2018.04.13

古き良き糸満市中央市場を訪ねて

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糸満漁港の近くにある糸満市中央市場。那覇の公設市場に比べて観光客からはあまり知られておらず、漁師町ならではのディープな雰囲気を残している。老朽化のため今秋にも建替えが計画されていると聞いて、現在の様子を見にいってきた。

糸満の市場ってどんなとこ?

那覇市の農連市場が老朽化のため建て替えられ、新たにのうれんプラザとしてオープンしたのは昨年10月のこと。
旧農連入場から移動してきた既存の店子さんに加えて新店舗も次々とオープンし、賑わいを見せているようです。しかし、旧農連市場のレトロでディープな雰囲気が跡形もなくなってしまったのはとても残念です。

さて市場といえば、糸満市にも市場があるのをご存知でしょうか。その名は、糸満市中央市場(糸満市公設市場)。地元の人からは「マチグヮー」と呼ばれ親しまれています。糸満漁港のすぐ近くにあり、これまでにも記事にちょこちょこ登場してはいましたが、がっつり紹介したことはありませんでした。

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この糸満市中央市場が建設されたのは1965年(1974年に増築)。市民の台所として親しまれてきましたが、近年は大型スーパーマーケットの進出や駐車場不足に伴う利用客の減少、そして老朽化による安全性確保と空き店舗の増加が課題となっており、20年以上前から建替えが計画されてきました。
その計画がいよいよ今年の秋、早ければ9月頃にも着工の予定だそうです。農連市場のときと同じく、既存店舗については営業を続けながら建替えを行い、来年2019年4月の全面オープンを目指すとのこと。

■関連記事
糸満市公設市場建て替えへ 魅力残し観光コーナーも(2016年5月28日)- 沖縄タイムス
糸満市中央市場、老朽化で建て替え 来年度にも着工(2015年8月12日)- 琉球新報

老朽化による建替えは仕方ないことですし、普段から利用しているわけでもないので勝手なことは言えないと分かってはいますが、やはりあの雰囲気がなくなってしまうのは惜しいと感じてしまいます。
現在の糸満市中央市場の姿を見に行ってきました。
 

精肉、鮮魚のA棟

まずはメインのA棟と呼ばれている精肉店や鮮魚店が入る建物。

朝の9時台に訪れたのですが、営業していた店舗は精肉店が3店舗ほど、鮮魚店が1店舗で、あとは雑然とものが置かれている状態でした。以前訪れたときはもう少し賑わっていたと思うのですが、既に閉店、退去してしまったのでしょうか。

A棟のいちばん南側にある玉城精肉店。こちらは元気に営業中でした。

ダンボールや計器類がそのまま放置されており物置状態です。

入口ドアに貼られた、しーぶんはカチャーシー!の貼り紙は健在でした。(※しーぶん=おまけ)

建物が新しくなって、またこの写真のように市場が賑わうといいのですが。
続いて、A棟に隣接した屋根付きの広場にやって来ました。ここでは野菜や惣菜類が販売中。

旬の島らっきょうや島にんにく、キャベツ、たまねぎなどが並んでいます。
どれも畑から直接持ってきたであろう新鮮さでした。店番の糸満アンマーたちの間で飛び交う糸満方言がまるで外国語のようで、どこかアジアの異国のマーケットに来たかのような錯覚に陥ります。

なにやらお怒りの様子の注意看板ですが、ちょっと私にはどういうシチュエーションに対するものなのか分かりませんでした。修行が足りなくてすみません。

隣の駐車場との仕切りとして活用された誰かさんちのフスマ。
よく見ると「フスマ」「糸満警察」そして左下に女性のイラストが描かれています。上手。

A棟東側の広場の一角にある市場唯一の食堂、ビストロゆう。以前よりメニューが減ったかな?という印象ですが、こちらも元気に営業中でした。とんかつ定食、茄子味噌定食、フーチャンプルー、カツカレーなどが450〜600円ぐらいで食べられます。
 

衣料、雑貨のB、C棟

南国らしくヤシの木が立ち並んだ中庭。ここは三角ヤードと呼ばれているそう。
左手の2階建てコンクリート造りの建物がB棟、右手側の平屋の建物がC棟でしょうか(詳細不明)。

階段部分は金網が張られて立入禁止になっていたので、二階の様子は残念ながら分かりませんでした。
B〜C棟にはわりと新しめのカフェが1軒に、衣料品店、美容室、日用品店、布地店など8〜10店舗ほどが営業中でした。

1階にあるトイレは利用可能。

二階へ向かう階段入口のところに平成元年に掲示された市場改造イメージ図がありました。
建替え計画が長年にわたって協議されていることが分かります。

奈々美容室も元気に営業中。
店内からはラジオから流れる音楽と、常連さんが来ているのでしょうか、楽しげな会話の声が聞こえてきました。

波動整体。ちょっと気になるけど、中の様子が一切見えないので入りにくすぎる...。
 

市場の周辺も歩いてみる

ついでに市場の周辺もそぞろ歩いてみます。

市場の中のみならず、周辺の店舗もシャッターの閉まっている店が多いです。

画になる建物。かつては店舗だったのでしょうか、1階には商品受け渡しができそうな小窓があったり、ガラス戸あったりと面影があります。

少し前に友人から噂を聞いていたのですが、市場のすぐ近くにあの『足立屋』が進出していました。
県内にこれで6店舗目になるでしょうか。与那原やコザの中央パークアベニューなど、ちょっと寂れた場所に切り込んでいく企業姿勢に惚れ込みます。夜の糸満の雰囲気はどんな感じなのでしょうか、いつかここで飲みたいものです。
足立屋についてはこちらの記事も併せてどうぞ。『衝撃!千ベロ居酒屋「足立屋」のとんでもモーニング

風に乗って漂ってくるなんともいえない美味しそうな香りにつられて近づいてみると、スナックのような店舗にイカ汁屋の看板を発見。新鮮な魚介類が手に入るウミンチュのまち、糸満ならではの店ですね。

すぐ近くにあるスナックにも、ものすごく味のあるイカ汁のサインが。
糸満のスナックではイカ汁を食べるのがステイタスなのでしょうか。いつか調査してみなくては。
ちなみに後ろの看板の女性がメーテルっぽいのも気になります。女女(めめ)という店名も味わい深いです。
 

この姿が見られるのも今秋までかもしれない

というわけで糸満市中央市場の現在の姿をお届けしました。
市場内に営業している店舗はもう数少ないですが、お昼時になると美味しそうなお惣菜が並んでいたり、定期的に『ちむちむ市』という手作り市が開催されていたり、周辺にも面白そうな店が点在していました。

是非、糸満市中央市場が現在の姿をとどめている間にいちど訪れてみてはどうでしょうか。
古き良き漁師町、糸満の昔ながらの雰囲気に触れることが出来ますよ。

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