沖縄の締めステーキ問題について考える

「沖縄県民は飲み会の締めにステーキを食べる」という「沖縄あるある」は本当なのか。Xでアンケートをとったのでそれを元に、沖縄締めステーキ問題を検証したい。

「沖縄県民は飲み会の締めにステーキを食べる」という「沖縄あるある」。


沖縄県民の常識?“締めのステーキ” を初めてやってみる

我々DEEokinawaではXでアンケートをとりつつ、実際にデイリーポータルZで締めのステーキを体験した記事を書きました(沖縄県民の常識?“締めのステーキ” を初めてやってみる)。

記事では「沖縄県民締めステーキ問題」の真偽はさておき試してみよう的な流れだったのですが、Xで多くの方からコメントも頂き結構面白いな、と思ったので記事としてまとめておきたいと思います(アンケートに回答頂いた皆様ありがとうございます)。

 

沖縄県民は飲み会の締めにステーキを食べるのか

まずはXで実施したアンケートの結果について。アンケートでは1335人の方に回答を頂いて、県民では締めのステーキを食べた事が「ある」20.4%、「ない」50.9%となりました。

フォロワーの偏りもあると思うので、額面通りに受け取れませんが食べた事が無い人が多数。
ただ、個人的には締めのステーキ文化って全然なじみがないので20.4%の人が締めのステーキを食べた事がある、というのは結構多いなと思いました。無視できない数字だと思います。

 

締めステーキは幻なのか

続いて気になるコメントをピックアップしていきます。

某テレビ番組で知りました。
40代 メディアが作り出した文化じゃないっすか?
飲みの締めにステーキ食べに行くの沖縄県民の常識みたいにTVのバラエティでやっててびっくりした記憶があります 周りにそんな人いなかったし…
地域とか世代とか限定な気がしてます。元那覇市民
締めのステーキはごく一部の人。多県民の友人もケンミンショーの情報には困ってました。
これってケンミンショーが作り出した文化ですよね。
50代ですが。本土に就職して、テレビ番組で「締めステーキ」を初めて聞きました。帰省した際、妹に「最近は締めにステーキ食べるの?」と聞いたら、那覇ではあるみたい。との回答でした。中部では無いかも

はい。まずは「秘密のケンミンSHOW」についてです。検索してみると放送は2016年10月13日で、そのあたりから締めのステーキが全国的に広く知られる事となったのではないでしょうか。

ちょうどケンミンSHOWについては作家の仲村清司さんが言及した記事が公開されています(「沖縄県民は飲み会のシメにステーキを食べる」という真っ赤な噓はナゼ生まれたのか?《都市伝説を作った“ヤラセ満載のテレビ番組”》)。

出所は知っている。日本各地の居酒屋をめぐる旅の本の沖縄編で、ステーキハウスを案内した人の会話が掲載されている。

ただし、「沖縄では締めはステーキですよ」などとは書かれていない。「沖縄に来たからにはステーキも食べないと」という意味で誘っただけなのだ。その会話文がどう読み違えて広まったのか、いつのまにか、沖縄では締めはステーキという都市伝説が根づいてしまった。実のところ、僕はその本に登場したステーキを食べようと誘った人の友人なので、この件の真実についてはよ~く知っていたのだ。

なので、担当者には、

「それは作り話ですからコメントできません。そんな番組が放送されたら沖縄の人たちの酒癖の嘘がまかり通るので、番組制作も再検討してください」

そうはっきり述べたが、結局はヤラセ満載の内容で放送されてしまった。

記事のタイトルもすごいですが、ケンミンSHOWが締めのステーキを扱った経緯みたいなものが書かれています。もともとは「沖縄に来たらステーキも」みたいな話が「締めにステーキを食べる」みたいな話に置き換えられちゃったみたいな事ですね。ケンミンSHOWぇ…。

ただ、気になる点もあります。以下のコメントをご覧下さい。

「やっぱりステーキ」の創作実話だと思うんですよね。

県外・海外にも進出する沖縄ステーキ界の雄、「やっぱりステーキ」ですが店名の由来は『締めはやっぱりステーキ』から来ているそうです。

その“締めのステーキ”をコンセプトにし、2015年に開業したのが、やっぱりステーキだ。義元大蔵代表は「酒を飲んだ帰りに多くの県民が口にする『締めはやっぱりステーキ』を店名に取った」と話す。

県民の定番「締めのステーキ」とは? 人気を呼ぶ千円ステーキ 「やっぱりステーキ」県外進出

沖縄には以前からお酒を飲んだ後、シメにステーキを食べるというローカルな習慣がありました。

好調「やっぱりステーキ」を生んだ義元社長の脱・固定概念の発想力

やっぱりステーキの1号店ができたのは2015年。その際に「シメにステーキを食べるというローカルな習慣」を元にしているとすれば、ケンミンSHOW以前から「締めのステーキ」という概念は存在したという事になるのではないでしょうか。

 

締めのステーキは那覇だけ?

