2019.08.21

【実録】ヤシガニ逃走中 〜家のどこかにヤシガニがいる恐怖〜

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陸上で生活する節足動物全体の中で最大の生物ヤシガニ。大きさもさながら、ハサミに指を挟まれたらちぎれてしまうぐらいの力の持ち主。そんなヤシガニが我が家で逃げたのです

インド洋と西太平洋に生息しており、日本では主に宮古・八重山諸島に生息しているヤシガニ。一時期、沖縄本島のヤシガニは絶滅したとも言われていましたが、近年では生息が確認されています。
食用にもされていますが、レッドデータブック絶滅危惧II類に分類されている貴重な生物です。宮古島や多良間島では捕獲する地域と期間を定めるなどの保護活動もされているとか。

そして最大の特徴が甲殻類最強とも称される圧倒的な力!
DEEokinawaでは以前【ドリームマッチ】ヤシガニvsいちゃがりがりという記事でヤシガニがいちゃがりがりを瞬殺で切るようすをお伝えしました。


この後、あっさりいちゃがりがりが輪切りになるよ

研究結果では海外で見つかった最大クラスの体重4キロの個体の挟む力を計算すると、ライオンの噛む力に匹敵するとか。

さて、そんなヤシガニがなぜか我が家に。


夫と息子が夜に出かけたら、車道にいて思わず助けたらしい

希少生物なので食べることはしません。次の日には森に放しにいくつもりです。
たった一晩の保護なので、特別なカゴなどは用意せずに高さがあるバケツに入れました。上までは登れないだろうけど、念のために重量のある蓋で塞いでおきました。

ヤシガニ逃走 ROUND1

そして朝がやってきました。
昨晩、ヤシガニに「おやすみ」と声をかけてから寝た息子は、朝になってすぐにヤシガニのようすを見に行きました。

数分後、寝室に帰ってきて言うのです。
「ヤシガニいなくなってるー!」と。

うそでしょ?半信半疑でヤシガニを見に行くと。


あかん。逃げてるわ

もう一度、ヤシガニについてのおさらいですが

ヤシガニは

・沖縄本島にはほとんどいない
・はさみの挟む力はライオンの噛む力に匹敵する

沖縄本島にほとんどいないはずのヤシガニが我が家のどこかにいる。
しかも家には息子のほかにまだあまり言葉が理解できない1歳の娘もいるのです。

ざっくりですが、我が家の間取図です。
玄関の青い丸がヤシガニをいれていたバケツの場所。


ヤシガニが逃げたことで、平和だった我が家が一気に無法地帯に

玄関に猫のトイレを置いているため、ほぼ家中の扉を開けた状態でした。
締め切っていたのは寝室とトイレのみで、ヤシガニはどこでも行きたい放題。
息子はヤシガニに近づいたり触ったりするのは危険なのがわかっているようですが、娘が見つけたら触ってしまうかもしれない!恐ろしい血まみれの光景が脳裏をよぎります。

ただキッチンとリビングの間にはベビーゲートがあるので、そこを突破していなければとりあえずリビングから先の安心と安全は確保できます。急いでリビングにあるおもちゃ箱の裏をのぞいたり、椅子と壁の隙間を確認したりしていると、夫が言うのです。

「そんなにビクビクしなくても絶対玄関か物置でしょ」

カッチーン!
いや待って、わたしだって99%は玄関あたりだと思ってるけど、絶対いない保証なんかあるの?はさまれたら指ちぎれるで!家の中にライオンおるのと同じやで!欲しいのは絶対的な安心なだけ!

