2011.04.11

【大人の社会科見学】沖縄やんばる海水揚水発電所

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沖縄県には世界で唯一の発電所があるのをご存知だろうか?このあまり知られていない発電所を見学してきました。

世界で唯一の発電所!

発電所は沖縄本島北部、国頭村の東側にある。

国頭村高江付近を通ると、目に入る大きな送電線。
その送電線の起点となっているのが、今回見学した「沖縄やんばる海水揚水発電所」なのだ。

海水揚水発電という言葉、初めて聞く人も多いのではないでしょうか?
実は海水揚水発電所は、なんと世界でココだけ!沖縄が世界に誇る発電所なのです!

この世界で唯一の発電所が見学できるということで、早速行ってきました!

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国頭村にある高江共同売店の手前に看板。
しばらく道なりに進むと、途中に展望台的な場所が。

j-power_04.jpgこれ見ただけでワクワクしてきた。
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テトラポットは5mあるらしい。人のイラストが怖い。

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発電所ビュー!(クリックで拡大するよ!)

ここから少し走ると、発電所入り口がある。

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那覇から2時間半。やっと着いた。遠い。

周囲は米軍北部訓練場に囲まれている。

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Not helipad.But heritage.

J-POWER 到着。

広い敷地を少し走らせてJ-POWERに到着。

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発電所というのだからもっと大きい施設をイメージしてた。
 

J-POWERは1952年に政府によって設立された電気の卸売会社
2004年に民営化されました。
ちなみにJ-POWERとは電源開発株式会社の愛称。民営化前はでんぱつと呼ばれていたそうだ。
沖縄にはもう一つ、J-POWERの発電所があるのをご存知だろうか?それがコチラ。

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石川石炭火力発電所。(左の緑色の煙突)
うるま市石川にある石川石炭火力発電所。

 ※隣は沖縄電力の石川火力発電所。ややこしい。こちらは重油とガスを燃やして発電。

大きな地図で見る

沖縄にある数少ない夜景スポットのひとつ。今まで全部が沖縄電力の施設だと思い込んでました。ごめんなさい。

沖縄やんばる海水発電所は、この石川石炭火力発電所から遠隔操作で制御運転している。

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電気はここから送電線を通って変電所へ。
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駐車場に、あかまた注意看板。構内はヘビ注意看板が多い。
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海水を電源に変えた電力会社と書かれたポスター。
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内線電話をかけると担当者が来る。

※ここで見学について注意。

2011年4月1日から見学は完全予約制になりました。
それまでは自由に行って空いていれば見学ができたそうです。
完全予約制にした理由を聞いたところ帰ってきた答えは「今までユルすぎた」。かららしいです。


本当かどうかはわかりませんけどね。
見学希望の方は必ず事前に電話で予約して下さい。見学は約1時間。

開館日:火曜日から金曜日・日曜日。9時から17時まで。
休館日:月曜日・土曜日。
お問い合わせ:(098)964-3711

ではお勉強の時間です。
 

お勉強。

設備を見学する前に、展示室で勉強の時間があります。

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こういうの久しぶり。
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ビデオを観て勉強。

ビデオは2種類あるらしく、初心者用とちょっと技術的なもの。
どちらも約10分くらいで終わります。

ビデオを見終わったら展示室内の模型やパネルを使って説明。

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無駄に欲しくなる模型。ポチッとな。
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ゴゴゴゴゴゴ....

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施設断面図。

※ここで揚水発電について。

ところで揚水発電ってなんぞや?ということですが、簡単に説明すると、

夜間の電気を使って、海水を上部調整池に汲み上げる。

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上部調整池


昼間、電気需要が多いときに汲み上げた時と同じ経路で水を落下させる。

落下した水の力で水車を回して発電。

水は海へ戻る。

なんかエコだ。
しかし海水を汲み上げるのには電力が必要。その電力は沖縄電力の電気を使っている。ややこしい。

上部調整池は八角形。大きさは東京ドームがすっぽり入る大きさ。
フル発電で使用すると6時間で空に。空の状態から満水にするには8時間かかるとのこと。

海水を汲み上げているので、イカや魚の稚魚も一緒に上がってくるそう。
5年に一度、水を抜いて点検清掃をする際に、大きくなったイカや魚を持ち帰る人がいるとかいないとか。
その際、一般の方に調整池を開放して魚を持ち帰ってもらうってウワサを聞いたことがありますが、そんなことは一切ないそうです。

調整池はゴムシートで遮水してある。

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厚さ2mmの合成ゴムシート。
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発電機の説明パネル。

