2013.03.21

大人の遠足 歌碑めぐりバスツアーレポート

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北海道出身の民謡唄者・堀内加奈子さんプレゼンツ、県内の歌碑をめぐる大人の遠足バスツアーに参加してきました。

みなさん沖縄民謡はお好きですか?
いまいちとっつきにくい、結婚式の『かぎやで風』しか聞いたことがない、聞いていると眠たくなる・・・といった方も多いと思いますが、その唄が生まれた背景を知るとまた違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。

折しも、去る3月19日に沖縄民謡の第一人者である登川誠仁さんが亡くなったばかり。
早弾きの達人で “沖縄のジミ・ヘンドリクス” と称された誠仁さんは多くの唄者に影響を与え、映画『ナビィの恋』でもおちゃめなオジィを演じ人気を博しました。

登川誠仁さんが死去 沖縄民謡の第一人者 23日に告別式:沖縄タイムス(2013年3月20日 15時58分)

そんな誠仁さんとの出逢いがきっかけで民謡修行のため沖縄に移り住んだのが、北海道函館出身の堀内加奈子さん。民謡の女性第一人者である大城美佐子さんのお弟子さんとして、またニ代目定絃会師範として県内外、国内外で活躍されています。

今回その加奈子さんが企画した、県内各地に点在する沖縄民謡の歌碑をめぐる『歌碑めぐりバスツアー』に参加してきたので、そのレポートをお届けしたいと思います。
 

9時 安里駅を出発

今回の歌碑めぐりは二回めの開催。第一回は北部編だったので今回は南部編とのこと。

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貸切バスはゆいレール安里駅を朝9時過ぎに出発。
やはり歌碑めぐりということで、参加者のみなさんは手に手に三線を携えての参加です。

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今回講師として唄の解説をしてくださるのは、安冨祖流弦声会の教師である運天伊作さん。

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手書きのしおりで遠足気分満点
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三線の楽譜 工四(くんくんしー)付き

顔見知りの方が多いのか、妙な盛り上がりを見せる50人乗り貸切バスは最初の歌碑を目指します。
 

「上り口説」崇元寺(那覇市)

まずはじめにたどり着いたのは那覇のとまりん近くにある崇元寺。
三連アーチ型の美しい石門は歴史的建造物として重要文化財に指定されています。

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『上り口説』は、首里城を出発して那覇から船に乗り、奄美諸島、トカラ列島を通り過ぎ、薩摩へと上っていく旅の様子を唄ったもの。今とは違い水難事故も多い時代だったので、薩摩上りは生きて戻れるかどうかわからない命がけの旅だったそうです。

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ここ崇元寺は首里から那覇港に向かう道中にあり、『上り口説』の歌詞の中に登場する場所です。

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ガジュマルの木の下で『上り口説』を合奏。
三線教室に通っている生徒さんの参加者も多いのでみなさんお上手なこと!

唄の背景を知り、歌詞に登場する地で唄うことで、当時の情景が思い浮かんできそうです。
 

「花風」三重城(那覇市)

次に訪れたのは同じく那覇市内、ロワジールホテルの奥にある三重城。
航海の無事を祈る小さな拝所があり、当時は船旅の乗客を見送る場所でした。
現在では、沖縄を離れ本土や海外に旅立った家族などに向けた祈りの場所となっています。

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そんな三重城は、那覇の港を船出する愛しい人を見送る女性の姿を描いた琉球舞踊「花風(はなふう)」の舞台として登場しています。

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運天さんの隣で演奏している白髪の女性は琉球音楽協会師範の山川綾子さん。
悲哀を帯びた美しい唄と三線の音色が三重城に響きます。
 

「汗水節」(八重瀬町)

次に訪れたのは労働歌『汗水節』が誕生した地、八重瀬町具志頭。
小高い森の手前に立派な歌碑が建っていました。

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唄の生まれた背景などを解説してくださったのは、汗水節を作詞した仲本 稔さんの息子さんである仲本 薫さん。

