組踊メイクはフルマラソンにも耐えられるのか

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2019年は組踊が初演されてから300周年。おめでたいので、組踊メイクとコスプレをして、おきなわマラソンを走ってみる!ということに挑戦してみた。はたして、42.195kmを走りきっても、あのメイクは落ちないのだろうか?

まずは作戦会議

今回の企画に果敢に挑戦するのは、私ではなく、県庁職員の大嶺さん。
仕事でも関わりのある「組踊300周年」をプライベートでもお祝いたいし、一度コスプレしておきなわマラソンに出場してみたい!という本人たっての希望です。

まずは、どんなコスプレにしようか?という会議を開くことからはじめました。


奥にいるメガネの男性が大嶺さんです

私も大嶺さんも組踊の素人なので、この道のプロ・実演家の仲嶺良盛さんがアドバイザーに。
『二童敵討(にどうてきうち)』に出てくる阿麻和利(あまわり)や、『執心鐘入(しゅうしんかねいり)』に出てくる鬼女とかはどうかなー?と案を出し合いました。どちらも有名な演目に出てくる主役級の人物です。

演目について詳しく知りたい方はこちら!
(執心鐘入:http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc19/sakuhin/syushin/
(二童敵討:http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc19/sakuhin/nidou/

登場人物の特徴を捉えながらも、走りやすいデザインのコスプレです。
が、大嶺さんは「きやうちやこ持ち」が良い!とのこと。

「きやうちやこ持ち」とは、身分が高い人の椅子を持つ係のこと。
「きやうちやこ」と書いて、「ちょうちゃく」と読みます。黒子(くろこ)的な役割なので、セリフもありません。
有名な演目では『二童敵討』に登場し、勝連城の按司(あじ)である阿麻和利の椅子をもってきたり片付けたりする、脇役中の脇役です。

身分の高い阿麻和利は恐れ多いし、男への執念が強すぎて鬼に変身してしまった鬼女は怖すぎる。
あと、メイクや衣装も派手で重厚なので大変そう。
また、大嶺さんは数年前まで秘書業務に携わっており、きやうちやこ持ちならぬかばん持ちをしていたとのこと。そんな過去の自分にもオーバーラップさせながら・・・
「きやうちやこ持ち」に決定しました!

組踊メイクを施す

おきなわマラソン当日の朝、6時。組踊メイクをするべく、某琉球舞踊の道場に集合です。
なんと、組踊の実演家として活躍中の上原崇弘さんにメイクをしていただきました。本格的です!


朝早くからすみません

まずは、舞台用の下地を顔全体に塗りたくります。こうすることで、ちょっとやそっとの汗ではメイクが崩れないとのこと。これなら、フルマラソンにも耐えてくれるかも?と期待大です。

つぎに、ライターで軽く炙ってとかした「練り」で眉毛をこすりつけます。自眉の存在を消せればOK。

その上から勇ましくつり上がった眉毛を書き、唇の形にそって紅をいれます。

青色と黒色のドーランを使って、髭を描いていきます。青色を下地に、黒色を重ねていくと、立体的な仕上がりに。
「本当はきやうちやこ持ちにひげはないけど、今回はあったほうが組踊っぽいですよね」と上原さん。


メイクと服装とのギャップよ

はい!完成です!
キリリと男前な、組踊の立方さながらのお顔になりました。

上原さん、まだ暗いうちから本当にありがとうございます!

いざ、出発!

出発前の大嶺さんの様子です。

被り物は、黒のつば付き帽子に赤い布を巻いています。首回りの日焼け対策にもなって、一石二鳥ですね。
そして脇役らしく、シンプルな黒Tシャツ・黒パンツ。被り物に合わせた赤いシューズがよく映えています。
靴下は、エイサーの衣装などでもおなじみの脚絆(けはん)をつけている風。白のビニールテープをペタペタ貼っています。

そして、きやうちやこ持ちをきやうちやこ持ちたらしめているのは、手に持っている「ミニきやうちゃこ」です。はい、ここでおさらい。きやうちゃことは椅子のことでしたね。みなさんちゃんとついてきてますか?

100円ショップで売っていたおもちゃの印籠らしきものをきやうちやこに見立てています。

いよいよスタートの号砲が鳴りましたが、さすがに42.195kmずっとつきっきりで走るわけにはいかないので、私は18kmあたりの屋慶名交差点近くのA&Wで応援することに。


大嶺さんメイク濃くなった?と思いきや宮古島まもる君

A&Wのお店の前ではオレンジジュースを配っていて大人気!ランナーの渋滞ができていました。


我も我もとオレンジジュース大人気

マラソンの応援がはじめての私は、見逃してしまっていないかそわそわしっぱなし。コスプレランナーが増えてきたなあ。大嶺さん大丈夫かなあ。と思っているところに、きやうちやこ持ち登場!

余裕の笑顔です!そして、メイクも全然落ちてない!

きやうちやこ片手にオレンジジュースを飲めて、嬉しそうに走り去っていきました。

実は、背面に組踊300周年を記念して「クミオドリ300」とビニールテープで書いていたのですが、剥がれてしまったようです。ミオ30……?

笑顔でゴール!

A&Wの前で大嶺さんを見送った後、私は自宅で速報を待つことに。
そわそわしながら一報を待っていると、14時40分頃に「ゴールしました!」という連絡がありました。


めちゃくちゃいい表情の自撮り写真を送ってくれた

すごい!全然メイクが落ちていません!そして余裕の表情です。
ビフォーアフターでご覧ください。

ビフォー
アフター

というわけで、組踊メイクはフルマラソンにも耐えられるということが証明されました。
塗りたくった舞台用下地が効いたのか、汗でメイクが流れたり、それが目に入って痛い思いをしたり、といったトラブルはなかったそうです。

「きやうちやこ持ちのコスプレでおきなわマラソンに参加したことで、少しでも組踊300周年を知ってくれる人が増えたら嬉しいですね」と達観した表情の大嶺さん。

普段はしないコスプレ姿に恥じらいがありながらも、走っているときに沿道から声援をもらえたことが嬉しかったそうです。

中には役柄で声をかけてくれた方もいたそうで、
「阿麻和利!」という声援は4回。
そのライバルである「護佐丸!」は1回。
アバウトな「お殿様!」は1回……etc.
阿麻和利(勝連城の按司)と護佐丸(中城城の按司)のお声がかかったのは、地域性がよく表れていますね。

しかし残念ながら正解である「きやうちやこ持ち!」の声援は聞こえなかったとのこと。
組踊300周年とともに、きやうちやこ持ちの知名度も向上してほしいところです。

こんなに落ちない組踊メイクの実力、もっともっと試してみたくなりました。
海で泳いでも取れないのかな。
というわけで次はトライアスロンなんていかがでしょうか!大嶺さーん!

協力:ウザシチラボ

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