2010.10.06

【ゆーふるやー探訪記】ときわ湯

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初めて沖縄の銭湯(ゆーふるやー)を訪れたとき、本土の銭湯とのあまり違いに驚愕した。と同時にその独特の作りにいたく感動した。そのゆーふるやーも県内に残るはわずか。絶滅してしまう前に記録を残しておきたい。

湯船につかる文化が無いことで有名なここ沖縄にも、「ゆーふるやー」と呼ばれる銭湯が存在する。
この沖縄の銭湯、本土の銭湯と比べてみるとひと味もふた味もちがう

10年ほど前、私が移住前に沖縄貧乏旅行で安宿に泊まっていたときに初めて銭湯を利用したのだが、本当にカルチャーショックを受けた。同行の友人と「これはすごい」「ほんとうにすごい」「他の銭湯も行ってみよう」と興奮しきりだった。

ピーク時は県内に300軒以上の銭湯があったそうだが、一般家庭への浴室の普及による客数現象や道路拡張による立ち退きなどにより次々と廃業し、現在那覇市に2軒、沖縄市に1軒が残るのみとなった。本当に残念である。
沖縄の貴重な文化遺産ともいえる「ゆーふるやー」の記録をなんとか残しておきたい!
そんな想いで、これから残り3軒の銭湯を取材して巡りたいと思う。

まず今回は序章として、道路拡張のため昨年10月末に惜しまれながら廃業した糸満市の「ときわ湯」を紹介したい。

そこは日本最南端の銭湯だった

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糸満ロータリー近く。大きく「湯」と書かれたのれんが出ているわけでもなく大きな看板も無い。
入り口上部のコンクリ壁に直接「ときわ湯」と書かれてはいるが、すでに消えかかっているので注意しないと通り過ぎてしまう可能性大。

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番台を守る名物おじいちゃんの兼島さん。
タクシー会社も経営されているので、お湯を沸かす燃料には廃油を利用していたらしい。

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料金は大人250円。雑然とした番台周りが歴史を感じさせる。

女湯に一歩足を踏み入れると裸のおばあちゃんが!?

・・・いてもおかしくない。(このときは他のお客さんはいなかった。)

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そう、沖縄のゆーふるやー(銭湯)には脱衣所と浴室に仕切りが無いのだ。
これには一年中温暖な気候が関係しているのかもしれない。
湯船は小さく真ん中に設置されていて、通称「池」や「船」と呼ばれる。
奥に見える左側の扉はトイレだ。

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バスクリンの鮮やかな緑色がなんだか懐かしい。

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この蛇口で自分のお好みの湯加減を調整する。勢い良く回すと取っ手(?)が外れて飛んでいった。
そしてこの蛇口、座ると目の高さに来る。そんな使い難さもまたいとおしい。

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床のつぎはぎモザイクタイルはもはやアートの域。

男湯ものぞかせてもらった

帰る頃には男湯のお客さんも帰っていたので、男湯も見せてもらった。

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既に消灯されていたので暗いが、女湯の1.5倍ほど広く作られている。利用者は男性が多かったのだろう。

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市民プールにあるようなシャワー。傾斜角度がキュート。

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ときわ湯名物(?)ケーキ型のような金属の洗面器。

57年間ありがとうございました

閉店前の2日間は入浴料無料で営業されていた。

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建物は無くなってしまうけど、ときわ湯を利用した人たちの心の中には、温かい想い出がずっと残っていくことだと思う。
57年間の営業、本当にお疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

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