次に締めのステーキを食べた事があるという人のコメントから

沖縄移住8年目の島ナイチャーです。
職場の50代以上のしーじゃー方の話によると、那覇は締めステーキ文化だったようですが、コザはそうではなかったとのこと。
締めではなく、普通に夕食としてステーキを食べる頻度は東京より格段に高いですが、お手頃価格なのが嬉しいです
自分は食べたことはないですが、今よりずっと夜更かしだった25年−30年前に、先輩が内地からの商売上のお客さんを〆のステーキに連れて行った話を聞いたことがありました。那覇あたり、あるいは接待としては、〆のステーキは存在したような気がします。
50代県外民
沖縄出張時は上司に連れられ毎回ステーキで〆でした
何故ステーキ?と尋ねると上司達が若かった頃(1972年の本土復帰)ステーキが安く沖縄出張の楽しみだった思い出の味だとか
A1ソース掛けるんだ!…嬉々とした上司の顔を思い出します。今や(オジさんになった)私にとっても思い出の味です。

このあたりのコメントからやはり結構前から「締めのステーキ」はあったようです。というわけで完全にケンミンSHOWのねつ造というわけではなさそう。

1971年発行の「NAHA PLAY MAP」(おきなわプレイマップ社)という昔のガイドブック的なやつにも(締めかは分かりませんが)深夜営業のステーキ店が掲載されています。

県外からのお客さんにステーキ、という話も出てきていますが復帰前の沖縄は関税の関係でステーキ肉は安く手に入ったらしいです。今でも沖縄は割とカジュアルにステーキを食べますよね。


かつてあったハイウェイ食堂

沖縄というより那覇だと思いますよー!
夜中にステーキが食べられるのって、那覇とかの一部だしなあ。
40代前半で元コザ市民ですが食べなかったです。宜野湾の大学周りで飲んでた時も同様です。
あれ那覇だけなんじゃないかなぁって思っています

そして、先にも出てきましたが締めステーキの文化は那覇限定というコメントも結構ありました。確かにステーキ店の多さ、立地から考えるとなかなか那覇でないと成立しなそうな風習だと思います。

 

結局はどういうことなのか

というわけで、XでもDPZの記事でもざっくりまとめたのですが、総合すると

・もともと締めにステーキを食べる風習があった
・ただ、那覇限定の風習だった
・それをケンミンSHOWが全県的な沖縄あるあるみたいに放送しちゃった

みたいな事なのだと思われます。ただ、実際に放送を見たわけではないのでどのような紹介のされ方をされていたのかは気になるところです。ちなみに他でも触れられていますが、沖縄のステーキ店が深夜営業なのはもともと米兵向けにステーキを提供していたことが理由だそう。

他、興味深かったコメントにも触れておきます。

今年51歳です
これは諸説、地域差あります

身近な店に
山羊汁、ステーキ
沖縄そば、タコライス
が有る無しで変わる

メンバーが
仲間なら→そば屋
先輩方なら→山羊汁
中部の方なら→タコライス
社長なら→絶対ステーキ!ステーキ!

締めはステーキだけでなく、山羊汁、沖縄そば、タコライスもあり。

深夜だと物理的にラーメン屋開いてるとこないし、炭水化物じゃないからステーキはちょうど良い。那覇民。

個人的には締めはラーメンだと思っていたんですが、なるほど。炭水化物じゃないというのもメリットなんですね。

飲んで辻のお風呂屋さんに行った帰りに、石鹸の香りを消すためにステーキ食べて帰る話は聞いたことがあります。
〆られる前の消臭対策とかですかねー

臭い消し!そんな効果が…!

アラ50です
私個人としては無しですが、連れや先輩に連れられて何度か食べたことありますね
本島ではなく、宮古島?発祥だと聞いたような‥

宮古島発祥!情報を調べてみましたが、発祥という情報は確認が取れず。ただ、宮古島にも締めのステーキ文化があるらしいです。

飲んだ後にそばを食べる事はある。ステーキはないけど、、どん亭に行って牛丼食べる人は割といる(那覇市)

どん亭!僕も若い頃は締めにどん亭行ってました。深夜のどん亭にはなんか独特な雰囲気が漂っていたのが懐かしいです。

 

というわけで沖縄の締めステーキ問題について皆さんから頂いたアンケートを中心にお届けしました。締めのステーキは沖縄あるあるとしてはちょっと大きく言い過ぎ感はありますが、内地と比べて割とカジュアルにステーキを食べているのは「沖縄あるある」なんじゃないかと思います。アンケートは締め切りしましたけど、他に沖縄の締めステーキ問題について知見をお持ちの方はぜひコメントを頂けますと幸いです。

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