沖縄の露店の謎にせまる

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沖縄で水飴をかき氷に乗せて食べるのはいつ頃なのか、お祭りの露店は1店舗の取扱商品がめちゃくちゃ多いのはなぜか、などなど沖縄の露店に関するあれこれについてお話を聞いてきました。

少し前にTwitterでも皆さんに情報を募って、デイリーポータルZさんにも寄稿した(沖縄では水飴をかき氷とともに食べる)のですが沖縄では露店で水飴をかき氷にのせたものが販売されています。


こんなやつです

沖縄は暑いので水飴が柔らかくなりすぎないようにという工夫だと思うのですが、そもそも沖縄の露店って内地と比べてかなり独特だと思いませんか?

内地のお祭りでみる露店ってお好み焼き屋はお好み焼き、たこ焼き屋はたこ焼きと基本は1露店がひとつのものを取り扱いしているものが基本だと思うのですが沖縄の露店はひとつの店舗がものすごい種類の食品を扱っています。取り扱っている食品も沖縄そばあり、チーイリチャー(豚の血を炒めたやつ)があったりなどなかなかディープな事になっています。

いったいいつから、どのような経緯で沖縄の露店はこのような形態を取っているのでしょうか。沖縄県出店業事業協同組合に問い合わせをしたところ、露店に関わる方を紹介して頂いたのでお話を聞いてきました。

 

なぜ沖縄の露店は多種多様な食品をあつかっているのか

今回お話をうかがったのは糸満市で隠れ家的なパーラー「さっとんち」を営業している上間智司さん。上間さんはご両親が露店業を営んでおり、子供の頃からご両親のお店を手伝ってきたそうです。

―― まずは沖縄の露店なんですが、なぜあんなに沢山の種類の食品を扱っているんですか?

まず、沖縄県出店業事業協同組合なのですが中城村にある「月観光産業」という会社の先代の方が立ち上げてまして、それまではバラバラだった露店の人たちをまとめあげたと聞いています。この方が県外の露店の出店品を色々持ってきて、それをまとめて総合的にやろうという仕組みを作ったのが今の形になったとようなことを聞いたことがありますね。

―― なるほど!組合の発明なんですね

そうらしいです。組合は平等が基本なので食材などについても組合員には平等に同じものを卸していますね。

―― ということは複数の露店は全て同じ材料で食品を作っているということですか?

そうなります。ですがお店によって家柄というか特長が出ますね。例えば焼きそばを沖縄そば麺で作るところもあるし、ごま油を入れるところもあるようです。他にも焼き鳥を網で焼くのか鉄板で焼くのかなど色々お店のこだわりはあるのでちょっとした違いがあります。

他にも1品2品くらいは、例えばチーイリチャーだったり、山羊汁だったりと特色あるメニューを出しているお店もあったりするので面白いところですね。

―― 出されているメニューの品目は増えているのでしょうか減っているのでしょうか?

基本的には減っても増えてもいないと思います。王道は焼き鳥、たこ焼き、たいやき、お好み焼き、焼きそば、イカ、トウモロコシ、アメリカンドッグ、沖縄そば。最近、と言っても4-5年前ですがチーズドッグが増えています。

あとは季節的なもので、正月などになると山羊汁が追加されたりとかですね。

―― 同じものが販売されているということは他店はライバルになるのでしょうか?

同じ業種同士は仲間というか、仲はいいですよ。親睦会があったりとか、婦人会で模合をやっていたりとか。何かお祝いがあったらその人の家に行ったりとかですね。

―― 皆さん露店を出していない時は何をされているんですか?

人それぞれですが、バイトしている人もいますし、独自で食堂だったりお店をかまえている人もいますし、最近で言えばキッチンカーだったりをされている方もいますね。

 

沖縄のくじ引きは独特なのか


浮いているアヒルから2つを取って裏の数字が合うといい賞品がもらえる

―― 露店と言えばくじ引きがあるじゃないですか。あちらも組合の会員なんですか?

