2014.01.27

沖縄御朱印ハンター~前編~

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沖縄には、意外とたくさんの寺社があります。あるものは、行くのみ。

沖縄大好き、DEEokinawa読者のみなさん、初めまして!
今年からゲストライターとしてお邪魔します、牧です。
月1~2回、寄稿させていただきたいなぁと思っていますので、どうかよろしくお願いします!

さて、2014年もさっそく4週間ほど経過しましたね。
新年と言えば、初詣。
年が明けて、みなさんご贔屓のお寺や神社に行きましたか?まだ行ってないな~という方、はたまた、寺社なんか行かぬ!という方もいるかもしれませんね。
 

『御朱印』とは?

そこでみなさん。『御朱印(ごしゅいん)』というものをご存知でしょうか?
御朱印とは、参拝の証として寺社でいただける、平たく言うと昔のスタンプラリーのようなものです。

こちらが御朱印帳なるもの。厚紙が蛇腹状に綴じられており、宮司さんや巫女さんに直接書いていただきます。スタンプラリーとは言いましたが、大きく違うところは『神様仏様の分身』と見なされている点です。なので粗末に扱ってはいけません。
御朱印代は、基本的に300円。
それでは御朱印をいくつか紹介しましょう。


人生初御朱印、平等院鳳凰堂。


銀閣寺こと、慈照寺。


世界遺産、京都宇治上神社。こういった特殊なものもある。500円。

御朱印は本来、参拝者が写経を納めた際にいただく印。単に、寺社に行って即書いていただけるものではありません。御朱印をいただく際には、最低限参拝するくらいの気持ちを持たないといけません。

ところで私の御朱印帳には、京都の御朱印しかありません。沖縄にだって寺社はあるんだから、沖縄の御朱印を集めつつ、沖縄の寺社について少し学んでみようかな?

沖縄には、琉球王国時代に王府から支援を受けて繁栄した、『琉球八社』という特別な八つの神社があります。波上宮、沖宮、識名宮、末吉宮、天久宮、安里八幡宮、普天満宮、金武宮がその八社。
これらは熊野権現という三柱の神(イザナミ、ハヤタマヲ、コトサカヲ)を祀るとともに、それぞれの神社ごとに祀っている神様もいるそうです。

うん、由緒正しい神社なら、御朱印ありそうだね。
であれば、琉球八社を中心に、有名な寺社を巡ればたくさんの御朱印をゲットできるのでは!?

というわけで、沖縄の寺社を巡る旅、いざ開始!!
 

長い長い旅は、ここから幕を開けた・・・

1:成田山

まずやってきたのは成田山。交通安全祈願ならココ!という方も多いのではないでしょうか?

山の中腹という立地から、本島東海岸の眺めは最高。
参拝当日は12月も半ばということで、参拝者は私たちと、親子連れと・・・そして、堂内の二人組の女性。
参拝を済ませ、お守り売り場で御朱印の件を切り出すと、

「これから御祈願が始まりますので、20分ほどお待ちください」

とのこと。御祈願ってどんなふうにされるんでしょうか?せっかくなので、御朱印帳を渡してその場に留まることに。

御本尊の前で執り行われる御祈願。紫の袈裟を着た住職が御本尊に向かって念仏を唱え、もう一人のお坊さんが隣で太鼓を叩きます。お坊さんの堂内に轟くような力強い声は、私すらもその場から追い出さんばかりの念がこもっているようで、圧倒されてしまいます。力強い読経の締めには、御祈願を受けている女性を幣のようなもので祓い、終了。
驚いたことに、祈願後の講話では住職さんまるで仏のような優しい声色で、同じ人物とは思えません。お寺のなんたるかを垣間見た気がしました。(・・・写真を・・・写真を撮れないのが残念なところ!!)

御祈願が終わると、太鼓を叩いていた方が御朱印帳を受け取り、さらさらと筆を進めていきます。御朱印をしたためる姿は美しいと思うのですが、写真撮影はNGです。
さて、まずは一つ目の御朱印をゲット!

一目見て、その力強さにびっくり。まさに、動かざる心、それは安定感と安心感と言えるでしょう。(後ほど調べてみると、成田山は不動明王が御本尊とのこと。なるほど、成田山の御仏の心が御朱印だったんですね~。)
幸先いいです、このまま次行っちゃいましょう!
 

北部までやってきた・・・のだが

2:金武宮

えっ!?

すみません、突然のことに驚いた方もいるかもしれませんが、それは私の方です。これが、金武宮なのです!!
少し、時間を巻き戻します。

金武町までやってきた私たちは、金武観音堂の境内にやってきました。

金武観音堂の境内。日本のお寺と沖縄の植生の素晴らしい融合が生み出す芸術!

