2017.03.29

泡盛瓶のキャップシールは、税金と深い関係があった

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スーパーのお酒コーナーに並ぶ泡盛。そのフタに巻いてある、青いビニール製のシールが、税金と深く関係しているんだそうです。

確定申告に悩まされている春3月。
本日の物語の主役は、泡盛の瓶に巻かれている青いキャップシールです。
一般酒(古酒でないもの)の四合瓶や二合瓶の頭部分に巻かれているビニール製のこれです。
つい見逃してしまいそうなこのシール。税金と深く関係があるという噂を耳にし、興味をそそられ、調べてみることに!

キャップシールは誰が何のために?謎に迫ってみます。

泡盛瓶の「キャップシール」はいつから?

突然ですがみなさん、泡盛が現在のように瓶詰めで売られるようになったのは、いつ頃からかご存知ですか?
実は、戦前の泡盛はほとんどが量り売り。瓶での販売は、1950年代の初め頃からだと言われています。それまでは、ラベルもキャップシールも必要なかった訳ですが、瓶詰めされ少しずつ変化して行きます。


(写真提供:泡盛館)

出荷する製品にキャップシールを貼るしくみは『キャップシール制』と呼ばれ、1962(昭和36)年に始まりました。
その当時、沖縄では、洋酒やビールの好調に押され、泡盛業者間の価格競争が激化。適正価格が守れない状態が続き、脱税行為が横行しそうになっていたそうなのです。
「それでは困る!」ということで、税務署と酒造組合が中心となり、乱売を防ぐための対策として『キャップシール制』もスタート。次のような仕組みになっていました。

  • ・キャップシールには「容量」と「度数」を記載
  • ・キャップシールは税務署が「受払書」を発行して管理
  • ・「シールの量=出荷した酒の量」として税務署に申告

この制度により、税務署は泡盛各メーカーの出荷額を完全に把握することができるようになり、乱売防止に効果テキメン。つまり、税金をきっちりと集めることができたわけです。なるほど!ですよね。
本土復帰後も『キャップシール制』は適用され、現在まで続いています。

【参考資料】
「泡盛の文化誌」萩尾俊章
「あわもり」沖縄県立博物館友の会…など

「キャップシール」デザインの変遷をたどる

現在のキャップシールは、デイゴの絵に『琉球泡盛』文字のこんなデザインです。

しかし、1960年代から2017年現在の間に、何回かデザインの変更を行っています。
その変遷をひも解くため、那覇市港町にある「沖縄県酒造協同組合」を訪ねてみました。「沖縄県酒造協同組合」は、キャップシール制導入を先導した「沖縄県酒造組合」の下部組織。きっと詳しいことを知っているはず!

突然押しかけたにも関わらず、「沖縄県酒造協同組合」で資材販売を担当している方に話を聞くことができました。
そこからわかったことが以下の内容です。

  • 1.昭和30年代、キャップシール制を導入
  • 2.昭和40〜47年「琉球政府」表記
  • 3.昭和47〜51年「日本政府」表記
  • 4.昭和52〜58年「琉球泡盛」「しょうちゅう乙類」表記
  • 5.昭和58〜平成16年「本場泡盛」表記
  • 6.平成7年〜現在「琉球泡盛」表記

文字で並べただけではいまいちピンと来ないと思うので、いくつか写真を織り交ぜながらもう少し詳しく見て行きます。

昭和40〜47年「琉球政府」表記、昭和47〜51年「日本政府」表記

(写真提供:泡盛館)
(写真提供:泡盛館)

現在残っている瓶詰めキャップシールの中で一番古い種類。なんと最大で52年ものの古酒ということになりますね!
ちょっと見づらいかもしれませんが、沖縄のシルエットが左上にプリントされ、真ん中に「琉球政府」もしくは「日本政府」の文字が刻まれています。

実は一度だけ、「日本政府」表記の40年ほどの古酒を開けるというタイミングに立ち会ったことがあります。
キャップシールをはがしたあと、栓を抜くのもひと苦労。瓶の外側の汚れが瓶の内側に入ってしまわないように気をつけながら開封。
苦労の末にいただいた40年古酒は、言葉を失う美味しさでした。(もう一度味わいたい…。)
もしご家庭に眠っていたら、大切に扱われることをおすすめします!!

