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1935年のコンクリート建築「當山記念館」を見学してきた
皆さんは金武町にある「當山記念館」という建造物をご存じでしょうか?
「當山記念館」は金武町出身で「移民の父」と呼ばれる當山久三(とうやまきゅうぞう)の功績を記念して1935年に建てられたコンクリート建築で
當山紀念館 存続を 住民ら町長に3800人署名提出
當山紀念館存続を否決 金武議会
老朽化と役場庁舎の拡大のために一度は解体されることになったのですが、解体に反対する声もあがりその行く末が注目されています。
恥ずかしながら僕がこの「當山記念館」の存在を知ったのは金武町内に建てられている「取り壊し反対」の看板を見てからなのですが、気になって金武町役場に問い合わせてみたところ「當山紀念館は現在使用されておらず閉館しているが、見学を希望であれば対応可能」というお返事を頂いたので早速「當山記念館」の見学に行ってきました。
海外雄飛の里 金武町
當山記念館についてご紹介する前に當山久三についてざっくりご説明しておきたいと思います。
當山久三は1868年金武町金武生まれで、教員、金武町並里の総代(区長)を経て海外移民事業に従事、1899年沖縄初の海外移民(ハワイ)を実現させると、ハワイ、フィリピンなどに多くの沖縄県民を送り出し「移民の父」と呼ばれました。
「いざ行かん 吾等の家は五大州 誠一つの 金武世界石」は当時詠んだものだそうだ。
享年は42歳。記念館を作った経緯には「沖縄一の移民を数多出し、移民の送金で村が栄えている金武村では、さきに移民先覚者当山久三翁の銅像を作ったが、さらに当山記念会館を約三千円を投じて建設し…名実ともに全国一の移民村を誇るべく息巻いている」(金武区誌 資料編 戦前新聞集大成)と書かれています。
薄くて読めないと思うけど「海外雄飛の里 金武町」と書いてある
海外移民で金武も栄えていたということなんでしょうね。今だからこそ金武といえばタコライスだったり田芋だったりするのですが、金武町は「海外雄飛の里 金武町」というキャッチコピーあちこちで見る事ができます。海外への移民は沖縄を語る上でのひとつのキーワードになると思うのですが、詳しくまとめると長くなるので別の機会に。
當山記念館を見学してみる
さて、前置きが長くなりました。肝心の當山記念館の様子を見てみましょう。
當山記念館ですが、金武町役場の総務課に事前連絡しておけば、見学が可能です。
役場の裏口から階段を上っていくと
このうす水色の建物が當山記念館です。
當山記念館の文字。
- 入り口の左右に八角形
- アーチ状の門の向こうにも六角形の窓
建てられたのは1935年ということですが正直「これだ」と言われないと多分気づかないレベル。
特長といえば、アーチ状になっている入り口と、そこにはめ込まれた八角形の窓でしょうか。当時はハイカラな建物だったのかもしれません。
そういえばNaokiが「沖縄で一番古いコンクリート建造物を見学してきた」にて紹介している大宜見村の旧庁舎の2階も八角形でしたが、何かしら昔の建築では八角形を使うことが多かったんでしょうか。
建物の後ろ側。やや窓の形が独特な気もしますが割と普通に見えます。
- 外壁が
- 剥がれ落ちてる
比較的きれいなんですが、外壁が剥がれ落ちている場所も。外観のみであればいつでも見学することができると思われます。
外観に続いて、次はいよいよ建物の中に入ってみましょう。
僕は勘違いしていたんですが、當山記念館といっても當山久三にまつわる資料が展示されている訳ではありません。金武町役場の施設として町史編纂室などが入っていた時期はあったのですが現在はそれも移転して単なる物置みたいになってます。
- 物置感覚
- 天井が…!
なので特に目を引くものは無し。
奥の方は立ち入り禁止になっているのですが
天井が剥がれ落ちてしまったようで
すでにカジュアルな廃墟みたいになってます。
記念館は今後どうなるのか
屋内から見た八角形の窓
案内して頂いた職員の方にこれから記念館はどうなるのか話をうかがいましたが「まだ不明」とのこと。入り口の部分のアーチ型をモニュメントとして建てておくという案もでたらしいのですが、建物自体の保存を求める声が多く一旦保留になったりした経緯もあったようです。
完全な物置
というわけで、まだ建物自体どうなるか未定っぽいですが、興味のある方は早いうちに見学に行った方がよいかと思います。外観だけであれば金武町役場の裏手に回れば見る事ができますし、中まで見学したい場合は金武町役場の総務課にて受付をしているそうなので是非。
個人的には建物を保存したいという意見も分かるんですが、もう少し建物についての説明だったり建築の見所的な説明があった方が楽しめるのかなーと思いました。