いよいよ地下へ。

海抜132mにある建物から海抜-15mの発電所へエレベーターで降りる。

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作業員用のエレベーターなので狭い。

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約1分で-15mの世界へ。

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到着。

地下発電所建屋

地下の建屋内は気温約30℃
ちょっと生ぬるい。

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建屋の場所などについて説明を受ける。

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発電所組み立て室。

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搬入に使うトロッコ。積載荷重25t。100人乗っても大丈夫。

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100m以上ある搬入立杭。

すべての資材はこの立杭からクレーンを使って下ろされる。
ここは見学後のアンケートで一番人気になる場所。
沖縄で唯一?やまびこが体験できる。これがおもしろい。
約1秒後に反響音が戻ってくる。

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発電機の仕組みについて説明。
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このクレーンを使って組み立てる。

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これが発電機上部。下へさらに10mの場所に放水路がある。

発電機はステンレス鋼製。

トンネルを通って外へ。

いよいよトンネルを通って外にある放水口へ。
トンネルの長さは約200mある。海抜-15mの地下から海抜5mの地上へ。

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風圧があってドアが開きにくいので、小窓を開けて風を通す。
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ボワッ!っと風が吹きこんでくる。

そして...

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なんだろうこのワクワク感は。

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このクレーン車は海水をせき止める鉄板を吊るのに使ったりするらしい。
もちろんこのクレーン車も、先程の立杭から吊るされて下ろされてきた。
トンネルを通って外でも使うとのこと。
 

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トンネル内は上と下で気温が違う。

トンネル内は地下水が流れている。

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ボルトが錆びてる。
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石灰。

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天井には鍾乳石が。

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この分厚い扉の向こうが外。

放水口へ

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ゴゴゴゴゴゴゴ....
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開いた。

この扉は以前、手動で全開まで開けていたそうだ。

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台風の時、ここまで波がくることもあるらしい。ひぃ。

 

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以前、この鉄の柵も分厚い扉だったらしい。しかし台風の時に何度か破壊されたのでこの形に。
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シーサーと監視カメラ。(クリックで拡大するよ!)

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この右側にあるのは放水口への縦穴。左にあるのが海水を堰き止める用の鉄板。先ほどトンネル内にあったクレーン車で下ろす。
ここで海水を堰き止めて、ダイバーが放水口の点検清掃をする。フジツボが多く付着するらしい。

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展望台。

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テトラポットの数は約900個!国内最大級5mのテトラポット。

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ムラサキサンゴ他たくさんのサンゴがあった。大きいアオブダイなどもいるそう。

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最初に上から発電所を見た展望台はあんなところに。

建設当時はあの展望台から山を下って作業していたとのこと。

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テトラポットが2つだけ離れた場所にあるのは、台風によって流されたから。

アンケートを書くと

楽しい見学はあっという間に終わってしまった。
展示室へ戻りアンケートを書くとステキなプレゼントがもらえるよ!

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もう少し見ていたかった。

プレゼントはJ-POWERロゴの入った付箋セットかボールペン。

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どちらかお選びください。
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最後に写真を!というと照れてこのように。

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付箋セットもらったけど、いきなり無くしたっぽい。
ごめんなさい。またもらいに行きます。

調整池の周りも行ってみてください。とのことだったので、発電所を離れて近くにあるダム広場へ。
 

ダム広場

いろいろな草花や樹木が植栽されている。

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しかし敷地内に、ハブに注意看板が多い。

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これ5本くらいあった。

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こういうモノを見ると人は...

水圧管路の実物。直径2.4m。海水で腐食しにくい、フジツボなどが付着しにくいとのことからFRP製。

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登ってみたくなったり。
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寝てみたりする。

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これも5本くらいあった。

ヘビ以外にも来る途中、猪が走ってるのを見かけた。
自然豊かなヤンバルですね。

まとめ

この発電所で発電した電気は、約18kmの送電線を通って、大宜味村大保にある変電所まで送電されている。
発電量は約3万キロワット。1万世帯分の電力を供給できるらしい。

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大保変電所。
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ここで変電されて各地へ。

毎日発電されていることではなく、沖縄電力から要請があったら発電するのだそうだ。
この日は残念ながら稼働していなかった。

沖縄に世界で唯一ある発電所。
1時間の楽しい見学時間はあっという間でした。色々と勉強になった。
もう一度行きたいと思います。(ボールペンもらいに)

みなさんもぜひ電話予約して訪れてみてはいかがでしょうか?

電源開発株式会社(J-POWER)沖縄やんばる海水揚水発電所

大きな地図で見る

〒905-1299 沖縄県国頭郡国頭村字安波川瀬原1301-1
お問い合わせ:(098)964-3711

開館日:火曜日から金曜日・日曜日 9時から17時
休館日:月曜日・土曜日

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