2014.11.07

沖縄版「俳優祭」に行ってきた

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国立劇場おきなわで俳優祭が開かれると聞いて行って来ました。

本土の「俳優祭」といえば、歌舞伎役者を中心に、普段とは違った趣向の舞踊や新作劇を演じて、幕間には俳優自らが店主となった模擬店でお客様と交流する、大人気のイベントです。

沖縄の伝統芸能の殿堂、「国立劇場おきなわ」でもこの沖縄版俳優祭ともいうべきイベントをやるとのこと。

何だか面白そうなので、潜入してみました。

 

いざ、お祭り会場へ

2014年10月25日(土)、浦添市勢理客にある国立劇場おきなわに到着しました。


「おきなわ」は漢字にしちゃだめ。

どーんとした外観。外壁の無駄な特徴的な模様は、波を表現しているそうです。

「琉球芸能の俳優祭 ゆらてぃく遊ば」と銘打った公演チラシを読むと、
第一部の演目が、この公演のために書き下ろされた喜劇「鶴亀二児其ノ後ノ噺~続・二童敵討~」。
組踊「二童敵討」の後日談で、「あまをへ(阿麻和利)」が鶴松・亀千代に敵討ちされて三十数年後、阿麻和利の霊とか中年と化した鶴松・亀千代が出てきて、めちゃ面白そうなんですけど!
第二部の歌劇「今帰仁祝女殿内」は、沖縄芝居としてはメジャーな演目で、配役には、琉球舞踊の国指定重要無形文化財保持者や沖縄芝居の重鎮が出演しています。
これは見逃せませんな!

 

でも今回は、一部と二部の間の、芸能人が店主をつとめる模擬店を取材します。
いつも観に来るお客様への感謝を込めたイベントなので、店主を務めるのは、その世界では売れっ子の役者の方々ばかり。


!?マークはサプライズということか

まさに、沖縄の伝統芸能ファン垂涎のイベントなのではないでしょうか。

ロビーに入ると、組踊「執心鐘入」をテーマにした「宿の女の部屋」がありました。 部屋っていうか、顔ハメコーナーです。

左「中城若松」と右「宿の女」
とりあえず、ハマってみた。

部屋の主「宿の女」に扮した金城真次さんと記念撮影できるとあって、長蛇の列ができていました。

舞台化粧をしている金城真次さんはもちろん男性ですが、間近で見てもお綺麗です。
女として負け感が半端ないので、一緒に並んで撮るのは止めました。

チケットカウンターの横にある喫茶コーナーには、「カフェダイヤ」が出店していました。


正面奥の窓は開く仕掛けです。

裏から見るとこんな風になっています。


舞台の大道具って感じが素敵。

店主を務める沖縄芝居役者の伊良波さゆきさんにお話を伺いました。


美人女将。

- 何のお店ですか?

「愛の雨傘」というお芝居に出てくるカフェです。劇中でもカレーが重要なんですけど、今回、カレーも出してるんですよ。お客さんからは「カレーある?」って聞かれるくらい、なくてはならない物なんです。」
サンドイッチやぜんざいといった軽食のほかに、鶏コラーゲンがたっぷり入った熟成カレーが用意されていました。


おいしそうですね。

- 今日の意気込みを教えてください。

「ファン感謝デーということで、楽しみにしています。お客さんと交流できて、とてもいい企画だと思います。お客さんはリピーターの方がとても多いんですよ。皆さんに楽しんでいただきたいです。スマイル全開で頑張ります。」

いつも舞台で観ている女優さんが、給仕してくれるなんて夢のようですね!


第一部劇中で「供2」役を演じた玉城匠さんも駆けつけてお手伝い。

大劇場のホワイエに入ると、国王の椅子が鎮座していました。
お客さんは自由に座って記念撮影ができます。


気分は琉球国王。

「歌舞劇 首里城物語」など琉球国王が出る芝居で使われている道具です。
近くで見ると手書きの模様とか、手触りとかがわかって面白いです。

エレベーター前では、第一部の劇中で、中年のおじさんになった「鶴松」を演じた宇座仁一さんと「亀千代」を演じた石川直也さんが、パンフレットと来年のカレンダーを販売していました。


汗だくで売る兄弟。

続いて、「ようこそ韓流」コーナー。
11月15日に同劇場で上演する「宮古の神歌と韓国・珍土のシッキムクッ」という公演PRを兼ねたブースです。(←あからさまなステマ)


沖縄初上演の韓国の巫女さんの芸能。

公演に関するパネル展示のほかに、韓国伝統衣裳チマチョゴリを着て佐辺良和さんと記念撮影ができます。
なぜか、済州島で有名な守り神トルハルバンが出現。。


鼻を触ると男の子に恵まれるそうです。

板に書かれているのにスゴイ立体感。職人技が光ります。
佐辺良和さんは以前DEEで、フェイスパックを作った時にモデルをしていただきましたね。

佐辺さんは韓国の大学に舞踊の教師として招聘されていた経験がおありということで、今回は韓服に身を包んでいます。
相変わらず、どんな企画も笑顔で引き受けてくれる漢(おとこ)です。
佐辺さんがチマチョゴリを着たらいいんじゃないか、という声も上がるほど、女役の時は超絶きれいです。


