2011.10.21

池間島のミャークヅツ

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宮古島の北西に位置する周囲10kmほどの小さな池間島。 そこで年1回、旧暦の8〜9月の3日間に渡り行われる池間島の祭祀「ミャークヅツ」を観に行ってきました。


ミャークヅツとは旧年の五穀豊穣と大漁に感謝し、次の年の豊作と豊漁を祈願する池間島最大のお祭です。
県選択無形民俗文化財にも登録されています。

参加資格があるのは数え年で55歳以上の池間島出身の男性のみ

池間島にはムトゥ(元)と呼ばれる4つの儀礼集団、真謝ムトゥ、上げ枡(アギマス)ムトゥ、前ぬ屋(マエヌヤー)ムトゥ、前里ムトゥがあり、それぞれのムトゥにはムトゥヌヤー(元の家)と呼ばれる集会所のような家があります。

池間島出身の男性は数え年で55歳になるとミャークヅツへの参加資格を得ます。
ここでは年功序列が厳しく守られ、新しく仲間入りした人達は新入生と呼ばれ、朝の3時頃からムトゥヌヤーで酒席の準備を整えたり、先輩の世話役など裏方の仕事をするのです。

そしてミャークヅツの間、男達はひたすらムトゥヌヤーで酒を飲み、ひとときを過ごします。
この間は仕事も休み、島からも出ないのだそう。

ミャークヅツの期間中にしか入る事のできない「大主(オハルズ)神社」

島にはミャークヅツの期間中にしか入る事のできない「大主神社」があります。
普段はツカサンマ(司母)の許可がなければ入る事ができない、とても神聖な場所ですが、ミャークヅツの期間中のみ参拝が許されます。

参道には色とりどりののぼりが掲げられていました。

中へは土足で入る事が禁じられているので鳥居の前には、脱がれた靴や靴下が多く置かれてありました。

この日、私は初めて行ったので何もわからずそのまま入りそうになりましたが、前を通った島のおじさんが「ちゃんと裸足で入れね〜」と教えてくれたので助かりました。

そしてこの3日間、15時頃になるとメインイベントである「クイチャー」の奉納が始まります。

今はまだ静かな水浜の広場

クイチャーが行われる、水浜の広場です。
祭りらしく広場には万国旗やカラフルな提灯が華々しく飾られていました。
この時はまだ人も居らず、とても静かでした。


ムトゥのテント。
クイチャーが始まる前になるとここにそれぞれのムトゥに属した男性が集まります。

ミャークヅツには欠かせない「ミルク酒」

ミャークヅツで振る舞われるお酒と言えば「ミルク酒」。
正体は泡盛と練乳と水で割ったもの。

かなり口当たりが良く飲みやすいので、ついうっかり飲み過ぎてしまいそうになりますが、これがもう危ないわけで。
言うなれば泡盛を飲みやすくしたカクテルみたいな感じですね。
アルコールの度数が高いのでそれなりに酔っぱらいます。
(来年行かれる予定のある方は十分に気をつけてくださいね)

それぞれのムトゥのテントでは次々とこのお酒が作られ、振る舞われていました。

ツカサンマによる神への祈りと舞

いよいよ、ミャークヅツのメインイベントである「クイチャー」による奉納です。


広場の中ほどで、祈りが始まりました。

この時、たくさんの島民や見物人が居ましたが、みなさん静かにその姿を見つめていました。
とても厳かで気持ちが引き締まるような雰囲気でした


各ムトゥのテントを廻り、口上を述べています。

耳を澄まして聞いていましたが、全て方言だったので何を言ってるのかわかりませんでしたが、口上を述べたあとば、それぞれのテントで大きな拍手があがっていました。
ムトゥの男達やツカサンマからも笑顔がこぼれていたのでおめでたい言葉や労いの言葉などがかけられていたんだと思います。

ムトゥのテントを廻ったあとは舞いが始まります。

時間にして10分くらいでしょうか。
広場の中心で唄を口ずさみ、ゆっくりと円を描きながら舞いを踊っていました。

クイチャーを踊り、子孫繁栄と五穀豊穣を願う

ツカサンマによる舞いが終わると、びっくりするほどの音量でクイチャーの音が鳴り始めました。
すると、それぞれのムトゥのテントから祭りのはっぴを着た男達がツカサンマを囲うように円を描きながらクイチャーを踊り始めました。

ここからは厳かな空気から一気にお祭りの盆踊りのような賑やかな雰囲気で会場が盛り上がっていきます。

最初はムトゥの男達だけが踊っているのですが、次第に一般の方も参加して、踊りはこのあと延々と夜まで続けられるそうです。

気になるのは男達のスーツ姿

写真を見てお分かりだと思いますが、男達はみな、スーツを着ています。

いつも島で見かけるおじさん達はTシャツや作業着姿で楽な格好をしてるので、こういうきちんとした格好を観ると良い意味で違和感を感じました。

これは伝統あるミャークヅツが島の人達にとっては一大行事で正装して参加しないといけないという現れなのだと思います。

この日、私が行ったのは池間島だったのですが実は宮古島にある西辺地区と伊良部島にある佐良浜地区でも同じようにミャークヅツが行われていました。

その昔、池間に住んでいた住民の数があまりにも増えたため西辺と佐良浜に分村したそうですが、そこでも絶える事なくミャークヅツが行われているのです。


祭りをあたたかく見守る池間島のおばぁたち

伝統を残すべく、今でも祭りを大切にしている池間の血が流れる人たち。
今では多くの人が故郷に対する思いや誇りが薄れていくなか、約200年もの間、ミャークヅツを絶える事なく続けてきた島の人たちの熱い思いを肌で感じる事ができました。

来年は他の地域のミャークヅツにも足を運んでみようと思います。

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