昭和52〜58年「琉球泡盛」「しょうちゅう乙類」表記


(写真提供:泡盛館)

この時期のキャップシールには、現在のものと同じく、デイゴの絵と「琉球泡盛」の文字がデザインされています。シールの下に「しょうちゅう乙類」の表示が入っていると、30年オーバーのプレミアム古酒ということです。

度数40以上は寝かせるとまだまだ美味しい古酒に育ちますし、度数30以下の場合はそろそろ飲み頃かもしれません!ご家庭にある場合は、ぜひ特別なタイミングで味わってみてください♪

昭和58〜平成16年「本場泡盛」表記


(写真提供:沖縄県酒造協同組合)

この頃「本場」という言葉が流行したことを受け、思い切って表示が変更されました。しかし、平成7年〜平成16年は「本場泡盛」と「琉球泡盛」どちらの使用も可能でした。
そして現在、再度「琉球泡盛」表記に統一されています!

実は、泡盛の古酒コレクターの間では、キャップシールが泡盛の価値を見極めるひとつの目安に。やはりみなさん、「琉球泡盛・しょうちゅう乙類」表記や「日本政府」表記のキャップシールを見かけると、胸が踊りまくるというわけなのです。
身の回りで瓶詰めの古酒を見かけたら、目安にしてみてくださいね。

 

キャップシールの変遷を知れる施設の紹介

「実際に古い泡盛やキャップシールを見てみたい」
そう思ったあなた!こんな施設がありますので、ぜひ出かけてみてください。

(1)まさひろ酒造「まさひろギャラリー」

 糸満市のまさひろ酒造さんには、泡盛の製造工程から昔の道具類を鑑賞できるギャラリーがあります。その一角、「座間味コレクション」には、名誉館長・座間味宗徳氏が集めた、瓶詰め初期からのかなりレアな泡盛が並びます。
興味がある方は、ギャラリー内の座間味氏本人が語るビデオも、ぜひご覧ください!

 
(写真提供:まさひろ酒造)

 住所:沖縄県糸満市西崎町5-8-7
 営業時間:9:30~17:30
 休業日:年末年始(5日間)

(2)「泡盛館」

 今回、多大なご協力をいただいた首里の「泡盛館」さんでも、瓶詰め初期から、泡盛メーカーさえ在庫を抱えていない幻の銘柄まで、約30〜40年ものの泡盛にたくさん出会うことができます!200銘柄以上の泡盛からお気に入りを探すのに困ったら、宮城館長はじめ、スタッフのみなさんと相談しながら選んでみてください。

 
(写真提供:泡盛館)

 住所:沖縄県那覇市首里寒川町1-81
 営業時間:10:00~18:30
 休業日:火曜日

 

まとめ

泡盛瓶の『キャップシール制』は、税務署主導でスタートしたものだったことが分かりました!その目的は、戦後の混乱時に泡盛の品質を守るため、そして適正な税金を徴収するためです。
現在でも、通常の一般酒にはキャップシールが施されています。しかし、「容量」も「度数」もラベルに記載されているので、本来は必要がなく、各メーカーさんが自主的に貼っているのだそうです。
今では、泡盛らしさを出す一種の“デザイン”の意味も持っているのかもしれませんね。
調べている中で出会った泡盛の昔のラベルも、とっても興味深かったので、次回はそんなところも追ってみたいと思います♪

 

ゲストライター

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kudaka
沖縄で生ま育った、沖縄在住ライターです。
ひょんなことがきっかけで泡盛に興味を持ちはじめ、2016年春に泡盛マイスターの資格を取得。『泡盛じょーぐー(沖縄方言で「大好き」の意味)』としてお酒にまつわる情報も発信しています。
 

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