エッセイをもとに昔ながらのラフテーを作る

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「料理沖縄物語」という本を読むと昔のラフテーの作り方は今とちょっと違っていたらしい、というわけでエッセイをもとに昔ながらのラフテーを作ってみた。

昔ながらのラフテーは作り方が若干違うらしい

DEEokinawaをご覧の沖縄在住者、沖縄好きな方には「ラフテー」がなんなのかを説明する必要はないと思いますが、ラフテーは豚肉の沖縄風角煮のこと。

一般的な豚の角煮と何が違うのか、と聞かれると答えに詰まってしまいますが、

・豚肉は皮付きのものを使う
・臭み消しは泡盛

あたりが沖縄っぽいところなのかな、と勝手に思っています。

それにして豚の三枚肉ってお盆やお正月などの行事食として定番ですが、沖縄の一般家庭でラフテーを作っているという家をあまり見たことがないのですが、ラフテーって一般的な家庭料理なんですかね?


『料理沖縄物語』古波蔵保好著 1983

なんてことを思いながら、先日本を読んでいたんです。上の「料理沖縄物語」という本は首里生まれのエッセイスト古波蔵保好さんが子供の頃の沖縄の食を思い出しながら振り返るという内容なのですが、その中に「美味なるらふてえ」という話がありまして、お母さんがラフテーを作る話なんですが、その話をまとめてみると

・豚はもも肉を使う
・味付けは氷砂糖と醤油
・泡盛、醤油、砂糖を使って煮るのは妹(古波蔵保好の妹さんは料亭美栄の店主だった)が考案したもの
・最近はその「美栄」風のラフテーが昔ながらのラフテーだと思っている人が多い

ということが書かれています。ということは現在僕らがラフテーだと思っているものは実は料亭美栄が考案したラフテーが広まったもので、昔ながらのラフテーは作り方が異なっていたということになります(ちなみに料亭美栄は今も那覇市久茂地にあり、最近「沖縄美ら島財団」が経営を継承するということがニュースになりました)。

それでは本書を元に昔ながらのラフテーを作ってみようじゃないか、というのが本日の内容です。

 

豚肉を探しに市場へ

というわけでまずはラフテーの材料を探しに市場に行きます。那覇市の公設市場にやってきました。

料理沖縄物語によれば

市場に出かけて、もも肉のカタマリを二つ、三つ仕入れてくる

と書かれているのでラフテーの材料は豚のもも肉であったようです。今ラフテーといえば、だいたいはバラ肉を煮込んだものなので、そこがひとつ大きな違いなんじゃないのかと思われます。また、その後の記述に豚の皮を火で焙るという記述があるので、皮付き肉であることが分かります。さらにもう一点、

あのころの沖縄で飼育されているのは、黒い毛の豚ばかりだった。同郷の友人たちと会って、ふる里と違う東京の食事に対する不満を話し合う場合、必ず「ここの豚肉はヘンな匂いがするね」ということで一致した。

と、豚の種別が違って東京の豚肉は臭いということが書かれているので、豚は沖縄在来種の豚であるアグーだったことが分かります。

市場のお店で
あぐーを探す

というわけでまずは市場の肉屋をまわって、「皮付きのアグーのもも肉のかたまり」を探します。ちなみに今市場に出ているアグー肉は沖縄在来種のアグーと他の豚を交配したものがほとんどで、純粋なアグーの肉はめちゃめちゃ高い上にそんじょそこらでは買えないらしいです。


ラフテーは売ってた

とりあえず色々なお店で聞いてみたのですが、そもそも「皮付きのもも肉のかたまり」というのが見つかりません。

冒頭から計画が頓挫しそうだったので、結局、アグーではない「ハーブ豚」という豚肉の皮付きもも肉をゲット。

 

ラフテーを作る

手に入れた豚肉と材料です。皮付きの豚もも肉の他には氷砂糖と醤油。

材料で大きく譲歩しちゃったんですが、とりあえず作ってみたいと思います。まずは料理沖縄物語から豚肉の処理についてです。

七輪に炭火をおこす。皮を下にして金網にのせ、火にかけるのは、皮を軽く焦がすためである。(中略)皮を火で焙るのは、毛根を除くためで、母は、皮が焦げると、井戸端に持っていき、包丁で表皮をけずった。

