。

 

ー今はどういうお客さんが来られるんですか?

昔ながらの方とか常連さんとか。ちょっとぐゎー若い人も来るけど。
まぁ若いといっても私よりちょっと若いぐらいの人かな。前は本当に先輩が多かったね。

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このワンピースは仮縫いしたもの。襟なし袖なしでね。上からなにか羽織っても使えるし。
今日、注文された方があとで来るからーと電話があって。これから合わせてまた寸法詰めたり。
この方はもうよ、前より太ってサイズも変わってよ。前は細かったのに急にこんな太ってて。びっくり!(笑)サイズもだいぶ変わってましたね。(笑)

 

ー服を作りにきたらどういう手順で作っていくんですか?

そうね、まず作るものを決めて好みの型を選んで。そこに雑誌もあるさーね。

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生地はぜんぶ持ち込みしてもらって。しゃりまが多いね。それから寸法計っていろいろ作っていきますよ。
スタイルブックから選んだり、また自分で考えたりして。

昔は文房具屋さん近いところに2ヶ所あって本もすぐ買いに行けたけど、無くなってしまって。
今はもう那覇に仕入れしに行くときについでに寄って買ったりね。
チャコとか糸とか付属品売ってるお店もあったけどね。それも無くなって。

(長田交差点の田園書房のほうを指さして)そういえば本屋はあっちにあるね。

ーそれが残念ながら、田園書房も閉店したみたいですよ。

あいやー、そうなの!?
雑誌の先月号はあっちに買いに行ったとこだったのに。
あれーもったいないなあ。どんどん無くなっているなぁ・・・。

 

カーネーションのことは知らなかった

ーそういえばNHKの連続ドラマは見ていましたか?

???

ーコシノ三姉妹のお母さんをモデルにした洋裁のお話だったんですよ。

え?あらまー。全然気が付かなかった。え、半年間もやってたの?あらー、知らなかった。
そういえば前にお客さんが一回話あったけど、うちはこういうの見たことないから。
8時ぐらいは片付けしたり準備したりしていて。朝はあんまり見ないね。あらー、そうなの。

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(使い込まれた職人の道具たちがかっこいい)

ーたとえばワンピースだったら、一着いくらぐらいから作れるんですか?

いろいろデザインによっても変わりますけど。5,000円とか12,000円とか、いろいろあります。

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(今はシャツの裾上げをしているところだそうです)

ーかっこいいミシンですね!

そう?営業用(笑)

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前は足踏み式で動かしていましたけどね。これはちょっとこう、踏み込むだけで進む。

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(ここから作業に没頭しはじめる静子さん)

 

さいごにシミーズの真相に迫ってみる

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ーこの子には何も着せないんですか?

あはは(笑)これはね、仕上げたらそれに着せるわけ。
(トルソーに着せてあるさきほどのワンピースを指さして)こっちのワンピースは今はまだ仮縫いだから。

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(きっと近日中に素敵な黒のワンピースをまとっていることでしょう)
 

ありがとうございました

もの静かな雰囲気だけど、ひとつひとつの質問に作業の手をとめてじっくり考えながら答えてくださった静子さん。
これまでたくさんの素敵な洋服たちを世に生み出していったのでしょう。かっこいい職人の手をされていました。

以前は近所にあった本屋や文具店が次々に無くなっていき、とても寂しそうだったのが印象的でした。

静子洋裁店を閉めるその日まで、からだを壊さず元気でがんばっていただきたいと思います。

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