2016.12.19

産業まつりの限定販売泡盛がアツかった

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沖縄の産業まつり2016で限定販売された泡盛がアツいのだ。購入した泡盛や注目した銘柄を紹介しながら、その魅力に迫ってみたい。

DEEokinawa読者のみなさま、はじめまして。
お酒大好き! 自称・泡盛じょーぐーライターのクダカです。
(「じょーぐー」=沖縄の方言で「好き」という意味です)

2016年も残り約2週間。世間では「流行語大賞」や「今年の漢字」なるものが発表される時期になりましたね。

1年間ずっと泡盛業界の動向を見つめて来たクダカ的に申しますと、「沖縄の産業まつり2016」というイベントが、今年もやっぱり業界的には一番アツかったように思います。
どこがどうアツかったのか!? 2016年が終わってしまう前に、イベントで販売された泡盛たちを紹介しながらひも解いて参ります。

お酒好きなみなさん、必見です。

 

「沖縄の産業まつり」って?

沖縄ファンのみなさんはご存知かもしれませんが、毎年10月と11月、沖縄では大きな産業物産展が開催されます。
その内、毎年10月に行われるのが「沖縄の産業まつり」。

「県内産業に対する県民の意識を深めること」をテーマに、食品や飲料品などの特産物はもちろん、植木やクラフト製品の販売から工業製品や農業の研究成果の発表まで、沖縄県で作られるあらゆるものにスポットがあたります。

沖縄県産のお酒と言えば? もちろん泡盛ですよね!

「沖縄の産業まつり」では、各酒造所がブースを出店するのですが、まつり限定の泡盛が発売されたり、ここに合わせて開発されたニューフェイスの泡盛が登場したり。泡盛ファンにとっては、那覇まつりりよりテンションが上がるイベントなんです。

さて、私クダカ、今年も3日間でこんなにたくさんの泡盛を購入してしまいました。
泡盛は銘柄によって度数も味も異なります。

せっかくなので、今回購入した泡盛や注目した銘柄を紹介しながら、泡盛の魅力に迫ってみたいと思います。

 

大注目! 産業まつり「限定」の泡盛を紹介します

まずは、「沖縄の産業まつり2016」限定で販売された泡盛をご紹介!
いわゆる「ここでしか買えないもの」なので、大注目の泡盛たちです。新聞や会場でも大々的にアピールされていたので、見かけた方も多かったのでは?

比嘉酒造:限定古酒 残波1999年

比嘉酒造の「残波」と言えば、沖縄を代表する泡盛ですね。
「ザンシロ」「ザンクロ」の呼び名で愛され、比較的どこでも手に入ります。

ただ、この『限定古酒 残波1999年』は、「残波でしょ!?」と思ってナメてかかるとやけどします。比嘉酒造の古酒の中でもダントツの貯蔵年数。最高傑作の17年古酒です。
おそらく量もそんなにないのだと思われ、ほぼ「沖縄の産業まつり」でしか販売していません。そのため、毎年必ずこのイベントで購入するという泡盛ファンもいるのでは。知る人ぞ知る銘酒です。

 

神村酒造:初垂れ守禮 66度

こちらは「沖縄の産業まつり2016」にて、本数限定で発売された泡盛です。

まず「初垂れ」とは、泡盛を蒸留したときの最初の部分ということ。
泡盛を製造する方々の話では、蒸留の最後の部分には、「雑味」と呼ばれるあまり出て来てほしくない味が出るのだそうです。普通はその最後の部分も含んで商品化するんですが、「初垂れ」は含みません。前半部分だけを使っている、贅沢な一品です。

そして、今回の「66度」、実は泡盛ではありません。ラベルを見ると「原料用アルコール」の文字。

酒造所にもよるんですが、蒸留したとき、泡盛は50度以上あることがほとんどです。
しかし、酒税法の関係で45度以上のものは泡盛として売ることができません。そこで、酒造所は、蒸留の後半部分まで取り入れたり水を加えたりしながら、45度以下に調整してから寝かせます。

でも今回、神村酒造さんは、蒸留したときの前半部分だけを贅沢に使い、しかも水も加えず66度のままを商品化しちゃった!ってことです。

これ、けっこう贅沢な製造方法なんです。だから頻繁には造らないんですよね。さらに、泡盛の酒造免許の他に、原料用アルコールの酒造免許も必要になるので、全てのメーカーができる訳でもないんです。その点からもかなりスペシャルな一品です。

 

神谷酒造:はなはな(ハイビスカスC14酵母使用)

神谷酒造さんは現在、「古酒はなはな」と「はなはな(マリーゴールド酵母使用)」という二つの「はなはな」を販売しています。今回の商品は、「ハイビスカスC14酵母使用」で「はなはな」の3種類目になります。

泡盛を名乗るためには、5つの条件を満たす必要があります。

・原料がお米であること
・黒麹菌を使うこと
・全麹仕込みであること
・単式蒸留機で蒸留すること
・45度未満であること。

この厳しい条件の中で個性を出そうとしたときに、変化をつけるポイントのひとつが「酵母を変える」ことで、最近はいろんな酵母が出ています。

そもそもこの酵母というのは、日常生活のいろんな所に潜んでいる微生物です。その微生物の力を借りて、昔から人間はパンを作ったり味噌を作ったりお酒を作ったりしてきました。
泡盛は、通常「泡盛酵母(AW101号)」を使うんですが、今回の神谷酒造さんは、沖縄らしい「ハイビスカス」に着目して、泡盛に合う酵母を見つけ出した訳です。

