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【連載】ハブでも分かる!?遺老説伝 Vol.81 蛇に魅入られた娘-6
1740年代に琉球王国の歴史書として編纂された『球陽』の外巻である『遺老説伝(いろうせつでん)』。首里政府が各地に命を出して集めたとされるその内容を、漫画でゆるく描き下してみるという試みです。
『ハブでも分かる!?遺老説伝』とは
『遺老説伝(いろうせつでん)』は1743年から1745年にかけて琉球王国の正史として編纂された『球陽(きゅうよう)』の外巻で、各地の御嶽や行事の由来、珍しい出来事などを首里政府が各地に命令を出して集めたものとされています。
当連載『ハブでも分かる!?遺老説伝』は、"ハブでも分かる" をコンセプトに、原文(漢文)をそのまま読み解くには難解すぎる『遺老説伝』を、沖縄出身の漫画家・吉元あきこが漫画で描き下してみる、という試みです。ただ、本当にハブでも分かるかどうかはハブのみぞ知るので悪しからず。
*当連載の内容はすべて史実というわけではなく、フィクションが大いに含まれていますのでご了承ください。
第81回『蛇に魅入られた娘-6』
と、たちまち大蛇が、嶽(たけ)から現れましたが、その目は星のようにキラキラ光り、牙(きば)はまるで、とびすました剣ににて大きな口をあけ、舌をふるい、身を起して躍(おど)りあがりました。
三人の母は、あまりの恐ろしさに吃驚似天(びっくりぎょうてん)、無我夢中で、三女子を其処に置いて、家に飛んで帰りました。
一方、三人の子供は、少しも恐れるようすもなく、大蛇にすがりつき、首を抱いたり、尾をなでたりして、はなれようともしません。
大蛇は大蛇で、又舌(した)で子供等をペロペロなめまわして、お互いに心が通じているかのようです。
そして大蛇は、三女子を乗せて嶽の中にとびいり、守護神となって消えてしまい、雲をわきおこし霧をおこし、天に光を放ちました。
このことがあってから、人々は皆不思議なことに思い、神嶽として尊び、信じるようになりました。
『琉球民話集 全巻 球陽外巻遺老説伝口語訳』 P115より
琉球史料研究会編(1963年)