まずは豚肉の皮を火で焙って表面から豚の毛を取り除く作業。

とはいえ、手に入れた豚肉には毛が残っていません。というか若干表面に焦げ目らしきものがあるので、毛を取り去る作業については終わっているようです。

いちおう、文献に則って表面を軽く焙っておきました。

表面を焙った豚肉を
角切りに

続いて豚肉を切って煮込みます。

あと、ていねいに洗ってから、角切りにして、鍋に入れ、かまどの火にかけた。火は強くしないで時間をかける。

と書かれているので

煮込んでいきます。現在のラフテーのレシピを見るとだし汁で煮込むものが多かったりするんですが、特にそのようなことも書かれていないので水で煮ています。さすがに炭火は用意できなかったので、ガスにて調理ですがこれを炭火でやろうと思ったらかなり大変そうな気がします。煮込み時間は明記されてないのですが「つくるのに半日がかりだった」と書かれているので6時間を目安に煮込んでいきます。

こちらが4時間くらいひたすら弱火で煮込んだ豚肉です。

そのうちに皮と肉との間にあるあぶら身からあぶらが溶けだして、やがてあぶらの中で肉が煮られているという状態になった。

と文献には書かれていますが、そこまで脂が溶け出しているようには見えません。火加減的なものなのか、素材の違いなのか。

 

味付けは氷砂糖と醤油

さて、味付けです。味付けについては

ころあいをみて、石ころのように堅い氷砂糖を入れる。氷砂糖がだんだん溶けるにつれて、甘味が肉に浸透していく。普通の粉砂糖だと、いっぺんに溶けるので、甘味が肉にしみていかない、と母は語っていた。さらにゆっくりと煮て、醤油で味つけする。

と書かれているので、氷砂糖を用意しました。この当時の氷砂糖がどんなものだったのか分からないのですが、とりあえずよくあるやつを購入しています。

エッセイなんで分量などは詳しく書かれていないのでとりあえず味を見ながら目分量で入れていきます。文章を見るに砂糖を入れてしばらく煮込んでから醤油を入れるようなので氷砂糖を入れてしばらく煮込みます。

30分ほど煮込んで醤油を入れてみます。醤油については特に記述がないのですが、エッセイでは現在一般的に知られている料亭美栄風のラフテーが

醤油の半量を「淡口」にすることで、皮は飴色にツヤが出て、肉も見栄えよくなった。

濃口醤油と淡口醤油が半々使われている、という記述から濃口醤油にしました。これまた目分量で醤油を入れてさらに煮込みます。

そして完成したのが上の写真です。まぁ普通にうまそうですよね。白いご飯を用意すればよかった。

 

今のラフテーと味は違うのか

というわけで半日がかりで昔ながらの家庭料理のラフテーができあがりました。といってもほとんど煮てるだけでしたけど。

味を比べてみるために今市販されているラフテーも買ってきました。

こちらは豚のバラ肉(三枚肉)が使われていて、調味料としてみりんが使われているようです。

昔ながらのラフテー
ラフテー2016

それぞれの味に違いはあるのでしょうか?食べ比べてみたいと思います。

まずは今のラフテーから。しっかりとした味付けでタレがどろっとしています。今回は角煮からさらにカットされたものを買ってきたのですが、脂身も適度に歯ごたえがあり、赤肉部分も口の中でほどけていく感じ。豚肉を買った肉屋さんが作ってるようで、プロの味といったところでしょうか。うまいです。

では昔ながらのラフテー、いってみます。

昔ながらのラフテーは砂糖と醤油のみで味付けなのでややあっさり目な感じ。口の中で脂身がとろける感じはこっちの方が感じられました。うまい。うまいんですが…

そんなに変わらない。

おいしいですけど、まぁ角煮の範囲でした。特別これがすごい!みたいなこともなく、「ああ、ラフテーだよね」という感じ。これがアグーだったらまた違ったんでしょうか…。

オチに困る結果になってしまいましたが、最後に料理沖縄物語に書かれているラフテーの味わいについてご紹介しておきます。

その晩のおかずは、もちろん「らふてえ」である。皮は餅のようにネチッとやわらかく、歯で肉を噛むと、特有の香り―ほかのどの肉にもない香りがあった。この香りが、わたしの記憶に今も濃く残っている。

…めちゃめちゃうまそうですよね。というわけでそんなに違わないラフテーが出来上がってしまいましたが、いつかDEEokianwaがものすごい儲かった際には純粋なアグー肉の豚もも肉を使ってラフテー作りをリベンジしてみたい所存です。

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