6年に一度の渡久地行政区大綱引き

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2014年9月21日(日)、本部町の渡久地にて渡久地区大綱引きが行われました。那覇、与那原、糸満、喜屋武など、南部の綱引きは有名ですが、本島北部にもアツい綱引きが多様に存在しています!今回は本部町の中心区である、渡久地区の大綱引きを取材してきました。

300年余の歴史を誇る渡久地行政区大綱引きは、旧暦8月15日に、豊年祭(4年ごと)をはさんで7年回りで行われます。当日は、東西のアサギ(村々において神を招請して祭司をおこなう場所、またそこに建てられた祭司用建築物のこと)にて、神女(カミンチュ)による御願が行われた後に、道ジュネー、そして全長約66メートル、胴回り1.9メートルの綱を引き合います。

今回は、午後2時から始まった道ジュネーを見ることができませんでしたが、5時から行われた綱引きに参加してきました。それでは7年に一度しか行われない渡久地行政区大綱引きの様子を早速レポートしたいと思います。


渡久地の守護神であるヨケの嶽を腰当にした拝所で、西のアサギ。ここでカミンチュによる御願が行われた場所です。

前回の綱引きはどうだった、とか楽しそうに話し込む地元の皆さん。
揃いの衣装で綱を待つご夫人方も!

まずは綱引き前の様子を少しご紹介しましょう。綱引き会場となる郵便局通りには4時を過ぎたころから続々と人が集まり始めました。これから引く縁起物の綱の上に座って楽しげに会話する皆さん(笑)。

民家の二階ベランダに上がって場所取りしたりと、かなりアットホームな雰囲気です。


道ジュネーを終えた東西の旗頭が並ぶ。

渡久地区では、東(アガリ)が勝つと豊作になり、西(イリ)が勝つと大漁になると伝えられています。渡久地の綱引きは1回きり。何度も引かないのが渡久地流。

 

東の牛若丸と西の弁慶が登場して支度が始まる。 

綱引き前にまずは支度(シタク)が行われます。

この支度では、東西両陣営から歴史上の人物に扮した若者が登場します。

地域の伝説などにまつわる人物に扮し、大勢の男性が支える戸板の上で勇壮に戦います。護佐丸と阿麻和利(勝連)や、イチマンマギーとマカビチャーン(糸満)などもあるようですが、渡久地は牛若丸と弁慶。地区の若者が抜擢され、練習を積むそうです。大役です!


準備を終えた弁慶。公民館前にて写真撮影に応じます。

5時を回ったかと思うと、突如会場が歓声に包まれます。東の牛若丸が現れました!「わぁー」ドラの音に導かれて勇ましく中央へと登場。

黒を基調にした衣装の西の弁慶
鮮やかな衣装が印象的な東の牛若丸

気合いが入った表情で互いを迎え撃つ牛若丸と弁慶。不安定な戸板の上で堂々の演舞を披露する四人に、声援と拍手が沸き上がります。

西に弁慶が、東に牛若丸が颯爽と登場して、戦いが始まりました。

戸板(バンク)を持つ男性たちも必死。戸板の下でも戦いが繰り広げられます。


気合い全開のお兄さん発見!頑張れ~

牛若丸と弁慶の気迫溢れる演舞に、会場のテンションもヒートアップ。歓声に包まれます。「わ~ぁ!」「かっこいい~」

楽しげな観客とは対照的に、両腕だけで、30分近く戸板を支える男性陣からは「まだかっ!?」「きつい!」「ひぃ~~ぃ」「うおぇ~×○×◇」など、苦痛に耐える叫び声が。

この戸板の作法は、他の地域でもこうなのでしょうか?せめて肩に担げればと思うのですが…本当にツラそうです。観光客やらそこらへんにいた男性やらを、強引に戸板の下へ連れ込む実行委員の姿もありました。(笑)

30分に達するかと思う頃、弁慶が引きはじめます。

決着がついたようで、牛若丸が扇を出し後ろに下がっていきます。

会場を盛り上げた演舞に拍手喝采です!

 

支度が終わり綱引きの準備を開始!

せ~の!
雄綱と雌綱を合わせる準備。

渡久地区民、地元民、観光客、みんなで綱を真ん中に寄せます。

綱の準備を終えましたが、なかなかカヌチ棒が運び込まれません。東西のリーダーが、拡声器で参加者の士気を鼓舞すること20分。

ようやくカヌチ棒が登場。雄綱と雌綱が繋ぎ合わされます。

綱の位置を厳密に調整した後、区長さん(赤ハチマキ)の合図でついに綱引きがスタート!

「引け~~~~ぇ!」

カヌチ棒でも激しい攻防が!必死の形相でカヌチ棒を引き込みます。

ガーエーのご婦人方!「♪アリアリアリ~」

時間にして3分余り、勝負を制したのは西!

勝利の瞬間!

わぁ〜!勝ったぞ〜
綱の上でカチャーシーを踊り出す役員さん。

踊ったり抱き合ったりして、喜びをかみしめる西の皆さん。2008年の前回に続き、2014年も西が勝利しました。

親戚の分でしょうか?細い綱を大量に確保しています。
こちらの男性は太くて長い綱をゲット!

縁起物の綱を持ち帰ろうと、綱に殺到する参加者。嬉しそうです。

雄綱と雌綱は立派なカヌチ棒で繋がっていました。

ん!?手前の男の子が被る帽子は、もしや海洋博の帽子か!現場で気がつかなかった…。


役目を終えた綱がとても誇らしげです。

もちろん、私も縁起物の綱を持ち帰りました!(写真撮るの忘れましたが…。)残った綱は、町内の農家さんへと引き取られ有効利用されるそうです。

 

次回開催は2020年

初めて見る渡久地行政区大綱引き、何だかすごくよかったです。

2008年の前回も西が勝利しているので、本部町特産のカツオが引き続き大漁!ということになるのでしょうね。人口約14,000人に満たないの本部町ですが、渡久地区の大綱引きのように、地域住民の努力によって受け継がれている行事が多様に存在しています。こういう地域が、県内各地にたくさん存在していることを考えると、本当、すごいことだなと改めて感じました。

次に渡久地の大綱引きが見られるのは2020年!
那覇からは遠いですが、ぜひ足を運んでみてください。今回見れなかった道ジュネーにはミルク行列もあるようなので、ミルクコレクションの新顔撮影のためにも、6年後、また取材したいと思います。

 

ゲストライター

ぐしけんこずえ
プロフィール:EXPO'75沖縄国際海洋博覧会マニアな編集者・ライター。得意技は二段階右折。本部町出身。
 

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