2019.03.11

やんばるにある、沖縄唯一?の沈下橋を訪ねて

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名護市大浦に沖縄唯一(おそらく)の沈下橋があるという。満潮時には沈んでしまうという、石造りの素朴な橋を見に行ってきた。

沈下橋を知ってるかい?

みなさんは、『沈下橋(ちんかばし、ちんかきょう)』という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
私は両親が沈下橋の多い四国出身ということもあって昔から馴染みのある言葉なのですが、もしかしたら初めて聞いたという方もいらっしゃるかもしれません。
沈下橋とは読んで字の如く水面に沈下する橋のこと。低水路・低水敷と呼ばれる普段水が流れているところだけに架橋され、また床板も河川敷・高水敷の土地と同じ程度の高さとなっていて、低水位の状態では橋として使えるものの増水時には水面下に沈んでしまう橋のことをいいます。また地方によって、潜水橋・潜没橋・潜流橋・沈み橋・潜り橋・冠水橋・地獄橋など、様々な名称で呼ばれているそうです。(Wikipediaより)

高知県内を流れている四国で最長の川にして”日本最後の清流”とも称される四万十川(しまんとがわ)にも多数の沈下橋があり、風光明媚な観光スポットとして全国で人気となっています。

さてそんな沈下橋ですが、あまり河川のイメージが無い沖縄本島にも実はやんばるに(おそらく)ひとつだけあったのです。
場所は名護市。大浦(おおうら)川の河口付近にあります。地図でいうとこのあたり。

1960年のチリ地震による津波で大浦川に掛かっていた橋が全壊し、すぐ近くの大浦集落にも家屋浸水や家畜が流されるなどの被害が出たことから、大浦湾にほど近い大浦川の河口に掛かる橋を増水時や台風時に水没する沈下橋にしたのだとか。
大浦集落の公民館前広場には、津波の被害を今日に伝える『津波襲来の碑』が建てられています。

そんなこんなで、いきなり沈下橋の写真を紹介してしまうと小ネタになってしまうちょっと味気ないので、この沈下橋にたどり着くまでの遊歩道、大浦マングローブロードも素敵だったので併せてご紹介したいと思います。

わんさか大浦パークから伸びる遊歩道

沈下橋を楽しむには、まず名護市大浦の国道329号線沿いに建つ赤瓦の建物、体験交流直売所『わんさか大浦パーク』を訪れましょう。売店で『水上遊歩道マングローブロード』の入場料(おとな(中学生以上)350円、こども200円、未就学児無料)を支払ったら、いよいよ冒険の始まりです。

わんさか大浦パークの敷地を出てすぐのところに遊歩道の入り口があります。

『水上遊歩道マングローブロード』は、マングローブ林内を巡る全長726mの水上遊歩道で、 耐腐食性・耐電性に優れたGRP素材を用いた橋梁としては、 2016年3月時点で世界一の長さなのだそうです。
遊歩道内にはトイレはないのでわんさか大浦パークで済ませておきましょう。

入り口脇の看板で ”沈下橋” の文字を発見。満潮時には水位が上がり、集落へ渡れなくなる可能性があるとのこと。沈下橋らしい注意書きにわくわくします。ちなみにこの日は長潮。満干の差が最も少ない時期です。そして満潮時刻まではあと3〜4時間ほどの上げ潮の時間帯。果たして水位はどのぐらいなのでしょうか。わくわくします。

川の上に作られたきれいな遊歩道をずんずん歩いていきます。段差も無く歩きやすい道なので、小さなお子様やご年配の方でも楽々歩けると思います(車椅子でも利用可能かどうかは未確認)。

砂地によーーーく目を凝らしてみると、小さなカニやハゼがちょこまかと動いている様子が観察できます。

遊歩道のところどころに遊歩道で見られる生き物の説明板が設置されているので、これを読みつつ生き物を探しつつ歩いていくと楽しいです。

入り口からしばらくは水上や浅い砂地の上を歩いてきましたが、だんだんマングローブ林に突入していきます。
カチッ、カチッという音が響きます。

上の写真、中央付近に見えているえんとつのようなものは、沖縄で ”とんとんみー” の愛称で知られているミナミトビハゼの巣だそうです。穴を掘りながら泥を積み上げていくので、えんとつのようなかたちになるんだとか。
マングローブ林やその周辺に生息する多様な沖縄の生き物が間近に観察でき、自然を身近に感じられる楽しい遊歩道です。

マングローブ林を抜けた遊歩道の終点に設置されている案内板に、沈下橋の説明を発見。

見事に沈下してる!!

いよいよこの先、沈下橋とのご対面です。
 

いよいよ沈下橋とご対面

遊歩道の終点から案内板の示す方向へ少し歩いていくと、すぐに見えてきました。

これが(おそらく)沖縄唯一の沈下橋です!

・・・まあ絵面はすごく地味なんですが、水位が上がったときに流れてきたものが引っかかることの無いよう、欄干が無い構造をしています。表面の溝のようになっている部分が、水の流れをスムーズにする役目があったりするのでしょうか。訪れたタイミングでは、水面は低めでした。

橋の下を水が流れるちょろちょろという音も心地よきかな。

干潮時の橋のたもとの砂地は下りられるようになっており、ミナミトビハゼの絶好の観察スポット。ぴょんぴょんと飛び跳ねるかわいらしい姿を間近に見ることができます。

そう、最初に示した地図からもおわかりだと思いますが、沈下橋はマングローブロードからわざわざ歩いて行かなくても、車で国道側からすぐにアクセスできる場所にあるのです。でも初めての方は是非、マングローブロードから歩いて沈下橋に出会うまでのわくわく感を楽しんでほしいと思います。
 

満潮時刻に戻ってみると

潮位が気になったので別の場所で遊びながら満潮時刻を待って、再び沈下橋に戻ってきました。

長潮の満潮時刻で水位はこのぐらい。橋が沈むまでには数十センチの余裕があり、残念ながらこの日は橋が沈んでいる様子は見られませんでした。でも橋の左右にあった浅瀬の陸地は完全に水没していました。
ほんのりと夕焼けに染まる沈下橋。沖縄なのに沖縄じゃないような、ちょっとノスタルジックな光景を見ることができました。いつの日にか、大潮の満潮時(早朝 or 夜なので厳しいけど...)を狙って再訪したいと思います。

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