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【連載】ハブでも分かる!?遺老説伝 Vol.91 多和田川
1740年代に琉球王国の歴史書として編纂された『球陽』の外巻である『遺老説伝(いろうせつでん)』。首里政府が各地に命を出して集めたとされるその内容を、漫画でゆるく描き下してみるという試みです。
『ハブでも分かる!?遺老説伝』とは
『遺老説伝(いろうせつでん)』は1743年から1745年にかけて琉球王国の正史として編纂された『球陽(きゅうよう)』の外巻で、各地の御嶽や行事の由来、珍しい出来事などを首里政府が各地に命令を出して集めたものとされています。
当連載『ハブでも分かる!?遺老説伝』は、"ハブでも分かる" をコンセプトに、原文(漢文)をそのまま読み解くには難解すぎる『遺老説伝』を、沖縄出身の漫画家・吉元あきこが漫画で描き下してみる、という試みです。ただ、本当にハブでも分かるかどうかはハブのみぞ知るので悪しからず。
*当連載の内容はすべて史実というわけではなく、フィクションが大いに含まれていますのでご了承ください。
第91回『多和田川』

佐敷郡津波古邑(つはこむら)に一つの井戸があって、そこからは、たえずこんこんと清水がわきでて、その水のおいしさは又格別でございます。
この井戸を多和田井(たわたがわ)といいます、
むかし、一人の老女が、ある時、この井戸で水をくんでいますと、見知らぬ男が井戸の左側の石に立って
「すみませんが水を一ぱい下さい」
と頼みました。
老女は心よくききいれて、茶ワンのロ端を少し欠(か)き、水をいれてすすめました。
これを見た男が
「どうして貴女は、わざわざそんなことをなされますか」
とたずねますと、老女は
「さっき、ある子供がこの茶ワンを使って、水を飲みました、その時茶ワンによごれがついたと思
います。茶ワンを欠(か)いて清めたわけですから、そのかけた所からお上り下さい」
男は、老女の心づかいに喜んで、その通り水を飲みましたが、しばらくして
「この村に、人々が困るようなことがありますか?」
とたずねました。
「村に、民の生業(なりわい)をさまたげる、二つのことがあります。
その一つは二回の稲祭りで、このため、農業民は大いにさまたげられます。
もう一つは、稲が熟(じゆく)して苅とり、乾(ほ)す時、突然、雨が降りだして、切角の稲が
目茶々々になってしまいます」
老母の言葉に、男は、おごそかにいいました。
「今後、この村に五、六月の間雨が降らない、又四、五月の稲の大祭りをおこなってはならない」
このことがあってから、津波古村では、今にいたるまで稲の大祭をおこなわないとのことです。
『琉球民話集 全巻 球陽外巻遺老説伝口語訳』 P77-78より
琉球史料研究会編(1963年)








