2019.10.24

沖縄の縄文土器でスクガラスはできるのか?

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沖縄で出土した縄文土器(のレプリカ)。これでスクガラスを作ったら面白いんじゃないだろうか。

暑い日が続いていますが、某市博物館の学芸員として働く旦那が、唐突にこう言い出しました。

「オレ、沖縄の縄文土器でスクガラス作れるか試すけど…」

縄文土器?スクガラス?何を言ってるのか分かりませんが、ダンナに代わります。

 

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はい、ダンナです。

なぜスクガラスを作るのか…それは土器作りの師匠とのちょっとした会話がきっかけでした。

師匠:「タイとかじゃ魚の捕れる時期に合わせて器を作って魚醤漬けるんだよ」
自分:「沖縄でもやってましたかねえ?」
師匠:「やってても不思議じゃないよなあ」
自分:「それってスクガラスですよね!作ります!」

実は沖縄では日本復帰の頃まで、狩猟採集をしていた時代は「縄文時代」ではなく、「(沖縄)貝塚時代」と呼ばれていました。沖縄では県外と共通する「縄文土器」が見つかっていなかったからです。

その後日本本土復帰の頃の開発ブームの際に沖縄ではたくさんの遺跡が見つかりました。そのうちの一つ、沖縄市の室川貝塚で見つかったのが「市来式土器」です。その後、県外の縄文時代との関連が研究され、沖縄でも「縄文時代」という言葉が使われるようになったとい経緯があるのです。

さて、そんな縄文時代にスクガラスが作られていたかは謎ですが土器でスクガラス、ちょっと興味がありませんか?

というわけで用意するのは、

・沖縄の縄文土器
・新鮮なスク
・クバ(ビロウ)の葉
・塩
です。さっそく作ってみましょう。

 

縄文土器を作る


ホンモノは割れているので、今回は師匠に作ってもらった土器を使います。


一応、消毒と泥臭さを消すために煮てみました。縄文時代はやらなかったでしょうね。

まずは縄文土器を用意します。さすがに本物は使えないので、師匠が作った土器を使用します。消毒のために煮沸してみましたが、このグツグツ煮込まれているのが「市来式土器」のレプリカです。縄文時代という言葉が無かった時にこの土器が出土した時の興奮は忘れられないと師匠が言っていました。なかりエポックメイキングな出来事だったのだと思います。

 

スクを手に入れ塩漬けに

続いて奥武島まで出掛けて生のスクを購入します。スクはアイゴの稚魚で旧暦6月くらいに沖から沿岸にやってきます。このスクを塩漬けにしたものがスクガラスです。今回は450gのスクに対して塩を230gで試してみました。ちょっと大目の塩分で試しています。

 

土器にスクを入れ、クバの葉でフタをする

塩漬けのスクを土器に収めます。

縄文時代に取れたであろう素材にこだわって蓋はクバ(ビロウ)の葉にしてみました。このまま1ヶ月くらい置いて発酵を待ちます。

 

スクガラスはできたのか

スクを漬け始めて約一ヶ月。土器の野焼きを行うことになって、そこでスクガラスを開封する運びになりました。久しぶりに「開かずの間」に行くと、土器から発酵食品のニオイが!これは期待が持てる…!

クバの葉を取ってみると…なんだか期待していたのと違う。

実は、使ってない土器ってとっても水を通しやすいんです。水分がすっかりと抜けてしまってスクガラスというよりも、塩で乾燥したスクになってしまいました。ただ、発酵はある程度していて、アミノ酸の味がしました。問題は塩!スク2に塩1の割合で塩をまぶしたのですが、高血圧にはちょっと多すぎでした。

とりあえずスクガラスは出来上がったので、野焼きの会場に持っていきましょう。持ち運びには、このかわいい土器を使います。沖縄だけで見られる「荻堂式土器」と呼ばれる土器です。室川貝塚では、たくさんの荻堂式土器が見つかりましたが、その中でも最小サイズのものを師匠が作ってくれました。調味料入れとしても手ごろなサイズです。

野焼き会場。恩納村博物館の敷地を使わせてもらい土器を焼いてます。熱い!暑い!塩分が欲しいがスクガラスは塩辛い!

せっかくスクガラスを食べるのに、スクガラスだけでは物足りない…。というわけで土器で飯を煮ました。写真の土器は「グスク土器」と呼ばれるもので、沖縄のあちこちにグスクが作られた時期に作られたものだそうです(写真はレプリカ)。

この時期には徳之島のカムィヤキと呼ばれる陶器や中国の磁器(陶器や磁器は窯で焼く器)なども沖縄に入っていますが、同時に、まだ土器(野焼きで焼く器)が焼かれていたのです。土器は越来グスクで見つかったものを師匠が再現してくれました。

グスク時代のいいところはコメがあること!ただ、お米だけの白ごはんではなく、オオムギやアワなども一緒に見つかっているので、雑穀入りで気分を高めてみました。

今回はご飯を「炊く」ではなく「煮る」なので、ジューシー風です。豚のミンチを入れて、ちょっと油の味を足すのがおいしさのコツ。

葉っぱの上にジューシーとスクガラスを乗せ、いざ試食!うん、なかなかイケます。スクガラスはかなり塩辛いですが、あの瓶のスクガラスの感じもちゃんとしています。まだスクガラスが縄文土器と一緒に見つかった、みたいな話はないですが、昔の人もこんな風にご飯をたべていたのかもしれません。

 

というわけで、今回はここまでです。沖縄では夏から冬にかけて、いくつかの博物館で土器づくり教室が開催されています。文字もなかったころの沖縄に思いを馳せながら土器づくりも、なかなかオツですよ。

うちの博物館でも土器の企画展が開かれます。

土器作り体験や土器を使って実際に料理を作ってみるというワークショップもやっているので是非興味がある人は参加くださいね。
以上ダンナでした!

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