2026.09.10

沖縄陸軍病院南風原壕群20号を見学してきた

娘が夏休みの宿題の一環で戦跡を見学したいというので、南風原町にある「沖縄陸軍病院南風原壕群20号」を見学してきました。

沖縄陸軍病院南風原壕群20号

沖縄陸軍病院南風原壕群は、沖縄戦当時、南風原町の黄金森などに造られた陸軍病院の壕群です。1945年3月下旬から5月下旬まで、負傷兵の治療などに使われ、軍医や看護婦、衛生兵のほか、看護補助要員として動員されたひめゆり学徒たちもここで働いていました。

黄金森には多くの壕が掘られていましたが、そのひとつである20号壕は現在、内部を見学することができます。長さは約70m、高さと幅はそれぞれ約1.8m。もともとは内科として使われていましたが、負傷者の増加に伴い第二外科となったそうです。

ちなみに記事を書き終えてから、DEEokinawaで2016年にも同じ場所を紹介していたことを思い出しました。長くやっていると、こういうこともあります。でももう書いてしまったので、今回は2026年の様子としてお届けします。

旧盆前だったので、念のため塩を持っていきました。
もちろん心霊スポットというわけではなく、きちんと整備された見学施設です。ただ、旧盆前に戦跡の壕へ入るということで、これは完全にわたしの気持ちの問題です。

20号壕があるのは、南風原町の黄金森と呼ばれる丘の上。
2026年現在、周辺に当時の悲惨さを直接感じさせるものは少なく、のどかな場所です。この日も虫取りをしている親子がいました。

暑い日でしたが、丘の上は風が気持ちよく、遠くまで見渡せます。
80年以上前、この同じ場所が戦場だったということを、今の風景から想像するのは難しいほどです。

丘を上ったところに20号壕の受付があります。
壕内の見学は事前予約制で、ガイドさんと一緒に入ります。一度に壕へ入れるのは8人まで。ヘルメットと懐中電灯は現地で貸してもらえます。

見学

まずは壕に入る前に、ガイドさんから沖縄戦や陸軍病院について説明を受けます。

沖縄戦では激しい艦砲射撃や空爆が続き、そのすさまじさは「鉄の暴風」とも表現されてきました。ここでは実際に飛んできた砲弾の破片を触らせてもらいました。
小さなものでもずっしりと重く、これがものすごい勢いで飛んできたのだと思うと、「怖いね」と娘と言い合いました。

20号壕の入口。ここからはヘルメットをかぶり、懐中電灯を持って進みます。
壕内は写真撮影禁止なので、ここから先は写真がありません。

壕は高さ約1.8m、幅約1.8m。ツルハシなどを使って掘られ、内部には2段の寝台が設けられていたそうです。
病院の撤退時に埋められたとみられる医薬品。戦後約50年を経て行われた発掘調査で、薬瓶などが見つかったそうです。

今回初めて入ったのですが、壕の中は鍾乳洞のようにひんやりとしていて、最初の一瞬だけ「外より涼しくて快適なのでは」と思いました。

しかし、当時は両脇に2段の寝台が並び、負傷した兵士たちが横たわっていました。通路は人が歩くのがやっとというほどの狭さです。そこに大勢の人がいて、治療や手術が行われ、うめき声やさまざまなにおいが充満していたことを考えると、ここで過ごした人たちが置かれていた状況は、想像するだけでも胸が詰まります。

見学する距離はそれほど長くなく、説明を聞きながら15分ほどでした。
今は静かな壕ですが、当時ここで起きていたことを重ねて考えると、わたしには想像しきれないほど凄惨な場所だったのだと思います。

臭気(戦時中の壕内のにおい)体験

希望すれば「臭気体験」もできます。戦時中の壕内がどのようなにおいだったのか、当時の証言をもとに再現したものです。
においが外に漏れないよう、瓶は何重にもして保管されています。

もちろん本物の血液や汚物などを使っているわけではなく、体に害のない薬品や食物の皮を干したものなどを混ぜて再現しているそうです。

このあとわたしも嗅がせてもらったのですが、思わず仰け反るほどのにおいでした。

当時の壕内については、「豚の死骸と猫の死骸が腐ったような」「耐え難い腐臭」、「血や膿、排泄物、汗や垢などのにおいで気分が悪くなった」、といった証言が残されています。

再現されたにおいだけでもかなり強烈でしたが、実際の壕では、それが逃げ場のない狭い空間に充満していたことになります。

そして当然ながら、当時の人たちが感じていたのは、においや暗さ、狭さだけではありません。いつ砲撃を受けるかわからない恐怖の中で、次々と負傷者が運び込まれ、十分な治療もできない状況...。

身近な場所で、身近になってほしくない戦争

見学を終えて来た道を戻っていると、蝉の声が聞こえ、風が吹いていて、いつもの沖縄の風景がありました。
こんな身近な場所で、80年前には戦争があった。今の風景からは想像もできないことですが、それこそが平和なのだと思います。
そんなことを考えながら帰りました。

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