そして背後にトルハルバン。

ファンのお客さんも、かわいいチマチョゴリを着て、憧れの佐辺さんと写真が撮れてご満悦の様子。

ホワイエ奥には、呉屋かなめさん演じる「チル小」が店主の「チル小の茶屋」がありました。
「チル」は方言読みで「鶴」、「小(ぐゎー)」とはかわいい「~ちゃん」みたいな呼称でしょうか。
チル小は「ぺーちんの恋人」という劇中でもお茶売りの設定ですが、今日はコーヒーだって売ってしまいます。


可愛らしい売り子さんですね。

引き戸も劇中で使われている道具なので、ちゃんと動きます。
無駄に開け閉めして遊びたくなりますね。

最後は2階の、組踊「女物狂」に出てくる「人盗人の隠れ家」のコーナーに行ってみましょう。
組踊のタイトルも役名も尋常ではない響きです。
ここでは人盗人扮する川満香多さんと記念撮影ができます。


「ぬはははははっ」

「女物狂」では誘拐された子供が、お寺で保護され、お母さんと対面するというお話なのですが、この誘拐犯がその名も「人盗人」。そのまんまです。
人形をあげるといって誘っておいて、鎌で脅すという通称「ありよーい」シーンが有名なので、ぜひそのシーンを再現したいと思います。
「ありよーい」とは、脅された子供の助けを求める台詞です。
今後機会があったら「きゃー」の代わりに、「ありよーい」と叫んでみましょう。


「ありよーい」

私が韓国ブースのチマチョゴリの格好のままだった為、できあがった写真が、韓国人女性を琉球人男性が鎌で脅すというヤバイ図になったので、自主規制させていただきます。
たぶん国際問題にしか発展しないと思う。

「ありよーい」シーンを再現してもらうお客さんもいましたが、首に鎌を当てたり、ノリの良い川満さんらしく、皆さん自由なポーズで写真を撮っていました。


何げに肩に回す手も自然。

 

祭りを終えて

最後に、国立劇場おきなわ芸術監督である嘉数道彦さんに話を伺いました。
嘉数さんは、組踊から沖縄芝居まで何でもこなす実演家で、芝居や新作組踊りなど多くの脚本も作っているマルチな方で、第一部の喜劇の脚本演出もされています。


実年齢は30代半ばなのに、精神年齢は50代くらいだと思う。

- どうしてこの企画をやろうと思ったのですか?

「国立劇場おきなわでは年間30公演の自主公演をやっていますが、お客様と出演者とスタッフが参加するファンサービスみたいなお祭りをやりたかったんです。芸能をみんなで楽しめたらいいなと。」

- 休憩時間の模擬店のアイディアも嘉数さんが出したのですか?

「はい。東京の歌舞伎座でやっている俳優祭みたいな感じで。最初なので試行錯誤しながらですけど。お客さんに役者を身近に感じてもらって、出演者にもお客さんと触れ合うことで次の舞台を高めて、より良い形を築けたら良いと思って。お客さんに楽しんでもらいたかったんです。」

- やってみた感想はいかがですか?

「サービス面では課題もありますが、全体的には程よい流れでお客さんも楽しんでおられたので、嬉しく思います。」

- 来年も企画されるんでしょうか?

「はい。今年の反省も踏まえて来年もやりたいです。模擬店の数とか内容とかバージョンアップして。劇場としてできるだけ遊べるところは遊んで、遊んで楽しめる芸能を目指したいです。」

さすが、幼少の頃から沖縄芝居を観に劇場に通っていたという嘉数さんらしいです。
電信柱に張られた沖縄芝居のポスターを集めるくらい好きって、どんな子供だよ。

 

ここまで、沖縄版の「俳優祭」イベントを紹介してきましたが、いかかでしたでしょうか。
30分という休憩時間では短く感じられるほど、どれも楽しい企画でした。
いつもは敷居が高いと感じられがちな国立劇場おきなわですが、出演者やスタッフ、お客さんが皆で楽しんでいて、明るいお祭り雰囲気で満たされていました。
芸能ファンのお客さんも大満足だったのではないでしょうか。
沖縄の芸能にはあまり詳しくない人でも、楽しめるイベントでしたし、これを機に興味をもってもらえたらよいと思います。
来年も楽しい企画をぜひやってほしいですね。

ゲストライター

AYA
プロフィール:生まれも育ちも沖縄本島。県民に多い苗字ベスト3入りする苗字だったのに、九州出身の旦那をもったばかりにイチイチ説明が面倒くさい苗字に。殺人事件が起こるドラマが好きでしゃべる機械キャラ萌え。
 

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