地図ではこのすぐ近くに金武宮があるとのことだったので、境内周辺を必死で探したのですが、それらしきものは微塵も見かけられません。
諦めて近くの酒蔵で話をうかがったところ、観音堂境内の右手が入り口とのこと。境内の右手って・・・上の写真に金武宮の入り口が写っているということですが、どうにも腑に落ちません。
半信半疑で歩を進めて見ると・・・

あった。完全に庭の一部と化して案内板もないので見逃して当然ですね。
中を覗いてみると、

発掘現場かなんかでしょうか?(ちがう)
ほの暗い洞内での大笑いは、むしろ不気味さの演出にしか受け取れない・・。

でろ~んと育った鍾乳石。まるで溶けかけのエイリアン。

ここ金武宮は、金武鍾乳洞と一体になっているようです。洞窟自体が社殿ということですね。恐らく御本尊は、一枚目の写真だと思うのですが、確信は持てません。

さて、金武宮についてですが。
こちらは琉球八社の中でも毛色を異にする存在で、八社のうち唯一神職が置かれておらず、王府からの支援もなし、代わりに金武観音堂の住職さんが代々経営してきたようです。
王府の支援がないとは言え、まぎれもなく琉球八社の一角である金武宮。人の信仰心は、立派な社という物理的なものでは量れないことを、よく表しているとも言えそうですね。
 

3:普天満宮

本島の真ん中から車を走らせて、やってきたのは中部随一の神社、普天満宮。

周囲と同化する鳥居の図。

そういえば道路でも見かける普天満宮洞穴は、一体どこに?後で探しますか。

清めの順は、左手→右手→口→両手。
木のぬくもりを全面に感じる拝殿。普天満宮は、随所が木造。

御神体は、鏡。今日は親子連れが多いのですが、遅い七五三の御祈願かと。

天女の太鼓!間違ってお顔を叩かれることは・・・ないよね。

目指すのは、海賊王じゃなくて総理大臣かな。
多分この人の国に、『二兎追うものは一兎をも得ず』という言葉はない。

窓口の巫女さんに御朱印の有無を尋ねると、15~20分待って欲しいとのこと。

御朱印帳を預けて、普天満宮洞穴探索の旅に出ましょう。

この地図を見ても、洞穴の場所は記されていません。敷地内にあることに間違いはないのですが。とりあえず、よく茂ってそうなとこに行ってみますか。

ここ普天満宮の敷地内の下には、川が流れているそうです。参拝者のために平地になっているのかもしれません。

私「絶対あの扉の向こうが普天満宮洞穴だって!」
「落ち着け、絶対、違う。」

角度を変えて見てみたのですが、どうやら私の『絶対』はアテにならなさそうです。
しかし、

廃材置き場のすぐ上に、気になる場所を発見。鉄格子の扉と、その下にぽっかり口を開けた闇が見えます。回り込んでみると・・・

あ、これっぽい。というか、これしかない!
扉を触ってみましたが、当然施錠されてて先には進めません。御朱印ゲットなるも、洞窟ゲットならず。
(後で調べてみると、社務所の巫女さんに声をかければ入れるそうです。やられた。。)

そういえば御朱印帳を預けて随分時間が経ってしまいました。慌てて社務所に戻ります。

なんか緊張して、表彰状授与式。

記念撮影しとこう。

それでは・・・

文字はもちろん綺麗なのですが、それ以上特筆できる感想が思い浮かばないのが辛いところです。お時間と労力をいただき、まことにありがとうございます。
よし、中部では特に行きたい寺社もないので、一気に南下します!
 

那覇は意外と寺社の過密地域

4:末吉宮

さて、車は那覇まで戻ってきました。みなさんご存知かと思いますが、那覇市内は琉球王国の首都、ということで、寺社がたくさんあります。というより、想像以上にありますよ?
という訳で、戻ってたからにはゴンゴン攻めて行きます。

那覇市内1ヶ所目は、広大な末吉公園を見下ろす丘の上に鎮座する、末吉宮。正月三が日、込み合う大きな寺社を避けて初詣できる穴場です。
天気がいい日は、頂上目指して公園の未舗装路を気持ちよく散歩できるのも、ポイント高し。もしかしたら、この長い道程自体が参拝路なのかもしれません。無数の樹木に清められて、拝殿を目指しましょう。

末吉宮跡の碑。

そしてまた、跡の碑。

なんでも3回やれば面白いと思ってるんだろ。

とにかく跡の碑が多い。今よりも、やたら昔を主張する傾向の末吉宮。昔の末吉宮はさぞ立派だったんでしょうか?
この末吉宮。15世紀に建立され、かつて琉球王国時代には、王府の力を背景に持ち、物質的にも権威的にも、それはたいそうなものだったそうです。しかし琉球処分で王府が消滅した後はその勢いは衰え、大戦の前には見るも無残な状況であったとか。そして最後は砲撃で爆散してしまった・・・と。栄枯盛衰、まるで平家物語の平氏の歴史を辿ったかのようです。

おぉ!

