樽貯蔵泡盛の色が薄い理由とは

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泡盛にはウィスキーと同じように樽貯蔵されているものがあるのですが、これらの泡盛の色が薄い理由を皆さんご存じでしょうか?

DEEokinawaの読者の皆様初めまして。泡盛を愛し、広める活動をしています、比嘉康二といいます!大好きな泡盛を身近に感じていただけるよう頑張りますのでお見知りおきを。

 

早速ですが、みなさんに問題です!写真のお酒が何か分かりますか? ウィスキー?ブランデー?

実は泡盛を樽で11年間寝かせたものなのです。そう、ウィスキーと同じように泡盛も樽で寝かせると樽の色や味わいが付くんですね。

では代表的な樽の泡盛をいくつか挙げていきましょう!

ドン!!

左は、CMで『あなたにくらっ』でもおなじみヘリオス酒造の【くら】
真中は樽の泡盛を一番最初に作った神村酒造の【暖流】
右は今帰仁酒造のトップブランドで、県外ファンも多い【千年の響】です。

最初のお酒の写真と比べて何か気づきませんか…
分かりづらいですか?

…そう。色です、お酒の『色』。色の濃さが違いますね。

参考までに並べてみるとこんなにも違います。


これが『くら』の色~樫樽熟成~


『暖流』の色~バーボンの樽で熟成~


『千年の響』の色~シェリー樽とオーク樽のブレンド~

一般的に販売されている樽の泡盛は色が淡い、琥珀色ですね。
では、なぜこのような色の違いがあるのでしょうか?

 

色の濃い泡盛は販売できない!?

実は日本の酒税法の中には色の決まりもあり、色が付きすぎてしまう樽100%の泡盛(焼酎も含む)は販売できないことになっているんです。

理由は諸説あるようですが、樽の色が付きすぎてしまうと、ウィスキーとの区別もしづらくなるからという理由が一点、もう一点は掛けられる税金も異なるので違いを分かりやすくするため…ということだそうです。

なんかもったいないですね…

そういった、樽の色がついた泡盛を販売する方法が2つあります。一つは『色がつきすぎる前に樽からタンクに移す方法』。これだと、半年ほどで樽の香りをつけて出荷することができます。

もう一つが、『しっかり色のでた樽原酒を自社の泡盛でブレンドし色を薄めていく方法』です。どのくらい薄めないといけないかというと、ちゃんと決まりがあり着色度0.08以下!!
…わかりずらいですよね。
…要は販売されている樽の泡盛の色がその基準値0.08以下の着色度をクリアしています。

なので、樽の泡盛はウィスキーほど色が濃くないんですね。

ここで、プチサイドストーリーです。
樽の泡盛の元祖は、神村酒造の『暖流』ですが、実は本土復帰(1972年)する4年前から暖流を完成、発売していましたので、当時の暖流の色はもっとウィスキーよりの濃さでした。

本土復帰することにより日本の酒税法に当てはめると、そのままの濃さでは泡盛として販売できなくなってしまったんですね。蔵元さんが苦心して完成させた泡盛が売れなくなってしまう、複雑な時代背景があったということですね。


お店にある樽の泡盛を9割並べてみました。みなさんはいくつご存知ですか?
(クリックで拡大できます)

また、樽の泡盛が生まれるきっかけは、戦争で貴重な古酒が喪失してしまったことにあります。戦後の泡盛は原料の確保もままならない、作る環境も不十分な中はじまります。そういった中で作られる泡盛はどうしてもキツく、臭かったと言われます。泡盛離れが進んでいく中、アメリカ軍統治下であった沖縄には良いウィスキーがどんどん入っていき、ウイスキーを飲む方が増えていきました。


暖流の樽貯蔵風景

そういった中、もう一度泡盛を飲んでもらいたいという、神村酒造三代目、神村盛英の想いが、樽仕込の泡盛だったのです。伝統的な泡盛作りにあたって、甕やタンクではなく、樽で寝かせるというのは、その当時批判もあったはずです。それでも、まずは飲んでもらいたい泡盛と、流行っているウイスキーの中間のお酒をと、泡盛への熱い想いが暖流を誕生させたのでしょう。

そして、誤解してほしくないことがあります。 もちろん樽100%の泡盛にも魅力はあり、将来飲めるようになってほしいですが、現在各酒造さんが作る樽の泡盛も素晴らしいお酒です。ブレンド=悪いイメージをもたれる方もいますが、ブレンドすることで、より良くしようと造り手は努力されています。樽原酒の香や味わいをどう引き出すか研究を重ね、樽の種類や、貯蔵環境、ブレンド率にこだわり、魅力的な琥珀色の泡盛が産まれています。

仲間と酔う為の身近な島酒ですが、それだけではもったいない魅力がたくさん込められている泡盛の魅力を感じていただけたでしょうか? 沖縄で育ち愛され続けてきた誇れる泡盛文化に興味をもっていただけたら幸いです。

因みに冒頭のお酒ですが、樽貯蔵100%なのになぜ販売できるのかが気になる所だと思います。このお酒一応泡盛なんですが、泡盛との明記は法律上できないので、リキュールとして販売されている泡盛リキュールでした。次回はもっと掘り下げてご説明したいと思います。

 

ゲストライター

ゲストライター写真:比嘉 康二
比嘉 康二
600種類以上の泡盛を歴史とともに楽しめる BAR『 泡盛倉庫』の店主。
沖縄、泡盛を愛して活動しています♪
泡盛が世界に誇れる日本のかっこいい蒸留酒になれるよう微力ながら泡盛ネタ発信していきます。
よろしくお願いします<m(__)m>

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