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2021.06.02

沖縄北部だけで買える!?まぼろしの氷菓『ロンロン』の謎にせまる【後編】

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沖縄県北部の人しか知らない氷菓『ロンロン』をご存じだろうか。なぜ『ロンロン』は沖縄北部の人間しか知らないのか?どこに行けば買えるのか?ついにその謎が明らかに。

沖縄県北部で有名な氷菓『ロンロン』。
なぜ『ロンロン』は沖縄北部の人間しか知らないのか?どこに行けば買えるのか?

前回に引き続き、有限会社渡具知の渡具知社長にお話をうかがっています。

前編はこちら

全盛期の『ロンロン』の販売先は?


有限会社渡具知の、渡具知社長

―― ロンロンの流通はどのようになっているんですか?

いままで話してきた通り、流通形態が時代と共に変わってきたので、冷凍のまま商品を運ぶのが難しい。
昔は、沖縄明治さんが、冷凍トラックや冷凍トレーラーで、名護の工場まで『ロンロン』を取りに来ていたんですね。

そうやって集荷した『ロンロン』を、沖縄明治さんが代理店を通じて、地域の共同売店や商店、駄菓子屋などに販売していたんです。

―― 『ロンロン』が一番売れた時代って、いつぐらいですか?

最盛期は、だいたい45年前ぐらいかな。
8万本を週2回とか、とにかくすごい注文量でした。作ったら、すぐ出荷する、そんな状態です!

その時は、沖縄本島全域に加え、宮古、八重山、伊江島、伊平屋島、伊是名島まで販売されていました。
本当に、いまでいう沖縄県下のほぼすべての地域に行っていたように記憶しています。

ただ、そういう昔ながらの商店や駄菓子屋って、どんどん沖縄から消えていっていますよね?
代わりに沖縄にも増えてきたのが、コンビニです。

―― そうですよね、なぜコンビニで売らないのか、すごく気になっていたんです。

実は一度、コンビニに卸すかどうか、沖縄明治さんとも話し合った時期があったんですよ。
でも、コンビニに卸しても利益が取れないよね、という結論にいたりました。
あの時に値上げしてでも販売するという方向に舵を切っていれば、また違った未来があったのかも知れませんね(笑)

―― うーん、コンビニなら1本50円でも売れそうな気はしますけどね。
いま言っても仕方ないか(笑)

仕方ないですね(笑)
そして現在の卸先は、沖縄本島のみで、沖縄明治さんの持つ販売店のみになります。
さきほどから良く話に出てくる、昔ながらの共同売店、商店、駄菓子屋さんなどが中心です。

 

駄菓子屋のストッカーで保存できた時代 ~ストッカー略奪戦争~

―― 『ロンロン』は、冷凍のままでしか流通させられないんですよね?
ということは、冷凍庫のある店にしか卸せないですよね?

そうなんです。
氷菓は、昔は、明治vs森永みたいな図式がありまして。

昔は小学校の正門と裏門のどちらかに、必ず駄菓子屋などの売店があったんです。
そして、明治と森永が競ってストッカーを置きに来ていたんです。
ストッカーをたくさん入れた方が勝ち!!みたいな時代でした。

なので、2つとも明治とか、2つとも森永とは、なかなかならないんです。

『ロンロン』は沖縄明治さんとの共同商品なので、明治のストッカーが増えれば増えるほど商品も売れる、そんな時代でした。

ただ、いまはストッカーを置いているお店も少なくなってきているのかも知れませんね。
だから『ロンロン』を見かける機会も減ってきているのかも知れません。

 

なぜ、沖縄南部地域では『ロンロン』を見かけないのか?

―― 今回、南部の人たちにも『ロンロン』について聞いてみたのですが、「知らない」「見たことがない」という人がほとんどでした。
南部で知られていない理由とかは分かりますか?

いや、分からないです。
時代の流れと言いますか。そういった昔ながらの売店(沖縄で言う「まちや小」など)が、地域から減ってきた。
なので『ロンロン』をみかけなくなった、というのは理由としてあると思いますが。

―― 流通の関係で南部では売られていない、という訳ではないんですか?

