【大人の社会科見学】不発弾の磁気探査を体験してきた
沖縄では日常的にニュースになる不発弾。不発弾を探査する会社でお話を聞いてきました。
沖縄に住んで驚いたことのひとつに、日常的に不発弾関連のニュースを耳にするということがありました。
普段から通っている交通量の多い道で大規模な交通規制が行われたり、周囲数百メートルの住民には避難指示が出されたりと、終戦から80年以上経った現代でもこうして沖縄戦の影響が続いていると思うと改めて戦争の恐ろしさを感じます。
そんな不発弾は磁気探査という方法で探査が行われているということは耳にしたことがあるのですが(その昔バイトしてたよという人の話をきいたことがある)、いったいどのようなことをするのか、何が行われているのかってなかなか詳しく知っている人は少ないのではないかと思います。
そこで磁気探査を実際に行っている会社にお話を聞いてきました。
不発弾を探すという仕事

今回お話を伺ったのは宜野湾市にある株式会社沖縄中央エンジニアリングの代表取締役、仲宗根 昌博さん。仲宗根さんは一般社団法人 沖縄県磁気探査協会の会長でもあるそうです。
―― 不発弾の有無を調べる磁気探査ですが、いつ頃くらいから行われているものなのですか?
本格的に県内で始まったのは1974年に那覇市小禄で起こった不発弾の事故からですね。それをきっかけにうちの先代や有志が集まって、日本物理探鑛(にほんぶつりたんこう)という会社で磁気探査の技術を学んで沖縄に持ち帰ったんです。1986年には県内13社の磁気探査業者が集まって組合を作り、2010年にはさらに2つの組合が合併して「沖縄県磁気探査協会」を設立する運びとなりました。
聖マタイ幼稚園不発弾爆発事故
1974年(昭和49)3月2日、那覇市小禄の聖マタイ幼稚園近くの下水道管工事現場で、旧日本軍が埋めた改造地雷に重機が触れて爆発。幼児を含む4人が死亡、34人が重軽傷を負い、家屋117棟、車両70台が全半壊した(詳しくはこちら)。
―― 実際に不発弾の探査をする手順ってどのようなものなのでしょうか
まずは基本的に探査する土地の測量からですね。その後、その土地をボーリング調査して地盤の深さを調べて不発弾の探査計画を立てます。
地表面から掘削深度が比較的浅い場合は「水平探査(すいへいたんさ)」という方法を使います。2人一組で金属探知ができるセンサーを持って歩いて反応が無いか調べていきます。杭工事などの掘削深度が深い場合は「鉛直探査(えんちょくたんさ)」といって、ボーリングマシンで穴を掘って、センサーをその穴に入れて30cm毎に金属反応が無いかを調べていきます。

探査結果を記録した報告書。見つかった金属をひとつずつ記録していくので膨大になるらしい。
金属反応があった場合は、場所を特定して重機などでその場所を掘り返して埋まっているものが何なのか特定していくという作業の繰り返しですね。
―― 見つかる不発弾ってどのようなものがあるんでしょうか

250kgの爆弾から、艦砲弾、地雷や手榴弾など色々ありますね。現在は不発弾の磁気探査ではこの中で250kg爆弾、50kg爆弾、5インチ艦砲弾を対象にしていますよ。2012年までは250kg爆弾、50kg爆弾のみが対象だったんです。水平探査も1m間隔で探査をしていたんですが、2009年に糸満で不発弾の事故があってからはさらに厳密に探査を行うようになって5インチ艦砲弾を見逃さないように現在は50cm間隔で探査が行われています。
糸満市不発弾爆発事故
2009年(平成21年)糸満市小波蔵の水道管工事現場で不発弾が爆発。作業をしていた男性が大けがをした他、50メートル離れた老人ホームの窓ガラスが100枚以上割れる事故が起こった。(詳しくはこちら)。
沖縄県では県が費用を負担してくれる

