アフリカマイマイは美味しく食べられるのか

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沖縄で梅雨の時期によく見る世界最大級のカタツムリ「アフリカマイマイ」。もともとは食用に持ち込まれたということで、ひょっとしたらうまいんじゃないだろうか。
ご注意事項

・アフリカマイマイには寄生虫がいて大変危険です。触ったりしたあとは必ず手を洗いましょう。
・上記の理由から食べる事はオススメできません。
・今回の記事はややグロイので虫の嫌いな方はそっと閉じてください。

梅雨明けして間もない沖縄、皆様如何お過ごしでしょうか。梅雨明けしたとはいえ、雨が降ったり、ジメジメしたりでなんだか今年の梅雨明けはなんか変な感じですよね。

まぁそんな挨拶はさておいて、今日はアフリカマイマイの話なんです。アフリカマイマイはかいつまんで説明すると「すんげぇデカいカタツムリ」なんですが、DEEokinawaの読者諸賢の中にはカタツムリとか昆虫とかが苦手な方もいらっしゃると思います。上の写真で「ちょっと…無理!」という方は今日は可愛い猫ちゃんなどを見てお帰りになられることをお薦めいたします。

 

…さて、皆様準備はよろしいでしょうか?


こいつです

アフリカマイマイの話です。アフリカマイマイは世界最大級のカタツムリであり沖縄には1930年代に食用として持ち込まれたものらしいです。現在は植物防疫法により有害動物指定を受けており、世界の侵略的外来種ワースト100にも選定されています。

資料によれば「移入後の10年頃(1944)までは飼育下にあって山野に逃逸し帰化している状況はみられなかった。沖縄戦を境に逃げ出したアフリカマイマイはわずか5~6年の間に爆発的増殖をなした。特に沖縄中南部では敗戦後の食糧難時代と重なりタンパク質源として大量に食用にした。」(『沖縄の帰化動物 海をこえてきた生きものたち』(嵩原 建二、沖縄出版、1997年))とあり、缶詰や乾燥粉末(ふりかけ)にして食材にする試みもあったが、安定した原料の供給が難しく企業化には至らなかった経緯がある」(同前)ということも書かれています。

食用として持ち込まれたが、沖縄戦を境に逃げ出したものが爆発的に増殖、結局害虫になってしまったという経緯があるようです。前にジャンボタニシを食べたことがありましたけど、それとほぼ同じ経緯ですね。

しかし、もともと食用として持ち込まれたものならば美味しく頂く事も可能なのではないでしょうか?というわけで本日は「アフリカマイマイを美味しく食べられるのか」について検証してみようと思います。


これはジャンボタニシ食べたとき。

ちなみに今回も沖縄市郷土博物館の川副さんにご協力頂きました。こういう企画では毎度毎度お世話になってます。

 

アフリカマイマイを下ごしらえ

さて、今回調理するアフリカマイマイがこちら。川副さんが公園などで集めてきたもので、大小合わせ30-40はいるんじゃないでしょうか。


今回食べるアフリカマイマイたち

これらを調理していく訳なんですが、残念ながら調理法について書かれた資料が見つかりませんでした。何かを料理したいという場合、現代ではクックパッドに大体載ってるものなんですが、当然アフリカマイマイのレシピは見つからず。


グロイ

とりあえず、前回のジャンボタニシと同様に酒で煮て調理をしようという事になりました。

アフリカマイマイを
ひたすら洗う

まずはアフリカマイマイを水できれいに洗います。冒頭でも注意書きを書いたんですが、アフリカマイマイは広東住血線虫という寄生虫が居る場合があり人間が感染すると場合によっては死に至ることもあるそうです。基本的には広東住血線虫は死体からしか出てこないらしいので、生きているうちは素手で触っても大丈夫そうですが、とにかく粘液がすごいので手袋を着用しています。


なんか元気になってきた

水洗いはできたんですが、洗っても洗ってもものすごいぬめりがとれませんでした。一時期カタツムリの粘液成分を使ったフェイスパックなどがありましたけど、このぬめりはお肌にいいんでしょうか?…試したくはないですけど。


まだ生きてます

ぬめりはどうにもできなかったので、そのまま鍋に入れ…

日本酒
赤ワイン

ひとつの鍋は日本酒、もう一つの鍋は赤ワインで約一時間煮込みます。完全に火を通せば寄生虫も死滅するはずなのでじっくりコトコト煮込んでいきます。

 