それは沖縄明治さんに聞かないと分かりませんが、沖縄本島なら南部でも売っていると思いますよ。
ただ、南部の方が、そういう昔ながらの商店が減っているので、『ロンロン』を見かける機会も減っているのではないでしょうか。

―― なるほど!
たしかに、北部に比べて南部には昔ながらの売店があまり残っていない気がします!
その点、北部にはまだ昔ながらの売店がまだ残っているので、売られている場所も多い!というのは言えるのかも知れませんね。

そうですね。

―― あと、『ロンロン』は今でも離島で販売されていますか?

いや、いまは離島では販売されていません。
おそらく冷凍で運んで、1本数十円で販売しても、利益が取れないと思います。
いま『ロンロン』を買えるのは、沖縄本島だけですね。

―― では、いま現在、『ロンロン』が販売されている沖縄最南端のお店はどこになるんでしょう?

うーん、ちょっとそれは分かりません。
沖縄明治さんに確認して、後日連絡しますね。

―― よろしくお願いします。これで流通の大体のことが分かると思います。
最南端の売店が、金武町とか恩納村、沖縄市あたりだったら、南部では売られていないので、北部で買ってね!という話になりますし。
もし糸満市とか南城市だったら、やっぱり南部から昔ながらのお店が減ってきているのが原因と言えそうです。


昔ながらの売店が減ってきている!

 

『ロンロン』の今後の展開は?

―― 『ロンロン』には今後の展開などはありますか?

『ロンロン』は、いまでも工場に直接買いに来る人が多いんですよ。
本当に、昔ながらのファンに支えられているんです。

実は、新商品として、ロンロンの「シークワーサー味」が完成しました。
でも、完成はしたけどほとんど宣伝していないので、あまり知られていない(笑)


『ロンロン』シークワーサー味のチラシ

―― じゃあ、ここで宣伝しておきます(笑)
『ロンロン』の昔ながらの「オレンジ味」「コーヒー味」を知ってる人でも、「シークワーサー味」を知らない人は大勢いそうですね!

そういう人には、ぜひ食べてもらいたいです!

―― ここなら必ず『ロンロン』シークワーサー味を買える!という場所はありますか?

必ず買える場所は、名護市役所近くの「21世紀の森体育館」です。

ここは子供が集まる場所なので、ストッカーを置いて販売していて、土日でも買えます。
運動したあとの糖分補給とクールダウンに使ってもらっています。

定番のオレンジ味・コーヒー味に加え、シークワーサー味も置いているので、ここが一番買いやすいのではないでしょうか。
名護の子供たちにとって、あたりまえのようにある商品になって欲しいですね。

あと、今では、ウチの会社に箱買い(1箱40本入り)に来るお客さんも多いです。
ウチの会社で買うと、箱でしか売っていませんが、直販で安いというメリットがありますので、こちらも良かったら!!

 

部活の差し入れに『ロンロン』を

あと、面白いところでは、名護では部活の差し入れがロンロンなんですよ。

例えば、中部の方で、スポーツの大会がある。
すると、関係者がウチの会社に車で乗り付けて、ロンロンを箱買いして、
1時間かけて中部の会場に着くと、ちょうど溶けて食べごろになっているらしいんです。

私は東江中の出身なので、東江中テニス部は、この差し入れロンロンがルーティーンになっています。
運動あとに必要な、甘さとクールダウンが両方取れる、優れものなんですとか言いながら(笑)

そういう意味では、次のターゲットはスポーツ選手なんです。
シークワーサーに塩を入れて、スポーツ飲料みたいにしたら、マーケットがあるかなと。

―― 名護だったら、日本ハムもプロ野球キャンプに来ますしね(笑)

そうそう(笑)
でも、県の物産公社とか内地の企業にこの話をした時に、そこで問題になるのが、やっぱり「常温で流通できないのか?」なのよ。どこまでいっても、防腐剤の話になっちゃう(笑)

―― うーん、悩ましい(笑)

 

会社としての今後の展開は?

