ウチナー焼きそばの傾向を考える

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沖縄の焼きそばは本土のそれとはひと味違う。ではどこがどのように違うのか。数店舗の焼きそばを食べ比べて、傾向を探り出してみた。

沖縄では、焼きそば=「炒めた沖縄そば」?

沖縄では「そば」といえばほぼ「沖縄そば」のことを指します。もちろん大衆食堂で「焼きそば」を注文して出てくるのも沖縄そばの麺を炒めたもの。一方、イベントなどで出店される屋台などでは一般的な中華麺の焼きそばが出てくることもあり、沖縄の焼きそば事情はなかなか複雑です。

さて、沖縄そばを炒めた「焼きそば」は純然たるウチナー料理なのに、一般的な焼きそばと名称が混在していたために、これまであまり光が当たっていなかったように思います。

そこで編集部では食堂を巡り歩いて「焼きそば」を注文し、沖縄における「焼きそば」とは一体どのような料理なのか、その傾向を探ってみたいと思います。

大衆食堂 ミッキー(沖縄市)

まずは沖縄市の老舗食堂である「大衆食堂ミッキ-」。

沖縄市のパークアベニューにあるのですが、外観からして奇妙な異国情緒が漂います。

結構メニューは豊富で、洋食と沖縄料理がごっちゃになった感じ。焼きそばは600円です。

焼きそば 600円
味付けは多分醤油で、入ってる具材はレタス、もやし、たまねぎ、にんじん、鶏肉。
ミッキーで特徴的なのは、焼きそばにホットソースが付いてくること。

炒めたレタスの食感が特徴的なのと、ゴロゴロとした鶏肉。ホットソースはそこまで辛くなくて、トマト感が結構する感じ。加えることでガラッと味が変わります。

ノーマルな焼きそばは(多分)醤油味ですが、ケチャップ味の「カープ道焼きそば」というメニューもあるようです。

大衆食堂ミッキー
沖縄県沖縄市中央3-1-6
11:00-22:00、日曜定休
TEL:098-939-9663

 

はつみ食堂(浦添市)

続いては浦添市の「はつみ食堂」。年季の入った食堂の文字がいい味だしてます。

昼には多くのお客さんで賑わっていますが、駐車場が割と狭いのでしょっちゅう車の移動が必要だったりします。

ザ・沖縄の大衆食堂的なメニュー。特徴的なのは焼きそばの味がソース、しょうゆ、ケチャップの3種類から選択できるところ。

焼きそば(しょうゆ) 600円
入ってる具材はキャベツ、たまねぎ、にんじん、ニラ。肉はコンビーフハッシュです。

肉がコンビーフハッシュなのにちょっとびっくりしますが、これがなかなか焼きそばに合うのです。今回はしょうゆでしたが、ソースとケチャップも試してみたいです。

はつみ食堂
沖縄県浦添市屋富祖2-1-1
11:00~18:00、日曜定休
TEL:098-876-3035

 

ハイウェイ食堂(那覇市)

こちらは那覇市のハイウェイ食堂。

ちょっとハイカラな響きでちょっと西洋風な内装ですが、メニューはがっつり大衆食堂。24時間営業です。

焼きそばは550円。食券機に「5円玉、1円玉は使えません」という注意書きがあるのですが、近くにある「いちぎん食堂」にも同様の注意書きがあります。なんとなく系列店な気がするのですが、どうなんでしょうか。

焼きそば 550円
入ってる具材はキャベツ、たまねぎ、にんじん、ニラ、もやし。肉は薄切りよりは厚い豚肉とポーク。

味付けはしょうゆ。入り口に「名護そば」と書かれているとおり、焼きそばの麺が名護市に多い平麺になっています。今回何店舗か焼きそばを食べましたが割と平麺の焼きそばは好みかもしれません。

ハイウェイ食堂
沖縄県那覇市前島2-3-6
24時間営業
098-863-2277

 

食堂花笠(那覇市)

お次は国際通り近く、ホテルJALシティの裏手あたりにひっそりと佇む『食堂花笠』。

看板を見ると2号店とあります。すぐ近くのパラダイス通り沿いにある年季の入った小さなお店が1号店。そして公設市場の近くには『花笠食堂』があり、いろいろと混乱してしまいますが、まあおそらくいろいろあるのでしょう。

テーブル席、カウンター席、座敷席があり、お昼時は近隣のサラリーマンや観光客で賑わいます。このときはお昼のピークを外したのですが、それでもぽつぽつとお客さんが入っていました。