ついに社務所が見えた・・・と思ったら、開いてないし!この時点で御朱印は望めません、ゴーーン。。3年前の初詣では開いているのを見たんですが、普段はいないんですね。宮司さん、普段は何をされているんでしょうか。
(後ほど、三が日しか開いていないとの情報が入ってきました)

そして。末吉宮と言えば、この立派な礎石。今の拝殿は爆撃後に残った礎石の跡に建てられているのですが、この様子からも王府時代の権威がいかに大きかったか推し量ることができます。

石段はめこみウコール?専門用語で言われても、一般人には何のことやら。

お賽銭箱が拝殿よりだいぶ手前にあります。ウコールは礎石のことなのでしょうか。お三方、もっと分かりやすく!

末吉宮より、うららかな晴れ間広がる午後のひと時。
すごい!将来沖縄に帰ってきてね!!

というわけで、こちらには御朱印なさそうな様子です。無いと分かった後の、なが~い未舗装の道のりは心にこたえます。。道に迷って、公園側から来たのが運の尽きだったのか。
 

稀有な場面に大遭遇!

5: 識名宮

那覇市がコンパクトなおかげで、目的地を回るのに時間がかからないのは非常によいことです。というわけで、識名宮にやってきました。ここではいただけるのではないかと内心期待しております。根拠など、ない。

この日初めて来た私でも、何か普段の神社とは違う空気を感じていました。
と言うのも、

鳥居の前の道路で、旗を掲げ、白い布を広げるたくさんの男性。参拝路に入りきらず、鳥居周辺を埋め尽くして、皆が道路まで移動してきたのです。

破魔矢を手に指示を出しているのは宮司さんでしょう。
偶然隣に立っていた男性に事を尋ねてみると・・・

「今日はね、御神体の引越しの日なんだよ。お社を新しくしてね。今年は伊勢神宮の式年遷宮の年で、たまたま一緒になったんだよ~。本当は伊勢神宮みたいに20年に一度お社を新しくできればいいんだけど、お金がないからさ。今回は40年ぶりくらいじゃないかな?地元の人も、一生に1度くらいしか見られないんだよ!

地元の方も一生に1度しか立ち会えない、非常に稀で重要な日にやってきました。よその私なんかが居合わせてしまうこの偶然よ。「御朱印欲しさの寺社巡り」という煩悩の塊で本当にすみません。

ゆらりはためく識名宮の旗。

「識名宮の宮司は、普天満宮の宮司が兼ねてるわけ。今あそこで指示出している人がそうだよ。僕も普天満宮からこの日のために来てる。神社自体は全く別のものなんだけどね。」

全く別だけど兼ねているというのは、どういうことなんでしょうか。神事に就く人が減っているからなのか。

「横の公民館から、新しいお社が見られるよ」

とのことなので、ちょっと失礼しまして・・・

何もかもが真新しく、ピッカピカの本殿(兼拝殿)。神様も新築の家の香りで浮き足立っていることでしょう。ところでその神様はと言うと・・・

封鎖された参拝路の奥、ぽつんと寂しそうに御神体が安置された棚。今しばらくお待ちください!!

バタバタととても忙しそうで、神社自体が本来の形式をなしていません。残念ながら、御朱印のこと聞くこと、叶わず。
ただ、普段宮司さんがいないとすれば、ないと考えるのが妥当でしょう。

本来、ないはずの場所にある賽銭箱。ここは参拝路の道半ば!
御朱印がないとなれば、長居はいたしません。参拝を済ませてそそくさと立ち去ろうとすると、説明をいただいた男性から一言。

「そういえば君、神社巡りしてるの?さっき普天満宮に来てたでしょ?」
「・・・!!」

正に、神は、私の煩悩まみれの行動をご覧になっているということであったか・・・。
 

そろそろ御朱印がいただきたい

6: 天久宮

お次は、とまりん近くの天久宮。外人墓地から少し入ったところにあるのですが・・・。

駐車場をバックに、立派な鳥居がお出迎え。左下が参拝路のようですね。

??公民館に来たんだっけ??

