2023.07.19

旧那覇のかけらを探して

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那覇港を起点とした那覇市東町、西町界隈。現在はひっそりとした雰囲気だが、戦前には那覇市役所が置かれ那覇市内で最も栄えた中心地だったらしい。旧那覇時代の繁栄のかけらを探しつつ市街地を歩いてみた。

戦前、那覇でいちばん賑やかだった東町西町エリア

那覇空港から、沖縄県庁や国際通りなどがある中心地へと向かう途中に位置する那覇港。
まだ船舶が主な人や物の移動手段であった戦前は、この那覇港を起点に現在の那覇市東町〜西町界隈が那覇市の中心地だったらしく、市役所をはじめ行政の重要な建物が多くこの地域に建てられていたそうです。

現在は人通りも車通りも少なくひっそりとした雰囲気ですが、かつての賑わいの名残のようなものはまだ見ることができるのでしょうか。
旧那覇市街地の繁栄のかけらを探しつつ、そぞろ歩いてみました。

那覇港にある那覇ふ頭先客待合所からスタート。
10年前(!)の特集記事「那覇ふ頭船客待合所には何があるのか」でもご紹介しています。建物の外壁や看板は修繕が行われて新しくなっていますが、建物内は以前と変わらない雰囲気でした。


がらーん

クーラーが効いたターミナルに泣く泣く別れを告げて、いざ出発。

まずは街路図をチェックしてみます。

現在位置は左端にある那覇港ふ頭ターミナル。ここから北東方向に向かって伸びる国道390号線〜県道43号線(上之蔵大通り)がかつての大通りだったそうです。ちなみに、旭橋交差点から那覇港へと向かう国道390号は、旭橋交差点を起点に宮古島を経て石垣島に終点があるという、2ヶ所の海上区間を持つ珍しい国道です。

那覇港ふ頭ターミナルから望む県道43号線。現在では交通量の多くないエリアですが、かなり道幅が広くとられていることが分かります。

近くにはセメントを取り扱う金城キク商会や沖縄製粉などの大きな工場が見えます。

かつてこの場所にあり、2013年に惜しまれつつ閉店したてびちが有名な嶺吉食堂跡地。再開発の計画地になったということでしたが、あれから10年経過した現在も更地のままでした。

街路図にのみ残る「嶺吉食堂」の店名。他にもいくつかの飲食店が軒を連ねていたんですね。

もう営業はしていないようでしたが、元スナックでしょうか。同区画にひとつだけぽつんと建物が残されていました。

那覇港すぐ近くの建物脇には、ひっそりとフェンスで守られた拝所が。何の拝所かは分かりませんでしたが、きれいに掃き清められており大切にされていることが伝わります。

県道390号の標識。同じものが石垣と宮古でも見られるなんて、なんだか不思議ですよね。

大通り沿いには、年代を感じさせる堅牢なコンクリート造りの建物がいくつか残されています。

老舗ホテルナハ港。この「ナハ港」という字体と淡いブルーの外壁タイルが個人的にすごく好きです。

淡いグリーンの平屋の建物は埠頭倉庫。国道390号線の西町側には現在も大きな倉庫街が残されています。

名護市許田に本社を置くヘリオス酒造の那覇支店があったのでしょうか。代表銘柄の樽熟成泡盛「くら」などが描かれた壁画が残されていました。企業ロゴも現在とは違っており味わい深いです。

このあたりで国道390号線から直進して県道43号線へと移ります。

2016年の特集記事で紹介した那覇ショッピングセンターがあった場所は、いつの間にか建物が取り壊され更地になっていました。

バス停名はそのままでしたが、そのうち変更されるのでしょうか。

史跡・旧跡めぐりは那覇市歴博のウェブマップを手がかりに

ここまであてどもなく歩いてみましたが、旧那覇の史跡・旧跡を探すなら那覇市歴史博物館ウェブサイトの那覇市内史跡・旧跡案内がとても参考になります。マップを見つつ、近くの史跡をいくつか巡ってみることにします。

まずはこちらの那覇市医師会館。

かなり広い敷地なのですが、琉球王国時代に中国が派遣した冊封使(さっぷうし)のための宿舎、天使館があった場所だそうです。
沖縄県設置後の1896年(明治29)には、那覇区役所(後の市役所)としても機能したそう。

那覇市医師会館のすぐ近く、現在専門学校が建つ場所は親見世(おやみせ)跡と呼ばれた、琉球王国時代の那覇の役所跡。
その後は那覇警察署や山形屋(やまがたや)百貨店へと変遷していったそうです。

こちらは「沖縄の父」と呼ばれる民俗学者、伊波 普猷(いは ふゆう)生家跡地。

そして現在の琉球光和ビルが建つ場所は、薩摩藩在番奉行所跡。

史跡・旧跡の場所には案内板が建てられているので、これを読みつつ歩いてみるのもおすすめです。
 

なにもないようで、なにかが見つかる街歩き

かつて重要な行政機能が集中していた場所だけに戦争で破壊し尽くされて焼け野原になり、現在まで残る旧那覇の賑わいの名残のようなものは見つかりませんでしたが、史跡・旧跡マップを見ながら歩くとかつての町並みがおぼろげに浮かび上がってくる気がしました。


素朴なエルメス


謎のメーターシステム


居酒屋なのにファンシーな雰囲気


カクテルグラス風のロゴが秀逸


ナウい壁画

なにもないようで、なにかが見つかる街歩き。
また気になるエリアを見つけたらふらりと歩いてみようと思います。真夏以外に。

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