焼きそば 650円
具材はキャベツ、たまねぎ、にんじん、ニラ、ツナ。
味付けはケチャップ味がメインですが、ウスターソースも混じっているかな?という印象。しっかりめの味付けです。

焼きそばについてくるサウザンアイランドドレッシングは付け合せの千切りキャベツ用。焼きそば用ではありません。

はじめはお肉的なものが見当たらず「あれ、野菜だけの焼きそばなのかな?」と箸でさぐってみたところ、わずかながらツナが入っていることに気が付きました。焼きそばにツナとは、ちょっと驚きです。

食堂花笠 2号店
沖縄県那覇市牧志1-3-14
10:30~20:00
098-867-3830
 

うみちか食堂(宜野湾市)

お次は宜野湾市のコンベンションセンターの近くにある『うみちか食堂』。

食堂は建物の一階部分で、青い大きな看板が目印です。

こちらも人気店とあって、お昼時にはお客さんでいっぱいになるほど。
座敷席もあるのがファミリーにとってありがたいですね。

きれいな写真入りのメニューが見やすく、種類もかなり豊富。ここの焼きそばは少し特徴的で、熱々の鉄板の上に焼きそばがのっており、生卵がトッピングされているのです。味付けも塩味、ソース味、ケチャップ味の三種類から選択可能。隣のイカスミ焼きそばも気になりますね。

焼きそば(ソース味) 650円
具材はキャベツ、たまねぎ、にんじん、もやし、ニラ、ベーコン、花かつお、生卵と具だくさん。

なんとこんどはベーコンです。今回はソース味を注文しましたが、ケチャップ味だったらナポリタン風な味わいになりそうです。そうなるとニラやもやしに違和感が生まれそうですが。

食べ終わっても鉄板の上にはソースがたっぷり。かなり味くーたーな焼きそばでした。鉄板なので最後まで熱々のまま食べられるかと思いきや、店内が冷房&扇風機ガンガンで寒いぐらいだったので、あっという間に冷めてしまいました。沖縄の食堂あるあるですね。

うみちか食堂
宜野湾市真志喜2-27-1
11:00~21:00
098-897-1117
 

フレッシュプラザ ユニオン

最後は食堂ではなく、スーパーから。「今、あいてます!ユニオンですから」でおなじみフレッシュプラザ ユニオン。

お弁当コーナーに「沖縄風チャップソース焼きそば」がありました。
お値段は100g当り79円。177g入っていたので139円。
チャップソースという名称に、何を以て「チャップ」とつけるのか謎が未だ解明できていないチャップステーキを思い出します。

原材料を見てみると、沖縄そばに野菜(キャベツ、たまねぎ、にんじん)、豚肉、ソース(トマトケチャップなど)を絡めて炒めた焼きそばです。
 

ハイウェイ食堂ほどではありませんが、通常の食堂の焼きそばよりも若干麺が平たくて太い感じ。原材料名に記載されていないポークやピーマンが入っているのはご愛嬌です。
ケチャップで炒めているので、味はナポリタンスパゲティのよう。
沖縄そばでも、ソース焼きそばでもない着地点ですが美味しいです。
 

沖縄における「焼きそば」とはなんなのか

さて、以上が今回食べてきた焼きそばです。ここからウチナー料理の焼きそばについて考えてみましょう。

まず一般的な焼きそばがソース味なのに対して、沖縄の焼きそばはしょうゆ味、しお味、ソース味、ケチャップ味と味付けのバリエーションが豊富なことがあげられます。

続いて注目したいのは肉。一般的な焼きそばは豚コマ的な豚肉の薄切りが使われている気がしますが、沖縄のそれはポークだったり、チキンだったりベーコンだったりツナ(!)だったりとかなり自由な肉使いです。沖縄では豚肉の薄切りは具材としてはマイナーなのではないかと思います。
焼きそばという既成概念にとらわれず「とりあえず厨房にある具材で作ってみました☆」というざっくばらんな雰囲気が、うちなー焼きそばの魅力のひとつだと感じます。

全体的には結構油でぬらぬらしているというのもあります。沖縄そばの麺は油がすでにまぶされているので、さらに油で炒めることによって結構な油の量になってるのではないかと思います。味付けのソース類も多め。

「焼きそば」という名称からあまり全貌がはっきりしなかった沖縄の焼きそばですが、なんとなくその姿が垣間見えた気がします。一般的な焼きそばとはかなり違いますが、不思議とまた食べたくなるうちなー焼きそば。まだ食べた事が無いという方はぜひ一度ご賞味あれ。

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