一時間後


日本酒一時間後。

なんかすげぇことになった。

なんでしょうか。鍋の中が一大事です。なんか煮汁の粘度が半端ないのと、ちょっとした肉片的なものが浮いてます。怖い。

コンロにちょっと汁が吹きこぼれちゃったんですが、写真のようにものすごいヌルヌルしてます。

殻から
身を取り出す

このままどん引きしてても始まらないので、煮上がったアフリカマイマイを殻から取り外して、内臓を取っていきます。内臓も頑張れば食べられるのかもしれませんがなんか勇気が無かったんです。すみません。

内臓を取り除くシーンの写真も沢山あったんですが、すさまじいことになってたので割愛させていただきます。往年のシューティングゲームである「R-type」みたいになってました。

そして、取り出した身が上の写真です。だんだん食べ物らしくなってきました。

しかし取り出した身もまだかなりヌメっていたので、一旦塩もみしてぬめりを取り去ります。

ようやく貝っぽくなってきました。下ごしらえで二段落も使ってしまいましたが、次の段落から調理がはじまります。

 

アフリカマイマイを調理してみる

40匹くらいのアフリカマイマイを下ごしらえしたので、かなりの量の身が取れました。色々な調理法を試してみることにします。

ガーリックバターを詰めて
トースターで焼く

まずは前にジャンボタニシでもやったガーリックバターを詰めて焼くという「アフリカマイマイのブルゴーニュ風」。wikipediaの「アフリカマイマイ」の項目には「フランスでは絶滅寸前のエスカルゴ・ド・ブルゴーニュの代用品として本種を用いている。なお安物のエスカルゴの缶詰の中身は、本種であることが多い。」との記載もあり、きっとエスカルゴみたいな食べ方はうまいに違いありません。

 

フードプロセッサーでミンチにして
フライパンで炒める

続いて、冒頭の引用にあった「乾燥粉末(ふりかけ)」にしたこともあったということでふりかけを作りたかったんですが、完全に乾燥させられなそうなのでフードプロセッサーで細かくしたアフリカマイマイをめんつゆでいためた「肉そぼろ」を作りました。

 

こちらはシンプルにキュウリと酢を合わせた「アフリカマイマイの酢の物」

余った日本酒で「アフリカマイマイの酒蒸し風」

最終的に出来上がったのがこちら。

左上から「アフリカマイマイの酢の物」「アフリカマイマイのブルゴーニュ風(ジャンボタニシも混じってます)」「アフリカマイマイの酒蒸し風」、下の段は「ジャンボタニシの和風炒め」「アフリカマイマイのガーリックバター炒め」、アフリカマイマイの肉そぼろを使った「アフリカマイマイ丼」です。

 

アフリカマイマイは美味しく調理できたのか

さて、いよいよ実食です。最初アフリカマイマイを洗っていたときはホントに食べられるのか色々疑問はあったんですが、ここまで来ればもう貝料理みたいなもんだと思います(と、自分を鼓舞します)。

実際に食べてみましょう。

……。

……あ。

これ。普通にうまいわ。

過去にジャンボタニシ、オキナワウスカワマイマイなど食べてきましたけど、アフリカマイマイもクセや泥臭さもなく普通に貝の味です。ただ、食べ応えはあるんですけど貝の風味としてはジャンボタニシの方が濃厚な気がしました。

若干気になるのはぬめり。充分にとったはずなのにまだ口の中がぬめります。めかぶみたいなもので、このぬめりもアフリカマイマイの醍醐味なのかもしれませんが、これが無い方がより美味しく頂けた気がします。

あとは口触りに若干ざらっとしたものを感じるのですがこれはカタツムリの歯である歯舌(しぜつ)のようです。大きなカタツムリだと下ごしらえで歯舌を何とかした方がいいのかもしれません。

「普通にいける。」
「なんか普通すぎて腹が立つ」

今回の企画に協力頂いた皆さんも割と普通に食べてました。


作った料理は全部おいしく頂きました

というわけで本日はアフリカマイマイを食べてみるというお話でしたが、皆さんいかがでしたでしょうか。割とおいしく食べられるという結果になりました。貝類に目がないという貝好きの皆様は是非お試し下さい。ただし衛生管理の上、自己責任でお願いします。

しかしながらアフリカマイマイは沖縄県下ではそこら中にいますし、ちゃんと下ごしらえして沖縄名物として売り出せば材料費を安く抑えたカタツムリ料理専門の食堂などが作れたりするんじゃないでしょうか?

……食堂の名前は「食堂かたつむり」とかどうですかね。

 

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