同じ組合の中でやっていますが、食品は食品、おもちゃはおもちゃと自然に分かれていますね。最近聞いたら別におもちゃ屋だからおもちゃだけ、という決まりはないそうです。

―― あのくじ引きも結構独特な気がするのですが

それぞれがオリジナルで考えてるかもしれないですね。今はくじ引き、ダーツなんかが定番ですが昔はもっと種類がありましたよ。例えば小さな箱が沢山あってそれがチラシで包まれていて、その中からひとつ選ぶみたいなゲームもありました。当たりは中にゲームソフトが入っていたりして。

他にも発泡スチロールの小さな球の中に磁石のついた釣り糸を垂らして魚を釣り上げるみたいなゲームもありました。魚に大きさがあって釣れた魚によって賞品が決まったりとかですね。面白かったですよ。

 

沖縄のわたあめを作る機械はオリジナル


沖縄のわたあめ機。よく見ると回る部分の外側はコーヒーの缶


中から見せてもらった図。回転部分をバーナーで直に熱して、ファンみたいなもので上に吹き上げている

―― そういえば沖縄のわたあめ機は独自の構造であるという話をきいたのですが

確かにわたあめの機械を買おうと思ってもあの形は売っていないので、私の父親は自分で作っていましたね。

―― じゃあ皆さん自作されているのでしょうか?

どうなんでしょう。わたあめ機を売っている業者は聞いたことがないですね。多分昔はどこかで買っていると思うんですが、それが壊れて誰かに教えて貰いながら見よう見まねで作っている感じじゃないでしょうか。

あの回転する部分は真鍮製でそこにカンカンを被せているのですが、もともとは爆弾の再利用だったと聞いたことがあります。ゲームセンターなどにある機械が全国で一般的なものだと思うんですが、全然わたあめが出る量が違うのであれじゃ商売はできないですよ。

―― 沖縄のものだと大量に作れるということですか?

そうですね。割り箸でやってると全然キリが無いくらい沢山できますよ。

 

かき氷に水飴は分からないくらい昔からある

最後に上間さんのパーラーにもある水飴を頂いた


寒かったので少し小さいサイズを作って頂いた

―― 水飴なんですが、結構昔から出されているものなのですか?

そうですね。昔からもありましたね。水飴、かき氷、ぜんざいはかなり昔から出されていると思いますよ。かき氷はその昔はアイスクリームのコーンの少し大きなサイズのものに氷をのせて食べるみたいなものもありました。

―― 色々なフレーバーの水飴がありますが、あれは作っているんですか?

うちは作っていますね。うちの母は水飴を一回炊くんです。まず一斗缶で水飴を仕入れてきてそれを分けて、一回加熱するんですね。そこにシロップを入れて色づけするんです。炊きすぎると水飴がドロドロになっちゃうのでそのあたりも気をつけているようです。

―― 水飴を頼むと氷にシロップをかけてくれるところがありますが、もともとは何もかけていないのが普通ですか?

もともとはそうですね。白いと殺風景だし、氷も食べられるようにという優しさから生まれたんじゃないでしょうか(笑)

沖縄でいつから水飴を氷にのせて食べるようになったのかは分かりませんが、やっぱり暑いところなので水飴は熱でどんどん溶けちゃいますから氷につけて食べるやり方を誰かがはじめて、それが広まったんじゃないですかね。

―― 本日は色々面白いお話をありがとうございました!

私は組合員ではありませんので偉そうには言えませんが…(笑)
出店業組合員はこれからも沖縄のお祭りを盛り上げていくとともに、来場者さまを大事にし美味しい屋台料理で皆様のお腹も満足させていけるように日々頑張っていますので、私も現場にいる身として同じ気持ちで頑張っていきたいと思います。これからも沖縄の露店をよろしくおねがいします。

 

沖縄の露店はおもしろい

以上、「さっとんち」の上間さんからお話をうかがいました。興味深かったのは露店で出される食品は組合が深く関わっていて、ちゃんと食材のクオリティの担保もされているという点でした。その中で各お店のこだわりもあるので、次に祭に行ったときはそのあたりも注目して買い食いすると楽しそうです。

めちゃめちゃ居心地がよいパーラーでした
カフェ予定地

上間さんは近日中にパーラー「さっとんち」の隣にカフェもオープン予定だそうでそちらも楽しみです。

沖縄の露店についてはまた引き続き、取材をしてみてまた面白い事が分かりましたら記事として公開していこうと思いますのでお楽しみに!

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