2011.08.22

白保の獅子舞

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旧盆の石垣島ではアンガマが有名だ。しかし石垣市白保集落ではアンガマではなく獅子舞が各家を巡る。旧盆のナカビにかわいい獅子舞を追いかけたのでレポートを。

石垣島の旧盆で絶対に見たほうがいいと言われるものが二つある。
一つは前回記事にしたアンガマ。もう一つは白保の獅子舞だ。

白保集落は石垣島の南東に位置し、市街地からは車で20分くらい。
白保のサンゴと言えば聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。世界最大級のアオサンゴの大群落で有名。
赤瓦の古民家やサンゴでできた石垣など、昔ながらの沖縄の風景が残る静かな集落です。沖縄本島で例えると備瀬に雰囲気が似ているかも。

そんな白保集落で行われている白保の獅子舞ですが、300年くらいは続いているらしい。
主に新築・改築の家など、多いときは10軒くらいまわる。祖先の供養、邪気払い、無病息災を願って行われる。

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アンガマと同じく地元新聞をチェック。
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白保獅子保存会のみなさんが各家を巡る。

白保の獅子舞は、奉納されている宮良(メーレー)家から始まり宮良家で終わるそうだ。
赤瓦の古民家、広い庭なので獅子が暴れ回るらしい。
今回はナカビに見に行ったので宮良家での獅子舞は見ることができなかったが、来年は是非訪れたい。

獅子舞スタート

まずは地謡が仏壇に向かい唄う。曲が変わり獅子使いが登場。

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獅子使いが踊る。

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これが白保の獅子。か、かわいい!

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ほーれほれ。こっちだよー。

獅子使いが獅子をおびき出す。まずは雄。続いて雌が出てくる。

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おびき出されてくる獅子。
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獅子は体を動かして仏壇にウートートー。

おびき出された2頭の獅子は、まず仏壇にむかってウートートー。この時の動きがかわいい。からだを上下に動かしたり、おしりをフリフリしたり。細かい動きが生きているかのようだ。

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「やさーさ!はいーや!」

ウートートーが終わったら、獅子使いが赤い玉の付いた綱を使い獅子をあおる。赤いものは獅子の好物らしいが。

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こちらは雌。
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雄には眉間に3本の線がある。

2頭の獅子は恐る恐る綱をくわえる。三線のテンポが早くなり綱引きが始まるのだが激しい。右へ左へ暴れ回る。

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獅子の綱引き。これが結構激しい。

綱引きは必ず雌が勝つ。雄が雌に花を持たせるのだ。やだかわいい。

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「へいへい。もう疲れたのかい?」

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捕獲されて連れていかれる。

※獅子に「中の人」なんていませんが、前と後ろの二人で行います。「中の人」なんていませんが5分くらい暴れると疲れるので交代するため捕獲され連れていかれるみたいです。

合言葉は「れるれ。れるれ」

地謡の演奏に合わせて子ども達は、人差し指を出し「れーるれ!れーるれ!れーるれ!」と謎の言葉を唱える。
怖がっている子は獅子と目が合うと指を引っ込めてしまうが、慣れた子は獅子と目があっても指を引っ込めない。
みんなちょっと怖がりながら「れるれ」と唱えている姿がとても面白い。中には本気で怖がって顔が引きつっている子もいるが。
度胸試しといったところだろうか。

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「れーるれ!れーるれ!れーるれっ!!」
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「れーるれ...れーる...」

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本気で怖いんだろう。大人たちの笑い声と、子どもの泣き叫ぶ声。

獅子に噛まれると無病息災でいられるらしい。子ども全員を噛むわけではなく完全に獅子の気分次第。
急に動くから子どもたちはビックリする。

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大人も容赦なく噛まれる。

噛まれるだけではなく引きずり出されることも。

無病息災を願って

生後1年未満の赤ちゃんは噛まれるだけでは済まない。

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赤ちゃんの顔が引きつっている。わけわからないんだろう。

獅子使いに抱かれた赤ちゃんは、獅子の口の中へ...!

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喰われた。

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無事生還。

獅子に喰われた赤ちゃんはお腹から出てくる。これで無病息災間違いない!

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動きがかわいい。
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まさかの裸足。砂利なので絶対痛いと思う。

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銅鑼と太鼓で締め。

獅子舞が終わると見物していた人たちが一斉に出てくる。
何事かと聞くと落ちた獅子の毛を拾っているそうだ。獅子の毛はお守りになるらしい。綱引きの綱を持ち帰るのと同じ感じだろう。

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ちなみにこの獅子の毛は糸芭蕉で作られている。この毛が獅子をよりリアルに見せている。ちなみに実芭蕉はバナナのことだ。

獅子舞を追いかける

獅子舞が終わると「次は◯番。〇〇さんの家で行います」と案内がある。
軽トラックにスピーカーが付いていて、地謡が演奏している三線の音が、マイクでひろわれ大音量で流れる。静かな集落なので、耳をすませば三線や銅鑼の音が聞こえてくるだろう。

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前の家とは別の獅子使い。

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ウートートー。

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「いやさーさ!はっは!」

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獅子ロックオン...!

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にらみ合って...
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捕獲。

夜中まで続く

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見えないからね。塀にも登る。

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おびき出される。
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仏壇へウートートー。
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狭い(といっても広いけど)庭でも暴れる。

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この世の終わりを見たような顔...よっぽど怖いんだろう。

この白保の獅子舞は、旧盆の3日間行われる。
送り日の翌日、石垣市内の各集落で旧盆明けの伝統行事トゥズミ、イタシキバラという行事が行われる。
イタシキバラは、現世に残った霊たちを、獅子舞や念仏踊り(ニンブチャー)などで追い払うのだ。
トゥズミは、アンガマで顔を隠していた人たちが素顔を見せ、踊り納める行事。
このトゥズミ、イタシキバラをもって石垣島の旧盆行事は終わり。

また来年も見たい

石垣島の伝統行事を2つ見ることができた。
どちらも沖縄本島ではなかなか見ることができない行事(アンガマは昨年、奥武山公園で行われた青年ふるさとエイサーまつりで見ることができたが)。
アンガマの珍問答で笑い、獅子舞の動きで笑う。なんというか石垣島の旧盆行事は笑いでいっぱいだった。

しっかり獅子の毛もゲットしてきたので守ってくれるはず。

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獅子毛ゲット!

来年も見たいけど、本島でエイサーも見たいし、他の離島の行事も見たい。
あー、悩む。

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