続・そろそろ消えゆくセメント瓦について

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沖縄県内ではセメント製の瓦「セメント瓦」が葺かれた家を見ることができる。セメント瓦のバリエーションを引き続き愛でていきたい。

以前、そろそろ消えゆくセメント瓦についてという記事を書いたのですが、沖縄では今でも多くの家屋でセメント製の瓦を見ることができます。

名護市の博物館が発行している「第19回 名護博物館企画展 沖縄のセメント瓦 名護からの発信」によればセメント瓦はもともとは台湾から導入された「南国耐風瓦」が元だそうで、本格的に普及したのは戦後。ガリオア援助で「復興瓦」として工場の規模に応じて支援をしたことで沖縄全域に瓦工場ができたということです。

現在県内で現存するセメント瓦工場は一箇所のみ。しかしセメント瓦は工場によって鬼瓦部分のマークが異なり、色々なバリエーションが存在します。前回からさらに調査を進め、またいくつかセメント瓦が集まったのでこちらで紹介しようと思います。

メーカーが判明したもの

まずはメーカーが(たぶん)判明したものからご紹介。

先の記事でも出てきた「H」の鬼瓦のセメント瓦。色々調べてみたところ現在名護で唯一セメント瓦を製造している「比嘉セメント瓦工場」のもので間違いないようです。

続いては丸に十字の模様が入ったこちらの瓦。

古い住宅地図の広告に同様のロゴが載ってました。というわけでこちらの瓦は多分「名護ブロック瓦商会」のもの。先述の名護市博物館の刊行物では「丸十瓦工場」として紹介されており、多分間違いないかと思います。

 

他にも現在、沖縄の古い電話帳からセメント瓦工場を探したりしていて、なんとなくそうじゃないのかなと思うものはいくつかあるのですがもうちょっと裏を取ってからご紹介したいと思います。最終的にはどのセメント瓦がどの会社で作られたのかうまいことまとめられたなぁと思っています。

 

文字をあしらったもの

続いて新たに発見したセメント瓦です。

糸満で見つけたのですが、「糸」の漢字をあしらったデザインです。屋根の上の瓦の下が月・太陽・星みたいなデザインになっていてこれも可愛いですね。

続いて「山」の漢字をあしらったもの。この瓦を見つけたのは名護市の辺野古の集落だったのですが、なぜだか知りませんが辺野古ではよく見かけました。集落の人に話を聞いてみたところ辺野古にはセメント瓦工場はなかったとのことなので地元の工場という訳でもないと思うのですがどういうことなのでしょうか。

「吉」でしょうか?ひょっとした図形の組み合わせが文字に見えてるだけな気もします。

これは見まごうことなき「平」。

「B」のようにも見えるのですが、「日」なんじゃないかと思っています。名護に「丸ヒセメント瓦工場」というのがあったらしいのでマルヒとは日に丸のことだったりするのかもしれません。

こちらは「大」の文字。

「ニ」と「キ」。

 

これまで意識の外にあったのですが、実際探してみると結構文字をあしらったものは結構バリエーションがあります。ただ、一般的なデザインのものに紛れてたまに見つける程度なので全体的な総量は少ないのではないかと思います(見つけるとちょっとテンションがあがる)。

 

図形をあしらったもの

続いて文字ではなく図形をあしらったものです。

矢の羽根のような意匠。

こちらは三角形。

ちょっとなんと説明していいのかわからない形です。

 

図形タイプのものもたまに見かける程度なのですが、割と形が似たり寄ったりで新発見なのか既存で見つけたものなのか判別が難しいところです。そして文字タイプのものは何となく文字から瓦工場が推測できそうなのですが図形タイプのものは完全にお手上げです。冒頭の名護ブロック瓦商会みたいに広告などに載ってたりすればいいのですが...。

 

いくつか気づいたこと

調査を進めていくにつれていくつか判明したことがあります。

上の写真は首里で撮ったものですが、先に紹介した「大」の文字があしらわれています。上の方の鬼瓦が「大」の家屋はだいたい下の鬼瓦部分は「●」。上の鬼瓦部分が「キ」の家屋はだいたい下の鬼瓦部分は「二」となっています。

恐らく瓦工場によっては上の鬼瓦部分と下の鬼瓦部分のデザインの異なるものがあるということだと思います。たまに下の鬼瓦部分は明らかに別のメーカーのものが取り付けられているケースもあるのでなかなか判別が難しいところなのですが。

続いて上の二つのセメント瓦をご覧下さい。メインの模様は似ているのですが、脇の模様が上は三菱、下はスペードになっています。多分当時流行った意匠みたいなものがあって、同じような模様の瓦が多数あるのだと思われます。奥集落の屋根瓦コレクションでも三つ巴の瓦のバリエーションが紹介されてるのですが、これらは多分全部別の瓦工場なんじゃないでしょうか。

そのあたりも含めると沖縄のセメント瓦についてはまだまだかなりのバリエーションがありそうです。

 

セメント瓦沼にはまる

というわけで、セメント瓦について前回に引き続きご紹介しました。まだまだセメント瓦については種類がありそうですので、こんな瓦があったみたいな情報があればぜひ教えて下さい(この瓦がどこでつくられたか知っているとかも)!

タイトルが全てですが、ここでご紹介したセメント瓦の多くはすでに製造されていません。いずれ消えゆく前にもっと詳しく内容をまとめておければなぁと思っています。

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