ウチの会社はもともとがコーラメーカー、ジュースメーカーとして創業しているので。
ぜひとも、シャスターコーラみたいな飲料を復活させたい。

沖縄らしいスパイスを入れた、ストレートタイプ(自宅で炭酸で割って飲むタイプ)の島コーラを販売したい。
やんばる島コーラとして、沖縄の観光みやげとして売り出したいと思っています。もう動き始めていますよ。

―― それはいいですね!コーラはなんと言っても有名ですもんね(笑)

そうなんですよ。
スパイスにも沖縄っぽいものを入れて。月桃やピパーチ、島とうがらしなど。あとはハーブ系のよもぎとか生姜とか。
そういったものを入れた島コーラで勝負したい、というのはあります。
体にも良さそうですし、やっぱりコーラは有名ですから(笑)


懐かしい「シャスターコーラ」などの空き瓶

―― もう作られているんですか?

容器はビンにしようと考えていて、いま試作品を作っているところです。
でもこれって売れそうだと思いませんか?

―― めちゃくちゃ売れそうな気がします。伊江島にも、伊江ソーダとかありますしね。
お店で飲んでもいいし、おみやげ品としても需要があるような気がします。
正式に発表できるようになったら、ぜひまた取材させてください!

こちらこそ、その時はよろしくお願いします。

―― 本日は、ありがとうございました!!

 

21世紀の森体育館に『ロンロン』を買いに行こう!!

さて、無事に取材が終わった。

ちょっと甘い物が欲しいし、クールダウンもしたい!という訳で、さっそく『ロンロン』を買いに行くことにします(笑)

さきほど話に出た21世紀の森体育館へ!!
名護市役所のすぐ近くです。

体育館に入って右側に受付があり、そこで販売していました。

「何味がありますか?」と聞いたら、オレンジ味、コーヒー味、シークワーサー味がすべてあります、とのこと。

「全部ください」と言ったら、シークワーサー味だけパッケージがなく、むき出しのまま渡されました(笑)


シークワーサー味だけ中折れタイプ!

 

意外!?『ロンロン』は南部でも売っていた!!

買いこんだ『ロンロン』を食べながら、車で南下していると、さっそく渡具知社長から連絡が。

「沖縄明治に確認したところ、沖縄最南端のロンロン販売店は「JAマートぐしちゃん」となります」とのこと。


JAマート ぐしちゃん

え?具志頭のJAマート?? 何度か行ったことあるけど、沖縄本島の南の端やん(笑)
ということで、北部でしか売っていないという私の仮説は、これで外れました。

あとは。
どんな感じで『ロンロン』が売られているか、確認しに行こう!!

「JAマート ぐしちゃん」は、「南の駅やえせ」の敷地内にあります。
ほぼ沖縄本島の最南端と言っても問題ない位置です。

では、さっそく店内へ。アイスのストッカーはどこかな?

ありました!!
ちゃんと沖縄明治のストッカーですね!

オレンジ味だけですが、段ボールに入ったまま売られていました。
段ボール側面の「¥32」の書き込みが気になります(笑)

間違いなく、八重瀬町の南端で売られていました。
この瞬間、『ロンロン』は北部でしか売られていない説は崩れ去りました。。

 

結論らしきもの

私は、インタビュー前は、『ロンロン』は北部でしか流通していないから北部でだけ認知されているのだろう!
と思っていました。

なので、『ロンロン』は防腐剤が使っていなくて冷凍でしか流通できないと聞いた時は、正直シメシメと思いました(笑)
北部でしか販売していないという仮説が立証されたと思ったのです。

でも実際には、沖縄本島のほぼ最南部で『ロンロン』は売られていました!!
ということは、沖縄中で売られていると考えて間違いないと思います。


この『ロンロン』も沖縄南部のドラッグストアで発見!!

ですから、『ロンロン』が南部であまり知られていない最終的な結論としては、沖縄南部から昔ながらの商店が減ったから、認知度も減った!になるかと思います。

でも、逆に考えると。
昔ながらの古き良き売店なら、沖縄中で『ロンロン』は買える!ということです。


昔ながらの売店で『ロンロン』を探そう!

あとは皆さん自身で、子供のころに通った共同売店や駄菓子屋などに、『ロンロン』探しの旅に出てください。
きっと、懐かしくて素敵な時間が過ごせることと思いますよ!!

 

取材協力:有限会社 渡具知
〒905-0021沖縄県名護市東江二丁目8-43号
http://www.ryukyuyakuzen.com/

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