ケービンの遺構は今、どうなっているのか?

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かつて沖縄県にあった「ケービン」。現在に残るケービンの跡を今見ておこうと思い立って出かけました。

かつて、沖縄県に鉄道がありました。

「ケービン」と呼ばれ親しまれていましたが、戦争のさなかに焼失。
橋脚や線路跡などが残っていますが、風雨にさらされたり、開発による消滅で少なくなっているそう。
現在に残るケービンの跡を、今見ておこうと思い立って出かけました。

そもそもケービンとは

正式名称は「沖縄県営鉄道」。
戦前には与那原線、嘉手納線、糸満線の3路線が運行されていましたが、いずれも1945年に戦争の激化で運行を停止しています。
通常の鉄道よりも線路の幅が狭い「軽便鉄道」で、これが地元では「ケービン」と呼ばれ親しまれていたそう。


与那原〜那覇間、営業距離9.4km。当時の所要時間は32分、だったそうです──。

今回はそのうちの一つ、与那原駅をスタートして、終点の那覇駅(現在の那覇バスターミナル)までを走った与那原線の線路跡を歩いてみます。

 

与那原駅と、復元された駅舎

那覇市内からは、バスの31番(泡瀬西線)に乗ること30分。「与那原」のバス停で降りて少し歩くと、今日の出発点である与那原駅に到着します。
与那原駅は、2015年に駅舎が復元されていて、中は資料館になっています。

……休館日でした(火曜が休館日)。

別の日に改めて。中は資料館になっています。

建物は新築なのですが、裏手に元の駅舎の柱が9本残っています。鉄筋コンクリートで建て替えられた、2代目駅舎の柱だそうです。
室外なので、風雨で削られていくのでしょうか。

 

住宅地になっていた大里駅

線路跡は開発され、当時の面影を残すのは一部だけとのこと。そこで、Google Map と、ボーダーインクさんから出ている「おきなわ軽便鉄道マップ」を頼りに進んでいきます。
与那原駅を出て西へ。駅の周辺に用水路があり、それが線路跡と聞いてきたのですが、家が建っていたりして見つけられず。古い家が建て替えられる際に蓋がされたりして、地上からは見えなくなっているのかもしれません。

なにか残っていないのかと探しますが見つけられず。

線路は与那原から西へ、与那原警察署の裏を通って国道329号と併走したとのこと。さらに西へと足を進めます。警察署の裏は幼稚園と接していて、ここを抜けるのは無理なので迂回しました。

国道沿いにある「赤煉瓦通り」の看板を左折。線路は南に曲がり、国道77号に沿って大里駅へ向かいます。すでに汗だくです。

この奥の方に大里駅があったそうです。住宅地になっており、開発が進んでいます。

 

線路跡らしい場所

大里駅の南にガソリンスタンドが見えます。このスタンドの横手を行くと、分かりやすい線路跡があるとのこと。

5分ほど歩くと、これは確かに、線路があったことを感じる景色……!

サトウキビ畑の中をゆくこの道が、かつての線路の跡地だそう。ケービンでは製糖工場の荷物も運んだとのことで、畑の中をのんびり進む汽車を想像しながら進みます。

鉄道の景色を感じさせる景色が拡がります。ただ、この道まっすぐで、ものすごく長いです(線路だったわけですし!)。一本道なので迷わないですが、どこまで続くのか不安になります。

この区間が、今見られるケービンらしい風景なのかも、と思いました。変わらないといいなあ。
そんなことを思いつつ、サトウキビ畑の中を歩くこと30分。那覇空港自動車道の高架が見えてきます。

高架をくぐって、線路は西へ。
住宅地を抜けた先、宮平駅のあったあたりは、大きな公園になっていました。公園の中には拝所が。

公園を横切ると、国道に戻ります。目の前には丸大さん。
ここまで歩いて分かったんですが、線路跡はわりと分かりやすく道になっています。
ところどころ途切れてはいるんですが、線路の延びている先あたりを探すと、またそれらしき道が続いています。これを探しながら歩くのが楽しいです。

線路はは丸大さんの横手を通って、国道の北側へ。

 

わずかに残る鉄道の雰囲気

住宅地の中を、線路跡が続きます。だいぶ慣れてきて、いちど線路跡を見失っても、すぐに見つけられるようになってきました。
もはや何らかのゲーム。

兼城十字路を渡って、琉銀のビルの裏手に出ます。
その駐車場が、かつて南風原駅があったところとのこと。特に看板などは出ていませんが、なんとなく雰囲気はある、ような気がします。

とはいえ何も残っていないなぁ……と近隣を探していたら。

これは。

近づいてみてみると……!

