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【連載】ハブでも分かる!?遺老説伝 Vol.76 蛇に魅入られた娘-1
1740年代に琉球王国の歴史書として編纂された『球陽』の外巻である『遺老説伝(いろうせつでん)』。首里政府が各地に命を出して集めたとされるその内容を、漫画でゆるく描き下してみるという試みです。
『ハブでも分かる!?遺老説伝』とは
『遺老説伝(いろうせつでん)』は1743年から1745年にかけて琉球王国の正史として編纂された『球陽(きゅうよう)』の外巻で、各地の御嶽や行事の由来、珍しい出来事などを首里政府が各地に命令を出して集めたものとされています。
当連載『ハブでも分かる!?遺老説伝』は、"ハブでも分かる" をコンセプトに、原文(漢文)をそのまま読み解くには難解すぎる『遺老説伝』を、沖縄出身の漫画家・吉元あきこが漫画で描き下してみる、という試みです。ただ、本当にハブでも分かるかどうかはハブのみぞ知るので悪しからず。
*当連載の内容はすべて史実というわけではなく、フィクションが大いに含まれていますのでご了承ください。
第76回『蛇に魅入られた娘-1』
蛇に魅入られた娘
それから、この島に人が生れたのです。
男神様の名前は「恋角」(こいつの)、女神様は、「恋玉」(こいだま)と申し、それからは、この世のすべての物が出来て、人も年を追うてダンダン増えて行きました。
その後、数百年もの永い年月が流れてから、平良の隅屋(すみや)という処に、大姓家がありました。
家業は大層栄え、それはそれは大した大金持で、何一つ不自由なものとてありません。
けれども、どうしたのか、永い間、子供が出来ません。
それで、いつもいつも、「子供が授(さず)かるように」と神様にお祈りいたしておりました。
神様は、夫婦の願いをお聞き届けになって、間もなく玉のような女の子が生れました。
(続く)
『琉球民話集 全巻 球陽外巻遺老説伝口語訳』 P111より
琉球史料研究会編(1963年)