―― 不発弾を調べたい時って新しく家を建てたいとかそういう場合ですよね。探査費用っていくらくらいなのでしょうか。
沖縄県では不発弾の探査は申請すれば県が原則全額費用を負担してくれます。まずは県の機関に問い合わせて頂いたらよいと思います。申請には色々書類が必要なのですが、そのあたりは磁気探査業者でもお手伝いしているので、ご相談いただければと思います。
住宅等開発磁気探査支援事業
沖縄県では、個人・民間事業主等からの申請に基づき、住宅・工場・事業所等の建築工事など、工事を行う際の不発弾探査費を補助しています(補助は原則100%)。詳しくはホームページから
―― そうなんですね!じゃあみんなこの制度を利用して家を建てている…?
ところが、今県内では新築案件がだいたい5000棟あるんですね。でもその中で磁気探査が行われているのは250件程度なんです。磁気探査費用の支援についての申請には少し時間がかかるのもありますし、まだまだ普及していないのが現状です。家を建てるって一生に一度あるかないかの大きな買い物だと思いますので、安心安全にずっと暮らせるように、土地を子や孫に受け継いでいくときも安心して渡していけるように、ぜひ制度を利用して最初にチェックしていただく事をおすすめします。
―― 実際どれくらいの頻度で不発弾って見つかるものなのですか?
うちだと100件やって1件くらいでしょうか。ただ、南風原、浦添、那覇の特に首里近辺は多いですね。以前新都心で探査をしたことがあったんですが、50kgの不発弾や250kgの不発弾が結構出てきてましたね。
―― 恐ろしい…!
磁気探査を体験してみる

不発弾についてのお話を色々聞いてきましたが、今回は仲宗根さんのご厚意で近所の公園で実際に磁気探査を見せて頂くことに。上の写真は水平探査に使われるセンサーです。

センサーを二人で持って50cm間隔で張られたロープに沿って歩いていきます。
センサーの反応を計器で確認して、センサーが反応している箇所(グラフの振れが大きい箇所)をチェック。

大まかな場所が分かったら、今度は感度の高い金属探知機でさらに場所を特定、その場所を掘って埋まっている金属を探すという流れになっています。

僕も持たせてもらいましたが、結構重いです。あんまり軽いと歩く振動や風で揺れたりしてセンサーの位置が安定しないのである程度の重さが必要なのだそうです。

センサーの位置は地表から10cmをキープ。結構気を遣います。今回は公園でしたが、山の中だったり、ものすごい傾斜地だったりでも常に地表から10cm程度を保って移動する必要があるので実際はもっとしんどい作業なのだとか。さらに50cm幅をずーっと往復していくので気の遠くなるような作業です。

こちらは鉛直探査用のセンサー。ボーリングで開けた穴にセンサーを入れて、地盤に達するまで30cm刻みで調べなければならず、これもすごく体力を使いそうです。

何もない原野であれば良いのですが、周りが宅地の場合は他の家の鉄筋などにセンサーが反応することもありセンサーの波形を読み取るには経験が必要なのだそうです。沖縄県磁気探査協会ではこの技術の担保のために「磁気探査技士」という資格制度を設置していて現在は530名の認定磁気探査技士がいるのだそうです。

というわけで不発弾を探査する磁気探査についてお届けしましたがいかがだったでしょうか。今まで漠然と不発弾探査というものを認識していたのですが、お話を聞いて実際に体験してみてぐっと解像度が上がった気がします。
また、住宅を建てる際の不発弾探査は県から補助があり無料で受けることができる、ということも恥ずかしながら今回初めて知りました(内地では探査は実費らしいですよ)。
戦後81年ですが、私たちの足下にはまだまだ多くの不発弾が埋まっています。この記事が沖縄に眠る不発弾を理解する一助になれば幸いです。
取材協力:
株式会社沖縄中央エンジニアリング
沖縄県宜野湾市野嵩1丁目6−23
コラボ企画

- 「令和7年度沖縄県不発弾等対策安全・普及啓発に係る周知広報業務」事業
- 繰り返しになりますが、沖縄県では住宅・工場・事業所等の建築工事などの工事を行う際は不発弾探査を原則100%の補助を受けて行うことができます。詳しくは県のホームページをご覧下さい。