帰ってから調べたところ、ケービンの橋がかかっていたあたりに架けられたものだそう。ケービンを想像させる景色が見られます。

場所は兼城十字路の近く、宮平川にかかる「兼城橋」の奥。イエローハットさんを目印にすると分かりやすいかと。

線路跡は宮平川沿いに西へ。一日橋のマックスバリュさんの裏手を抜けて、一日橋の交差点へと向かいます。

交差点の、那覇に向かって左手のあたりが一日橋駅跡。このブロック塀が駅跡ってことはないはずなので、跡地に何かが建って、壊された後、なんでしょうか。広場になっており木が生えています。

 

当時のままの遺構

一日橋から西へ、国場駅のあったあたりに来てみたらこんな感じ。開発が進んでいるのもあって、線路跡も駅の跡も分かりにくくなっています。
道に沿って線路があって、右手の駐車場のあたりが国場駅跡です。


国場駅跡

線路は国道の裏手に沿って進んでいるので、また歩き出します。そろそろ疲れてきました。
なにせ与那原線、総延長9.4km。普通歩きません。
その上、「その場所に駅があった」とか「線路が走っていた跡」とか、想像力を必要とする物ばかりなので(それはそれで楽しいのですが)、物体として残っているものも見たくなってきました。

で、あるんです。残っている遺構が。

まちまーいさんの看板もあるので、これを目印に探すと見つけられます。
車だと見落としがちなので、歩くのをお勧めします(しんどいですが)。

用水路の脇に、レンガが積まれている部分があります。これがケービンで使われていた本物の橋の一部。国場から真玉橋に向かう国道の左手にあります。
宝モータースさんを探すと、そのお隣に見つけられるかと思います。

 

那覇市内にも線路跡が残る

当時の雰囲気を残すものを見られたので、少し足取りも軽くなりました。駅も残すところあと3つ。
のどかな風景から市街地に変わってきて、遠くまで来たなあ、という気分になります。当時ケービンに乗っていた人たちもこんな気分だったのかも。

真玉橋の交差点には、かつての真玉橋の遺構が残っています。これはケービンが通っていたわけではないのです(一時期勘違いしてました)。
那覇側と豊見城側それぞれに遺構があります。ということで、新旧の真玉橋を一枚に(豊見城側からのアングルです)。

雨に降られたので、日を改めて出発です。そもそも足が限界でしたし(何度バスに乗ろうと思ったことか……!)

真玉橋を過ぎてすぐ、線路は国道の北側に向かいます。今は建物がたくさんですが、写真中央の駐車場あたりが、真玉橋駅のあった場所。
……だと思うのですが、線路跡を見失ってしまい「たぶんこのあたり?」としか分からず。
駐車場内にペットショップがあり、店員さんにお話を伺ってみたところ、ここの大家さんは市街から引っ越してきた人なのでわからないだろうとのこと。

でも、このあたりは昔ながらの景色も残っていたりします。古波蔵交番の横を右折すると、それらしいまっすぐな道に出ます。
これも線路跡を道路にした場所とのこと。

このあたりは立て替えや開発の頻度もあがっているためか、地形ごと変わっているところが多いです。
古波蔵交差点を越えた先にあった古波蔵駅。写真の奥の方に空き地があり、そのあたりかと推測されます。

古波蔵駅を過ぎて少し行くと、右に細い道が見えます。右折してすーじ小を歩いていると、迷った後に「おきなわ軽便鉄道マップ」に書かれている線路跡に出ました。家と家の間に埋もれるように残っています。

右側の草が生えているところが線路だったそう。那覇市内にも、まだ、ケービンの跡は残っています。

このすーじ小を抜けると、壷川東公園の目の前に出ます。ここが最大の見所です。

公園には、ケービンの線路が置かれています。公園を作るときに発掘された、本物のケービンの線路です。置かれているのとほぼ同じ位置を走っていたとのこと。
置かれている車両はケービンではなく、南大東島で使われていたものとの掲示が。

公園を出て、バスターミナルを目指して進みます。取材当時は立て替え中だった那覇バスターミナル。
ここが、かつての那覇駅。お疲れさまでした……!

 

遺構は減っていました

2018年現在、確認できた遺構は、国場近くの橋脚、壷川東公園の線路、そして与那原駅の9本の柱でした。与那原線の車両は、機関車や線路の残骸があったそうですが、スクラップとして利用され残っていない、とのこと。

「おきなわ軽便鉄道マップ」にある遺構のうち、JAおきなわ与那原支店として利用されていた与那原駅舎は解体されたのち復元、那覇駅のあった那覇バスターミナルも、その姿を大きく変えています。壷川東公園の線路も、2011年に初めて訪れた頃よりだいぶ腐食が進んでいました。

建物が建ったり、立て替えや開発で線路跡も消えていくのでしょう。
今回歩いて見た景色は、数年後には変わって、もしくはなくなっているかもしれません。

見られなくなってしまう前に、歩いてみるのもいいかもしれませんよ。
※那覇駅までの全行程合わせて、徒歩で約10時間でした。

 

与那原町立 軽便与那原線駅舎 展示資料館
https://k-bin-yonabaruekisya.jimdo.com/

ゲストライター

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mike
静岡生まれ、生業はゲーム開発とシナリオ執筆。お散歩好きで、すーじ小を制覇すべく歩き回ってます。
サイト:TaleFacrory(http://www.tale-factory.com
 

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