沖縄の名付け儀礼を再現してみた

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今はほとんどやられていないようだが、沖縄に名前を付けるためにやる儀礼があるらしい。文献を元に再現してみた。

めちゃめちゃ私事なんですが、先日息子が爆誕いたしまして父親になりました。まだなんか実感がなくて、ふわふわしてるんですが子どもはやっぱり可愛いなぁ、と月並みな事を思っております。

まぁ息子の話は長くなるんでひとまず置いておいて、皆さんは沖縄にある「子どもの名付けの儀礼」というやつをご存じでしょうか?これはかつて沖縄県内の各地で赤ちゃんの誕生したその日から生後6-7日くらいまでに行われる儀式で「ナージキ」「ナーアシビ」と呼ばれるものです。


命名について書かれた文献たち

儀礼の内容は地域によって細部が違うようですが、流れ的には


こんな感じです。

1.庭にミージョーキ(底の浅いざる)を立てて、傍に草とヘラを置く。
2.おばあさんか母親が「カカン」と呼ばれるスカートみたいなものを頭からかぶって、子どもを抱き、桑の木の弓でミージョーキを3回射る
3.その後、蟹かバッタを子どもに這わす

というものらしいです。まぁ、上の説明だけ聞いても全然分かんないですよね。正直、僕もよく分かりません。

この儀礼は文献資料には残っていますが、現在ではほとんど行われていないらしくて、その存在を知る人も少なくなってきているようです。これは気になりますよね…!

というわけで本日はせっかく息子がこの世に生を授かりましたので、それにかこつけて、沖縄でかつて行われていた名付けの儀礼を実際にやってみよう、という内容です。

 

まずは道具を揃えよう

まずは名付けの儀礼について詳細を探るべく、那覇市の公設市場付近で結納やカジマヤー(97歳のお祝い)などのグッズを販売しているお店で尋ねてみることに。

ここで詳しい話が聞けて、ある程度のモノが揃うんじゃないかと期待してたんですが「そんな儀式始めて聞いた」とのことでした。「自分たちでは分からないから」ということで昔のことをよく知っているというおばあちゃんがいる商店を教えてもらったのですが


そのあと何度か行ったけど閉まってた

お店お休みでした…。

こうなってくると名付けの儀礼のグッズをどこかで購入するというのは難しいようです。仕方ないので文献を頼りに自力で必要そうなものを集めます。

 

まずは桑の枝で作った弓と矢。文献を見ていくと材質は必ずしも、桑ではなくてホーガーギーという生命力の強い木(南風原町兼城)だったり、草竹(南風原町与那覇)だったりと色々あるようですが、色々な文献を見てみると桑が一般的なようです。

続いてヘラと力草。このヘラは土を掘り起こしたり、雑草を掘り起こしたりする道具らしいんですが、沖縄限定の農具らしいです。「沖ヘラ」という名前でホームセンターで販売されてました。力草(ヒラ草と言っているやつもあった)はイネ科の植物で「オヒシバ」という草だということです。道ばたに沢山生えてる雑草の一種ですね。

次は「ミージョーキ」。竹製の底が低いカゴというかザルというかなんですが、販売してる場所が全然分からなかったのと、新品で買ってもこの企画でしか使わなそうだったのでタニシだったりオキナワウスカワマイマイだったりでお世話になっている沖縄市郷土博物館の川副さんにお願いして博物館のものを貸して頂きました。


買うとき地味に恥ずかしかった。

「カカン」は琉装で女性が穿く、今で言う巻スカートのことらしいのでとりあえず古着屋でそれっぽいスカートを買ってきました。

最後に蟹かバッタ。どちらも新生児に触らせるのが怖いので(衛生的に)蟹を紙に書いたもので代用しておきます。

 


あと必要なのは名付けの対象だ

名付けの儀礼に必要な道具はだいたい以上のようです。早速、儀礼を執り行ってみましょう。

 

これが名付けの儀礼だ

まずはミージョーキを立てておきます。鋤に立てかけたり、家の壁に立てかける地域もあるようです。うちは手頃なものが無かったので猫の爪研ぎに立てかけておきました。


こんな感じだろうか。

ミージョーキの近くには、ヘラと力草を添えておきます。このヘラと力草の使い所が分からないのですがとりあえず置いてあればいいんでしょうか?


スカートを

通常は名付けの儀礼をするのは母親かおばあさんらしいのですが、妻にはやんわり拒否、お義母さんに頼むには色々ハードルが高そうなので自分でやりたいとおもいます。

儀礼をする人はカカンを頭にかぶります。


頭にかぶる。変態っぽいけどそういう流れなんです。

…一気に給食のおばさんっぽくなりました。これ本当にあってるんだろうか。

カカンをかぶったら、桑の弓矢で庭に立てかけたミージョーキを3回射ます。「射る真似をする」と書いてあるやつもあったので、そんなに本気で射る訳ではなくミージョーキに向かって矢が飛べばよいのだと思います。


「ミー、ミー、ミー」

文献によればこの時に「ミー、ミー、ミー」、「イヤ、ヤイ、ミー」と声に出して唱えたりするようです。


蟹だよ!

三回弓でミージョーキを射たら、最後に子どもに蟹を這わすか、バッタを飛ばします。バッタは高く飛ぶので子どもが躍進する的な意味があると書かれているものはあったんですが、蟹はどういう理由で這わせてるか書かれたものを見つけられませんでした。今回は絵で描いた蟹を這わせています。

儀式はこれで終わりであとはヒヌカン(火の神)や仏壇に名前を報告して完了らしいです。

 

正解がわからない


無事名付けられたんだろうか。

というわけで本日はかつて沖縄でやられていた名付けの儀礼をやってみるというお話でした。特にオチがなくてすみません。色々文献を見てみたんですが蟹を這わす理由だったり、ミージョーキを弓で射るという行為だったり、傍らに置かれるヘラと草の意味だったりの理由については詳細不明で、なにが正解なのか全然分かりませんでした。

もし読者の皆様の中で名付けの儀礼をやったことがある、見たことがあるという方がいらっしゃったら是非とも情報を頂ければ幸いです。

 

それにしても生後7日くらいで息子をDEEのネタに使ってしまいましたが、いずれ大人になってこの記事を何かの機会で読むことがあるかもしれません。すまない。息子よ。これが父の仕事なんだ。

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