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【連載】ハブでも分かる!?遺老説伝 Vol.80 蛇に魅入られた娘-5
1740年代に琉球王国の歴史書として編纂された『球陽』の外巻である『遺老説伝(いろうせつでん)』。首里政府が各地に命を出して集めたとされるその内容を、漫画でゆるく描き下してみるという試みです。
『ハブでも分かる!?遺老説伝』とは
『遺老説伝(いろうせつでん)』は1743年から1745年にかけて琉球王国の正史として編纂された『球陽(きゅうよう)』の外巻で、各地の御嶽や行事の由来、珍しい出来事などを首里政府が各地に命令を出して集めたものとされています。
当連載『ハブでも分かる!?遺老説伝』は、"ハブでも分かる" をコンセプトに、原文(漢文)をそのまま読み解くには難解すぎる『遺老説伝』を、沖縄出身の漫画家・吉元あきこが漫画で描き下してみる、という試みです。ただ、本当にハブでも分かるかどうかはハブのみぞ知るので悪しからず。
*当連載の内容はすべて史実というわけではなく、フィクションが大いに含まれていますのでご了承ください。
第80回『蛇に魅入られた娘-5』
「男は女を姿(めと)り、女は男の家に嫁(とつ)ぐのが人の道である。
それだのに、妖(あや)しい蛇にけがされ妊娠するのは、なんという辱(はず)かしいことだ」
と、母・子ともども、声をあげて泣き、首をくくって死んでしまおうと決めました。
その夜、娘は、大蛇の夢を見ました。
蛇が枕元にきて
「我はその昔、この島をお創(はじ)めになった「恋角」が、生れかわってこのような蛇になったのだ。
我はこの国を守る神を、お立て申そうと思って、ここにきてお前とよしみを交したのだ。
お前はかならず、三人の女の子を産むだろう。その子供等が三才になったら、一諸に漲水につれてこい」
といったので、ハッと眼をさまし、あたりを見まわしたが、何一つかわったことはありません。
娘は、早速夢のことを詳しく父母に話しました。
「まあ、なんという不思議なことだろう。もしも夢が本当だとして、お前が三人の女の子を産んだら、それこそ大きな喜びであって、心配するようなことはない」
と父母は喜びあいました。
それから月日を重ねて、満十ケ月になった時、果して三女子を産みました。
三人の子供は、そろって生れつき優(すぐ)れて、顔かたちも常の人と異っています。
だんだん大きくなり三才になった時、三人の母は、夢のとうり三名をつれて漲水にゆきました。
(続く)
『琉球民話集 全巻 球陽外巻遺老説伝口語訳』 P114-115より
琉球史料研究会編(1963年)