沖縄の屋上から vol.3 那覇市牧志第一公設市場

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街に数多あれどもなかなか立ち入ることができない場所である「屋上」。沖縄の屋上には何があるか。そしてそこから見える風景はいったいどのようなものなのか。第三回は2019年6月16日に営業終了した旧那覇市牧志第一公設市場です。

街に数多あれどもなかなか立ち入ることができない場所である「屋上」。たまにモノレールから見える沖縄の家々の屋上を見ているとものすごく緑が茂っている屋上やなんだかよく分からないものが置いてある屋上、洗濯物がはためく屋上など様々な生活の断片みたいなものを垣間見ることができます。

沖縄の屋上には何があるのでしょうか。そしてそこから見える風景はいったいどのようなものなのでしょうか。DEEokinawaでは新たな試みとして屋上を巡る旅をスタートしたいと思います。

過去の記事はこちら
沖縄の屋上から vol.1 ちとせ商店街ビル
沖縄の屋上から vol.2 ノボテル沖縄那覇

誰も居なくなった那覇市牧志第一公設市場

さて、今回の舞台は那覇市牧志第一公設市場です。DEEokinawaでも市場の閉店については散々取り上げたので皆さんちょっと食傷気味かもしれませんね。

那覇市牧志第一公設市場の屋上は取材依頼を出しても「柵がなくて危険なのでNG」という返答で取材NGだったのです。しかし、市場が閉店した後、マスコミ向けの内覧というものが行われまして屋上を含めて改めて市場の中に入る事ができたのです。その様子を今日はご紹介できればと思います。

 

公設市場の中は今どうなっているのか

さて、閉店した公設市場は今、どんな感じなのでしょうか。1階から見ていきましょう。

必要な機材は新市場の方に移動が終わっているらしく、随分閑散とした印象ですね。

店舗は小間という単位で管理されてきました。機材がなくなった後も店舗と店舗の境目はなんとなく分かります。ただ、何度も足を運んだ割りにはそこにどのお店があったのかはよく分からなくなってしまいました。

普段は気にしてませんでしたが、足下には迷路みたいに排水を流す溝が走っています。

看板が残されている店舗もありました。電話番号が二桁から始まるのと、自宅の電話番号が書いてあるあたりに歴史を感じますね。

ちょっと前まで人で賑わっていた市場に誰もいない、不思議な気分です。

食堂街があった2階にやってきました。

前に組合長の粟国さんからお話を聞いたときに「もともと2階は食堂を想定して作られていない」ということを聞きました。実際機材が取っ払われた店舗跡を見てみると厨房スペースは驚くほど狭くて、色々やりくりして沢山のお客さんを捌いていたのだなぁと思います。

こちらの水たまりは雨漏り。牧志第一公設市場の建物は1972年の建物をそのまま使っていました。色々なところでガタがきてるのだと思います。

厨房側にあって見えてませんでしたが、ボロボロになった柱もありました。

すっかり時間が止まってしまった那覇市牧志第一公設市場。いよいよこれまで入れなかったエリアに進みます。

 

幻の公設市場3階

さて、これも前にも触れましたが1階は市場、2階は食堂として有名だった公設市場。実は3階があるのです。

3階には解体場などがあり、一般には立ち入り禁止。取材依頼を出してもNGでした。しかし、人も居なくなったので今回は入って大丈夫という許可を頂きましたのでいざ。

ドキドキしながら3階への急な階段を上ります。

本邦初公開(たぶん)。こちらが那覇市牧志第一公設市場の3階になります。奥の方は食材などを保管する冷凍庫、右の部屋が解体場です。

こちらが解体場。なんでも食品衛生法によって定められた営業面積より市場部分の店舗面積が小さかったため、問題を解決すべく作られたものだったそうです。ここで豚肉などを切り分けたりという作業がされていたのですね。

使用者の氏名、心得が張り出されていました。年季を感じます。

3階の奥手にある冷凍庫スペース。特に薄暗くゾンビ映画だったら何か出てくるパターンの場所。

冷蔵庫にも使用者心得が張り出されていました。

下の通路図は明らかにあとでマジックで手書きした感がすごいです。

3階部分にも屋上というかベランダがあります。

豚肉の処理に「残った豚の毛をバーナーで焼く」という処理があるのですが、それをこの屋上部分でおこなっていたそうで、こちらがその台。左手にある肉屋の名前の札は、その場所にそのお店のガスボンベを置いていたのだそうです。

こちらは屋上部分に突き出した柱。

公設市場といえば、六角形の柱が特徴的でした。屋上から突き出した柱からもそれを見て取れます。

さて、3階といえばもうひとつ気になることがありました。

それは公設市場の吹き抜けから見える通路です。どうも3階の解体場からはそちらに行けないようで、どこなのだろうと思っていたのですが3階の屋上部分から入れるみたいです。

こちらがその3階スペース。吹き抜けをぐるりと囲む形で通路があり、それ以外はなにもありません。

でも、ずっとここに入ることが僕の夢のひとつでした。この時ほどDEEokinawaをやってて良かったと思ったことはありませんでした。ちなみに換気扇も手すりも油でベタベタしてたのですが、どうやら2階の食堂の煙に長年に渡ってされた事が原因だそうです。

 

屋上にはなにがあるのか

3階ですでに胸がいっぱいですが、まだ屋上が残っています。解体場からいよいよ屋上へ。

こちらが那覇市牧志第一公設市場の屋上です。さて、どんな風景が見えるかというと…

市場に沿うように走るアーケードの屋根を眼下に見ることができます。これから市場の取り壊しでこのアーケードも撤去されてしまうので、今が見納めですね。

謎のつくし園。前に水上店舗の記事を書いたのですがコメントに「つくし園は自分の頃はビリヤード場だった」というコメントを頂きました。

よくよく見てみると水上店舗の屋上の柱にはお店の名前っぽいものが書かれた跡があり、おそらくアーケードができる前はこれが看板代わりに使われていたのだと思われます。

こちらは屋上から見下ろす、3階のベランダ部分。右下のちょっと青がかった灰色の場所が3階吹き抜け部分です。

屋上からの遠景です。

 

さらに屋上へ

いやぁよいものを見た…と思ったのですが話を聞くと実はさらに公設市場には屋上があるらしいのです。

そちらにも案内してもらいました。

案内されたのは倉庫みたいな場所。ここからシャッターを開けてさらに別の屋上部分に入ります。

今までみたことの無い場所に出ました。公設市場にこんなモダンなデザインの場所があったのを皆さんご存じでしたか?

ここからハシゴを登ります。

こちらが正真正銘、那覇市牧志第一公設市場のてっぺんからの風景です。

アーケードははるか下になりました。

こちらは反対側のアーケード。

これから公設市場は一度取り壊されて、アーケードも撤去されます。3年後新市場ができたときに見える景色はどのように変わっているのでしょうか?

というわけで「沖縄の屋上から」第3回は那覇市牧志第一公設市場からお送りしました。この連載では次回以降も沖縄の屋上から風景をお伝えできればと思います。もしも記事をご覧の方でビルオーナー、大家さんがいらっしゃったら是非ともご連絡くださいませ。

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