近所のおじぃやおばぁが集まって、ゆんたくしそうな雰囲気だな~、地域の神社なんだな~、と思ったら。

左側の建物は拝殿でした。しっかりお祀りされています。見たところ、沖縄の神社の御神体は鏡が多いようでしたが、こちらは御簾で隠されており、その姿をうかがうことはできません。でも、多分鏡だ。

天皇陛下もいらっしゃったと!?さすが由緒正しき琉球八社。公民館とか言ってごめんなさい。
拝殿の隣に祀られているのは弁財天。御神体の鏡が見られます。

社務所にやってきましたが、テレビの音が奥から聞こえるだけで人の姿は見られません。窓口には縁起物がたくさん置かれてあるのですが・・・

「すみません!こちらで御朱印いただけますでしょうか?」

窓口に顔を出したのは、おじぃと呼ぶにはまだ早い60過ぎの初老の男性。今日は暖かいので半そでポロシャツですが、この方が宮司さん??

「すまないね~、今は御朱印やってないんだよ。昔は他に人もいたんだけど、今は自分一人でさ。御朱印書くとなると別の場所から呼び戻されることもあったから、もう出来なくてね。大きなスタンプ台もあったけど、もう使えないさ~。ごめんね。」

そうでしたか。でも、多分こちらにはないだろうと思っていたので、気には留めませんよ。
・・・ん??

御神酒が2種類。泡盛と日本酒。なんか珍しいですね。沖縄は特別に2種類の御神酒が用意されてるんでしょうか?

「泡盛は少し薄めのね。御神酒は子供も飲むことがあるけど、日本酒の方が口当たりがいいからさ~。それで2種類置いてあるわけ。2種類置いてあるのはうちだけだよ。暇だから!(笑)

そ・・そうでしたか。お心遣い、感謝します。
御朱印をいただけなかった代わりに、みかんとお菓子をいただいてしまいました。天久宮は、とても気さく!
 

御朱印は、まだか・・・

7: 安里八幡宮

さて、安里八幡宮を目指して地図を片手に歩を進めるのですが・・・

新都心方面から目指すと、多分迷います。崇元寺通りから目指した方が賢いようです。近所の方に話しかけられて(?)、事なきを得ました。

鳥居前に到着。しかし石造りで落ち着いた色合いの鳥居より、奥に見える新都心の高層マンションに目を惹かれます。ぬぼ~んと迫ってきているようで、さながら現代の巨神兵。(とか言ってたら、こんなの見つけた)

鳥居の足元。大きなわんこが敷いたばかりの生コンの上を歩く姿を想像すると、なんか笑える。
さて、境内に到着・・・!

???

あれ、鳥居をくぐって境内に来たはずなんですが。保育園に来たつもりでは・・・。保育園の敷地と境内が一部共用されているのでしょうか?

goshuina059.JPG

真っ赤な拝殿。まだ少し新しい感じ。

あ、コレかっこいい!こんな形で拝殿に龍があしらわれているの見たの、初めてじゃないかな?

御神体がお賽銭箱のすぐ後ろにあります。すぐ奥手に扉が見えるのですが、普段はあちらに安置されてるんだはず。

お供え物に紅白の寒天ある・・・なぜ寒天なんですか、宮司さん。神様お気に召すんでしょうか。。私ならその寒天でデザート作ってほしいな。



歩き疲れたので、少し休憩させてもらいましょう。社からは、

こんな眺めが広がっています。遊具がだいぶ境内に寄ってる感じですね。普段、園児たちは神様に見守られながらこの境内で遊びまわってるんでしょう。境内だけでなく、かくれんぼでは社も対象になりそうですが。多分、子供だからバチは当たらない。

あ!!年明け早々、閉店宣言!
お休みに入るの早いな~、これでは御朱印どころではありません。
 

まだだ・・・まだ終わらんよ!

大きそうな寺社をいくつか巡ってはみたものの、御朱印未だ二つ。私の御朱印帳が、まだ納得しないとうなっています。
というわけで、沖縄の御朱印を巡る旅は、まだ終わらない。
後半に、続く(長くてごめんなさい)。

ゲストライター

ゲストライター写真:牧
いいオトナなのに、未だ少年の心が原動力の三十路過ぎ。『面白いことは骨の髄まで味わいつくす』をモットーに、休日はオモロー求めて沖縄を駆 け巡る。その模様は、「おきなわバカ(仮)」にて、やや毎週末更新中。

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