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汗水を流して働くことの尊さを唄った汗水節ですが、これを作詞した当時(昭和3年)、稔さんはなんと25歳という若さだったそう!それがこうして後世まで長く愛され、歌い継がれているというのは素晴らしいことです。ちょうど薫さんがお話されている最中に流れてきた、正午を報せる町内メロディはもちろん汗水節でした。

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薫さんの前で汗水節の合奏。ちなみに「シュラヨー、シュラヨー」という囃子の部分は原曲には無く、後から付け加えられたものだそう。というわけで、今回は囃子無しバージョンでした。
 

お待ちかねのお弁当タイム(具志頭城跡)

3つの歌碑をめぐったところでお待ちかねのお昼の時間。

今回は「おとなの遠足」ということは勿論・・・

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そう、ここからアルコール解禁です!

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この日は曇っていたので残念ながらいまいちな海の色ですが、絶景を見下ろす具志頭城跡で食べるお弁当が美味しくないわけがありません。

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しかも加奈さんの手配による、りょう次グループの特製弁当!
おかずひとつひとつが美味しくて、あっという間にたいらげてしまいました。

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当然、バスに戻ったあともこうなります。
このあと午後の部のトイレ休憩が増えたことは言うまでもありません。
 

「兄弟小節」(与那原町)

次に訪れたのは、与那原町にある『兄弟小節』の歌碑。
イチャリバチョーデーの心を唄ったテンポの良い唄です。

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平成17年に作られた、まだ新しい歌碑です。

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歌碑の上部に埋め込まれた写真は作詞者である前川 朝昭さん。残念ながら劣化でハッキリ見えなくなっていますが、加奈さん曰く“かなりのイケメン”だそうです。

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参加者みんなで記念撮影。老若男女、ウチナーンチュ、ヤマトンチュ、様々な立場の様々な人がごちゃまぜで参加されています。まさにイチャリバチョーデー。
 

「梅の香り」(西原町)

最後に訪れたのは西原町にある『梅の香り』の歌碑。

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なんと歌碑の前にはボタンを押すと『梅の香り』のメロディが流れ出すという装置が!

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しかも唄者やアレンジを変えて3パターン。初代ネーネーズ、古謝美佐子さんの名前もありました。

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そんな録音に負けじと、山川先生と加奈さんによる生演奏。
今の季節にぴったりな、ゆったりとしたテンポの美しい唄です。
 

普久原朝喜顕彰碑(沖縄市)

最後にやってきたのは、先日ご紹介したンマハラセーの会場だったこちら。

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歌碑や歌詞に出てくる土地ではありませんが、この駐車場の一画に沖縄民謡の数々の名曲を残した普久原朝喜氏の顕彰碑があるのです。

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三線の名手であり、現代沖縄民謡の父とも言われた普久原氏。『懐かしき故郷』『移民小唄』など、いちどはそのメロディを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
 

第三回は中部編を予定

と、ちょうど全てのスケジュールをまわりきったところでポツポツと雨が!
そしてこのあとどしゃ降りに。

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今回の参加者は晴れ女・晴れ男ばかりだったようです。

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丸一日どっぷりと沖縄民謡につかった歌碑めぐりバスツアー。
多少三線をかじったことはあるものの歌詞や歴史などにあまり詳しくない私でも、加奈さんの名(迷)司会と運天さんの唄の解説、そしてアルコールの相乗効果も相まってじゅうぶん楽しめるツアーでした。
なにより、その民謡が生まれた地でプロの唄声が聴けるというのはなんとも贅沢な体験でした。

第三回の歌碑めぐりは、5月頃に沖縄本島中部編を予定しているそう。
沖縄民謡に興味がある人もそうでない人も、きっと楽しめる歌碑めぐり。
この機会に沖縄民謡の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

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