2014.07.14

【お仕事密着】沖縄のカニ漁師

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沖縄にもカニ漁師がいるのをご存知だろうか?年々少なくなっている貴重なお仕事に密着させてもらった。

ここ南国、沖縄でもカニ漁が行われていることをご存知でしょうか?
カニ漁といえば松葉ガニ、越前ガニといった寒い北国を連想させますが、沖縄でも行われているのです。

今回は県内でも数少ない沖縄のカニ漁師のお仕事に密着取材したいと思います。

国場川に浮かぶ小舟

そもそものきっかけは僕は子供の頃に近所の国場川で釣りを覚え、38歳になった現在も足しげく通う愛しの国場川で、時折目撃する小さなボート。


国場川は那覇市と豊見城市の間を流れる川。下流部には漫湖がある

昔から「あのボートは一体何をしてるんだろう?」と疑問を抱いておりました。
この度ご縁があってボートの持ち主にコンタクトができ、密着取材許可を頂きました。

南国のカニ漁師

ボートの持ち主はカニ漁師のOさん(53歳)
今回、僕は漁のお手伝い(漕ぎ手)を兼ねて、色々お話を聞かせて頂けることになりました。
ちなみに集合時間は朝の4時。


暗い

- 漁師さんは朝早いですね。

昼間は暑いから、涼しい時間帯に漕ぐのが一番だよ。

- 何年ぐらいやっているんですか?

自分はカニ漁を始めて8年ぐらい。昔からやっている人はいたけどいつのまにか引退して今では国場川では俺1人。今ではカニ漁を仕事でやっている人は本島では数えるぐらいしかいないね。

カニ漁をする前は大きな漁船持っていて、マグロやセーイカ漁をやっていたよ。


5分ほど漕ぎ続けていると第1ポイントに到着


慣れた手つきで蟹網を引き上げると、沖縄高級食材であるノコギリガザミ(マングローブクラブ)が!

- こんなに大きいのが獲れるんですね!

いや、これでも中型くらいで1kg弱かな。大型となると3kgオーバーだよ。
中学生の頃に獲ったやつは3.6kgだった。昔に比べて大型が減ったような気がするよ。
西表島のガザミは今でもサイズが大きいから、西表産は高級ブランドだよ。

子供の頃からカニは小遣い稼ぎだったんだ。
学校サボると親にゲンコツ喰らってたけど、カニを獲ってくると言ったら、全然叱られなかったさぁ。


カニ網を掃除して再度、エサであるティラピアの半身を仕掛けて投入。次々とポイントを巡っていきます


夜が明けてきました。

- だいぶ上流まできましたね(周りは住宅街ですが)

潮位に合わせてポイントを変えていて、今日はカゴを41カ所仕掛けてある。テンポ良く進まないと。
カニってやつは行動範囲が狭くて砂利の中に隠れているんだけど、動きは素早い。
それに縄張り意識が強くカニ網のなかにオス同士が入ると相手がバラバラになるまでやり合うから凄いよ。

- カニ漁に繁忙期はあるんですか?

年末の忘年会シーズンは忙しいね。あとはプロ野球団が沖縄キャンプに来てるときなんかはカニの値段が上がるから稼ぎ時だよ。カニ漁は朝は早いし、体力を使う重労働で大変だけどね。

- カニ漁師をやってて良かった事はありますか?

自分のやりたいことで飯を喰っていることかな。
困った事も多いけどね。よくエサになるティラピアを獲る網に、サメがかかって仕掛けを壊すんだよ。
こないだなんか2メートル近いサメを棒でたっくるして(叩き殺して)やった。ホントにサメは困りもんだよ。

人間も困るね。数年前、係留してる船の鍵を夜中に壊すヤツがいてよ。3日間、ヌンチャク構えて張り込んでよ。それで犯人3人組を撃退して警察に突き出してやった!

- ヌンチャクですか!犯人もビックリしたでしょうね(笑)

 

出荷準備

すべてのカニ網を見て回って帰って来たら朝8時でした。
漁が終わると、次は足早にセリに出す準備にとりかかります。

ノコギリガザミのハサミは乾電池を潰すほどの力があるそうです。
Oさんも子供の頃に挟まれて痛い思い出があるとか。

ハサミに注意しながらノコギリガザミを縛り上げていきます。


左がオス、右がメス

今回の大物はコレ!
1.5kgぐらいでしょうか。


巨大なハサミがカッコいい!

今回獲れたのは約30匹!2つ分のカゴいっぱいにノコギリガザミが積まれました。


身体が青いのは脱皮をしたばかり。食べ頃は茶色だそうです。

セリは深夜2時からだそうですが、これからノコギリガザミのエサであるティラピアのカゴを回収し、明日の仕掛けの準備をしないといけないそうです。朝4時前から働いていることを考えたらすごい重労働です。

 

美味しい食べ方は?

カニ漁師のOさんより「漕ぐのを手伝ってくれて助かったので御礼」にと沢山のノコギリガザミを頂きました。

「ズバリ、ガニ漁師さんに伺います。高級食材・ノコギリガザミの美味しい食べ方は!?」
「うーん、そーだねー。小さいやつなら味噌汁(赤だし)か鍋。大きいやつならボイルした身が美味しい。」
とのことでした。


高級食材のノコギリガザミをゲット!

 

食べてみた

最初に作ったのはOさんの意見を無視するのもなんですが、ラーメン好きの僕としては一度はやってみたかったノコギリガザミラーメン!


感想としては、牛vs蟹の決勝戦って感じです(・・・あまり合わない)。

続いてはOさんのオススメ、ノコギリガザミ鍋。


5~6人用鍋に収まりません。

寄せ鍋風の出汁で食べたんですが、ノコギリガザミから濃厚な出汁が出て食材がいつもの100倍ウマい!!
そして出汁ももちろんですが、カニの身もたくさん取れたし、〆の雑炊の美味しかったこと!
食べている間中、美味しい笑いが止まりませんでした。

そして最後は小ぶりのものを赤出しに。


!!!!

これは過去最高に美味しいみそ汁かもしれない!

まず一口すすると出汁の濃厚さに驚きです!
でも臭みはいっさいなく、後から後から旨味が溢れてきます。
ノコギリガザミ本来の美味しさを味わうという意味では赤出しが一番なのかもしれません。

ノコギリガザミうまし!

県内でも少なくなっているノコギリガザミ漁。
もしかするとそのうち流通に乗らなくなる日が来るのかもしれません。

その前に、まだノコギリガザミを食べたことのない方は、本当に美味しいのでぜひ一度食べてみてほしいと思います。

Oさん、今回は大変興味深い漁体験に、美味しいお土産、本当にありがとうございました!

じゅくちょー
那覇・南風原・八重瀬町の「空手道場 琉心塾」責任者 桃原明世 (周囲からはじゅくちょーと呼ばれる。)
アウトドア大好き。「将来の夢は冒険家!」と言ったら嫁に「ウザい。」と一蹴されるのが悩みです。

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