余談ですが、この酵母の研究は「株式会社バイオジェット」で行われ、ラベルのイラストはなんと! この酵母を発見した研究員自らが描いたというスペシャルなボトルなんです!
好評だったらレギュラー製品化されると思いますが、ボトルのデザインは変えると話してくれていました。
そういう意味でも、今回しか見られないボトル。これは本当に購入して良かった一品でした。

 

株式会社多良川:MY17 3年古酒40度

「琉球王朝」でお馴染みの株式会社多良川さんは、2014年からさとうきびの搾りかすから抽出した宮古島原生の酵母『MY17』を使用した泡盛造りをしていました。
この『MY17』は「MiYakoで抽出された17番目の酵母」という意味。

2014年に製造した泡盛が今年ちょうど3年を迎えるので、満を持して115本限定の古酒として産業まつりで売り出したんです(※3年以上貯蔵したものだけが古酒と呼べるため)。300ml(いわゆる2合瓶)で1000円を超える価格でしたが、これは多良川ファンにはたまらなかったと思います。

 

こちらもおすすめ! 産業まつりから新発売の泡盛を紹介します

しばらくラインナップに変化を加えて来なかった菊之露酒造さんが新商品を出したり、石川酒造場さんが「ドラゴンフルーツ梅酒」を出したりと、おもしろい商品がとても多かったんですが……。
今回、クダカ的に心を奪われたのがご紹介する3本です!

瑞穂酒造:MIZUHO ISLAND SPIRITS

「MIZUHO ISLAND SPIRITS」は、カクテルの素材として使ってもらえるように設計された泡盛です。
アルコール度数は世界の名だたるスピリッツと同じ40度で、たくさんある瑞穂酒造の原酒の中から、割り材との相性を考えたブレンドを何度も試したそう。
パッケージも青を基調にしたカラフルな横文字で、パッと見ただけでは泡盛だと気付かないほど。バーのカウンターにスピリッツと並んでも引けを取らないものにしたいという、並々ならぬアツい気持ちの賜物です。

いま泡盛業界で注目されている「泡盛を使ったカクテル」。
個性がある一方でフルーツなどと馴染みやすい泡盛は、実はカクテルの素材に適しています。その可能性をいろんな方面に伸ばしてくれそうな、注目の一品です!

 

崎山酒造廠:Bis

崎山酒造さんは今回この産業まつりから、泡盛をベースにしたハイビスカスリキュールの「Bis-ビス-」を発売し始めました。
このリキュールは、沖縄県内の女子大学生がネーミングから味、度数、色などの商品の仕様まで考えたという、女子大生プロデュースの泡盛リキュールなんです。

度数も8%なので、氷をたっぷり入れたグラスに注いで、梅酒などの果実酒やチューハイのような感覚で飲んでほしいそう。かわいいイラストが描かれた細長いボトルとピンクの本体が目を引きますよね。
最近「女性がお酒を飲まない」と言われることが多いので、泡盛を使ったリキュールは今後も需要が高まると思っています。

 

瑞泉酒造:海水仕込み泡盛

瑞泉酒造さんの今回の目玉はなんと言っても、まだ名前も決まっていない「海水仕込み泡盛」!
こちらは製造過程で海洋深層水を使ったもので、2010年から6年研究の末、ようやく完成したんだそう。

今回、この商品すごく人気で、実は買い損ねちゃったのです。2日目の昼にはすでに1本も残っていませんでした。私としたことが……。
まつり会場のブースでボトルデザインと名前の募集を行っていて、今後レギュラー商品化する予定です。注目ですね!

 

産業まつり当日の、泡盛ブースはおもしろい!

「沖縄の産業まつり」の泡盛ブースで注目なのは、なにも商品だけではありません。
それぞれの酒造メーカーさんが自社の商品を手に取ってもらうため、最大限の装飾とパフォーマンスを準備しています。

沖縄県酒造組合ブースでは、毎年お楽しみ袋をやっています。
1袋1600円なんですが、いわゆる参加賞でも出した金額と同額の「海之邦10年古酒25度」が入っていて、一番良いものだと14000円相当の「海之邦23年古酒42度」があたります!ということで私、毎年挑戦してしまいます。
みなさんも年一度の運試しにいかがですか?

瑞穂酒造さんと久米仙酒造株式会社さんのテントでは、今回、泡盛カクテルの販売をしていました。
瑞穂酒造さんは「MIZUHO ISLAND SPIRITS」を使ったカクテルを限定販売。
那覇市首里の大人気バー「BIRTHDAY」のバーテンダーさんをお招きして、絶品カクテルを振る舞っていました。

久米仙酒造さんも、自社の泡盛を使った泡盛カクテルを販売。
泡盛マイスター資格を持っている名物社員さん自らがシェイカーを振り、美味しいカクテルを作ってくれていました。

 

すでに今から「沖縄の産業まつり2017」に期待してます!

「沖縄の産業まつり2016」も、来場者数242,500人と大盛況の内に終わりました。(主催者発表)
各酒造メーカーさんの渾身の力作から、今後の業界を担って行きそうな新しい風を感じる一本まで。今年も、泡盛酒造メーカーさんの並々ならぬ気合いを感じる3日間だったと思います。

さて、「沖縄の産業まつり2017」は、2017年10月27日(金)~29日(日)開催の予定。
来年はどんな泡盛に会えるのか? どんな美味しいご飯に出逢えるのか?
今からすでに、楽しみで仕方ありません。

ゲストライター

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kudaka
沖縄で生ま育った、沖縄在住ライターです。
ひょんなことがきっかけで泡盛に興味を持ちはじめ、2016年春に泡盛マイスターの資格を取得。『泡盛じょーぐー(沖縄方言で「大好き」の意味)』としてお酒にまつわる情報も発信しています。
 
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