沖縄の風呂屋はどこに消えたのか vol.2

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かつて興隆を極めた沖縄のゆーふるやー(銭湯)は現在どうなっているのだろうか。昭和48年の電話帳と読者の方から頂いた情報を元に跡地を訪ねてみた。

風呂屋のリストから今どうなってるかを探す試み

最盛期には301件のゆーふるやー(銭湯)があったといわれる沖縄。しかし、銭湯は徐々に姿を消していき2017年で現存する銭湯は沖縄市中乃湯ただ1店になりました。


中乃湯(沖縄市)

では、消えていった銭湯は2017年現在、どうなっているのでしょうか。


クリックするとでかくなります。

昭和48年の電話帳のリストを軸に調査を進めます。第1回はこちらからご覧下さい。

 

調査の進捗と新たな情報

ありがたいことに、第一回目の記事の公開で沖縄の銭湯について数多くの情報を頂きました。みなさんありがとうございます!

さて、調査の進捗ですが前回沖縄の銭湯を地図にプロットしていきましたが、そちらに結果を乗せています(パソコンじゃないと見にくいかも)。赤い×は痕跡なし、カメラマークは何らかの痕跡があった場所、家マークは建物が現存しているものです。

さらに読者の方から頂いた「ここにも銭湯があった」という情報もあらたに地図にプロットしました。青いピンはまだ現状どうなっているのか未調査です。

そして、一点。電話帳リストに載っている風呂屋で「山田温泉合資」というものがありますがこの温泉については以下のような記載がありました

「この温泉は二十七万弗の資金を投じて海岸を三六四平方米埋立てして昭和四一年一二月完成した。ホテル、レストラン、大衆浴場三つからなっている…(中略)…この温泉は戦前上原氏が経営していたが、戦争で破壊されたのを戦後資本を投じて近代施設をなし、レジャーを楽しむ人々の憩いの場所にしている」(「沖縄事始め物語」 1971 山城 善三 旭広研)

で、この温泉がどうなっているかと言えば現在はリゾートホテルのルネサンスリゾートオキナワの中にあるようです。ルネッサンス リゾート オキナワの開業は1988年なので直接ではありませんが、リストの中では形を変えて現存している唯一の風呂屋であると言えるかもしれません。

 

新たに発見した銭湯の痕跡たち

それでは今回までの調査で新たに見つかった風呂屋の痕跡をご紹介したいと思います。

いずみ湯(那覇市安謝)

前回更地になっているのではと報告した那覇市安謝のいずみ湯ですが、銭湯を経営していた方のお孫さんという方からご連絡を頂きました(福里さんありがとうございます!)。

場所がずれていて前回は気づかなかったけど隣の建物に痕跡がありました。

廃業は1986年頃だそうで、現在は1階は駐車場になっています。ぱっと見分かりませんが、よく見て見ると

奥の方の壁にはタイル、鏡、水道の跡などが残っています。

床にもリノリウムの跡だったりが残っていて、うっすらと間取りが見えるような気がします。これは素敵な銭湯跡!そしてたまたま近くに84歳のおばあさんが座ってまして、話をうかがったところ

「30歳くらいの時に、いずみ湯には入ったことがあるけど、自分はもっぱら安謝湯派だった。安謝湯は今はカマボコ屋になっている。あと1件安謝には銭湯があったが、そこはあまりよくなかった。すぐに潰れて漬けもの屋になったが、そこも今はない」との話でした。

近場の安謝湯も痕跡がありそうなので探してみます。

 

双葉湯(うるま市石川)

こちらはうるま市石川の双葉湯。現在は駐車場になっているようですが

奥の方の壁にタイル跡がありました。「湯」「水」の文字も見えます。

文字は黒字のものと、カラーのものが混在。これを見つけたときはちょっと声がでるくらい嬉しかったです。

近隣の方に話をうかがったところ、石川には銭湯が4つはあったそうです。過去の新聞記事を検索してみると2001年に石川の「いずみ湯」が廃業という記事が載っています。

 

大福湯(嘉手納町)

続いては嘉手納町の大福湯。あまり詳しく話は聞けませんでしたが、写真の建物が現存している銭湯跡のようです。建物には「1号店」と書かれており、銭湯廃業後に何らかの商売が始まって、また潰れた感じなんじゃないかと思われます。

 

続いては読者の方に情報を提供頂いた銭湯です。

 

いちば湯(那覇市松尾)

那覇市の公設市場近く、にぎわい広場にある保育園ですが、建物が銭湯の建物そのままを使っているという情報を頂きました。昔の住宅地図で調べてみると名前は「いちば湯」という名前だったようです。

銭湯だと言われたら、なんとなくそうかも…?という建物。中を確認してみたかったのですが、園児がいる時間は難しそうなので折りをみて中を見せてもらえるようにお願いしてみようと思います。

 

松の湯(那覇市前島)

こちらも複数の方から情報を頂けました。那覇市前島にある松の湯。壁にしっかりと「松の湯」という文字と温泉マークが書かれています。

建物の裏側から。現在は近くにある小森産業さんという会社の倉庫として使われています。小森産業に実際に言って、お話をお伺いしたのですが小森産業が那覇市前島にやってきたのが40年前。その時には倉庫として使っていたので、中には銭湯のものは無いとのお話でした。

 

わかまつ湯(那覇市若狭)

最後にこれは痕跡ではないのですが、読者の方から頂いた情報の調査結果です。沖縄が誇るボクサー具志堅用高は銭湯で住み込みのバイトをしながら、トレーニングをしたという話がありますがそれが那覇市若狭にあるわかまつ湯。地図で場所を特定して行ってみましたが、現在は宅地になっているようです。

ただ、このあたりの通りは「ボクシング通り」と名付けられていて(具志堅用高が所属していた上原ジムも近くにあった)若干の痕跡があるといえばあるのかもしれません。

 

引き続き風呂屋跡の調査をしていきます

というわけで、風呂屋はどこに消えたのか2回目の報告でした。まだ調査していない箇所もありますが、基本的にはだいたいの風呂屋はすでに痕跡がない状態のようです(まぁ何年も経ってるので残ってるほうがレアケースかと)。その中でいくつか現存している建物にはぜひ入ってみたいところなんですが、急に跡地を見せてみたいなお願いがハードル高めなので未調査の場所を確認しつつ、おいおい進めて行こうと思います。

そしてDEEokinawaでは引き続き、銭湯に関する情報を募集しております。銭湯に関する情報をお持ちのかた(ここにあった、とか親戚が経営していたとか)はぜひとも編集部にご一報くださいませ。よろしくお願いします!

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