2015.10.28

沖縄の山男に出会った話

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つい先日、山男に出会った。でも毛むくじゃらでも大男でもない。山に住む懐が広いおじさんの話です。

道に迷ったら、山男の家に着いた

先日、家族で沖縄本島のとある地域をドライブしていたら、道に迷ったのです。わたしはよく道に迷うのですが、方向音痴ならではの「わからなくなっても調べずに突き進む」「Uターンはしたくない」という特性を持っているもので、その日も構わずに思ったまま走り続けたのです。気持ちでは大通りに出るはずでしたが、車はどんどん山道へ。そしてアスファルトはなくなり舗装されていない1本道になりました。


あ、もうこの道無理だ

諦めてUターンしよう。そう思い、広いところを探していたらこんな場所に着きました。


広い芝生


めっちゃくちゃ良い景色

なにここ。天国?
奥の方にある小屋の前ではおじさんが手招きしていました。
行ってしまっていいのでしょうか。


猫を追って息子が行っちゃう


気づいたら話し込んでいました

おじさんは通称「山男」。
すごく面白い生き方をされていたのでご紹介させていただきます。

電気水道なしで20年

急に来たわたしたちに、おじさんは戸惑うことなくおいでおいでと手招きして家の前にある椅子に座りなさいと促してくれました。
家。そう広場にある小屋はおじさんの家。なんとここで20年間暮らしているそうです。
しかし家には電線の引き込みがありません。そもそも来た道にも電柱がありませんでした。

- ここって、電気はきてるんですか?

わたしの質問におじさんは嫌な顔ひとつせず「きてないよ!」と答えてくれます。

- じゃあ水道は?

「きてないよ!」

電気も水道もない山の上で暮らすおじさん。
いったいどうやって暮らしているのでしょうか?

山男の生活

- ご家族で暮らしているんですか?

1人だよ。
奥さんはここの生活は大変だからと山の下で暮らしている。
ときどき料理を作って遊びにくるよ。
子供や孫も遊びに来る。

- 水はどうしているんですか?

雨水をタンクに貯めて使っているよ。
あなたは飲まないほうがいいけど、僕は20年飲んでいるからなんともない。
買った水より美味しく感じる。


水を貯めているタンク

- 電気がなくて不便ではないですか?

自分は太陽が落ちたら眠るから、いまは7時ぐらいに眠る。起きる時間は自由だよ。寝る時間も決まってないけど、やることがないから。
お酒は我慢している。
昔は1日1升近く飲んでいたけど体を壊してドクターストップ。
まだまだやりたいことがあるから、いまは飲まない。11年になった。
次に飲むのは運転もできなくなって、身体がヨボヨボになったら飲もうと思っている。
今はまだ生きないと。

- そもそもなぜここで暮らそうと思ったんですか?

年齢がいったら海が見えるところで生活したいという夢があったの。
それで、たまたまここを見つけて。海が見えたからさ。
自分が来た当初は、入ってくる道があるさ、あの辺から全部山だったんだよ。
全部ユンボで切り開いて。ユンボは動かせたから。


昔は全部がこんな感じだったらしいです


相棒のユンボ

ここに来る前、24年ぐらいになるかな。お母さんと2人キャンピングカーで日本一周もしてるよ。40日ぐらいかかったかな。そのあとの夢がこれだったわけよ。

今の夢はここで健康で長生きすること。

- 山の下には降りないんですか?

今はあまり降りないようになっている。ときどき買い物ぐらいかな。
あと月に1回、同級生で模合もしているから、そのときは降りるよ。飲まないけど。

- 普段はなにをされているんですか?

去年までは仕事をしていたけど、もう引退した。
いまは運動もかねて芝生を整えたり、脇道の草を刈ったり。
芝生は勝手に生えてきているんだよ。植えたわけではないんだよ。
あとは人が来たらユンタクしてね。
前に訪ねてきた市長から「山男ですね」と言われてその呼び名は良いなと思った。


山男のおじさんの手は厚い

武道の達人?が来ました

話をしていたらお友達が来ました。
お友達はおじさんに挨拶をして、わたしに「ごめんなさいね」と断って服を脱ぎ…


エイエイエイエイ

身体の鍛錬をはじめたのです。

ここの景色を見ながら全身で風を感じて運動することがいかに身体にいいか、自然との向き合い方を熱く語り、家のまわりにある石や壺を使ってトレーニングをしておられました。


地球を感じる

ちなみに、達人は山男のおじさんとはもともと知り合いだったものの、つい先日「会いにに行かなければ!」と思い立ち、4年ぶりに再会。それからは毎日のように通い、なんと夜と早朝もこの場所で鍛錬するために、今では車内で寝泊まりしているのだとか。

人のうちで長期間オートキャンプ。
立ち振る舞いは紳士的なものの、達人…やっていることが濃ゆい。濃ゆすぎるのです。

夜景もすごい

ひとしきり遊ばせてもらい、そろそろ帰ることに。
山男のおじさんは言います。
「いつでもおいでね」
「お土産なんかいらないよ」
「楽しくやれるだけでいいから」

迷ってたどり着いただけなのに、なんでしょうかこの懐の深さは。

間違って入ってこられて困ることはないのですか?と伺うと、
「夜景を見にアベックがよくくるわけよ。来る時は登り坂だからゆっくり来るけど、帰りはエンジンかけて下って行くからよく起こされたわけよ。だから夜は車が入れないように道をふさいである。
寝ているところを起こされたら、また寝にくくなるからね。
来るのはいいんだよ。景色はみんなのものだから」

と言っておられました。

すべてを受け入れワハハと笑うおじさんは、まるで神様みたいな人なのです。

沖縄のどこかの山にはそんな山男が暮らしています。
もし道に迷ってたどり着いたら、ぜひユンタクしてみてくださいませ。

ちなみにこの日は花火があがるから夜もおいで!と言われて再訪させてもらいました。


花火を見下ろしたのは初めてかもしれない

もちろん今夜も車中泊の達人もいて

夜景に浮かぶ達人の姿はなかなか素敵でした。
余談ですが達人は楽天で赤いフンドシを買ったそうです。

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