...ヤシガニが原因で夫婦喧嘩です。落ち着いてから編集部のmycoさんにこんな喧嘩をしてしまったと言うと
「夫婦喧嘩の原因、第62871位ぐらいやろな。ヤシガニ。」と言われました。ははは

いや、でもまだこの時点では笑い事ではないのです。

ザッと家中を探しましたが見つかりません。
この日は週末。「ヤシガニ一緒に探す!」と物置を漁る息子、「わたしもそっち行きたい!」と泣き叫ぶ娘を絶対安全な寝室におとなしく閉じ込めるには寝かせるしか方法がありません。
逃げているヤシガニのことは気になりますが、いったん外に出て遊び体力を削ってお昼寝させる作戦に。


ヤシガニをおびき寄せるために餌をしかけた。ちなみにヤシガニは雑食なのでなんでも食べる


お昼寝作戦に成功して、物置の捜索

数時間後、子供たちがお昼寝にはいったところで、本格的に物置の捜索開始。棚にあったものを出したり、普段使わない箱を避けたり、年末以上に大掃除の様相です。


いた!

一番奥の奥に潜んでいたようです。
捕獲成功!

捕まったのを見てしみじみ思いました。
家のどこかにヤシガニが潜んでいる状況は想像以上のストレスで、ヤシガニが潜んでいない家は、それだけで快適すぎる!と。

・隙間があれば逃げられる

昨夜の逃走で隙間を作ってはいけないことがわかったので、今度は金網をバケツに縛り付けました。
夫が十字に縛った紐を、念のためあと3回ほど巻きました。

念には念を入れてビールの6缶パックを置いておきました。
夫にはやりすぎだろと笑われました。

ちなみにこの日は夕方から用事があったのでヤシガニを森へ返しに行けませんでした。
ごめんな。明日は森に帰すからな。

 

ヤシガニ逃走 ROUND2

そして朝がやってきました。
昨日に引き続き、ヤシガニに「おやすみ」と声をかけてから寝た息子は、朝になってすぐにヤシガニを見に行きました。

そして数分後、寝室に帰ってきて言うのです。
「ヤシガニまたいなくなってるー!」と。

それは嘘だわ。嘘をついてはいけないよ。全然信じずにヤシガニを見に行くと。


イリュージョンか

金網はそのままでヤシガニだけがいないのです。なぜ?

でもよく見てみると、紐が緩くなっている箇所があり、金網が上に動かせるようになっていました。
ビニル紐が擦れてちぎれているところがあったので、何度も何度も突進したのかもしれません。

しかもよくよく見ると、新品だった金網もズタボロにされてる!
金網を切って逃げようとしたのでしょうか。

TVのアンパンマンに子供たちが釘付けになっている間に、昨日隠れていた物置を捜索。

いた!
棚の一番下に隠れていました。

引きずりだすことはできなかったので、棚のものを全部出して(まさかの2日連続)、奥に回り込みます。

捕獲成功!

・隙間があれば逃げられる
・紐でしばったぐらいじゃ何度かのアタックで紐を緩められる
・なんなら金網だって切りそう

この生物を再度家に逃さないようにするにはどうすればいいでしょうか。

2日間の反省を生かして、お盆にお供え予定のビールケースとお米をバケツの上に置きました。
重しの重量は約13キロです。

さすがにもう大丈夫でしょう。

この日は朝の短時間でヤシガニを捕獲できたので、気を良くしてみんなでそのままヤンバルの滝に泳ぎに行きました。その夜に森へ返しにいくつもりが、ヤンバルは遠い。夕方に家に帰った頃には疲れてしまって森へ返しに行く力は残っていませんでした。
ごめんな。ごめんな。明日こそ絶対に森に帰すからな。
ちなみに餌は最初にあげた鶏肉を食べていたのでヤシガニは元気そうです。

 

ヤシガニ逃走 ROUND3

もう大丈夫とは思いましたが、2日間の過信、それはヤシガニは逃げないだろうと思っていたことです。
大丈夫とは思うけど、逃げるかもしれない。3日目の夜、夫は寝る前に重しを置いたバケツごと浴室に入れておいたそうです。
通気を確保するために扉は半開きにして。

夜中の2時頃。突然、寝ていた夫が「ぅおおおおおお!」と叫びました。


足に伊勢エビがあたったそうです

叫んだ理由。それは足元にいたUFOキャッチャーで取ったイセエビを蹴ってしまったから。
たしかに暗闇でイセエビが足に当たったら、ヤツが来た!としか思えないかも。

夫の叫び声で起きてしまった私はリビングへ。
するとお風呂場から、ガサガサ...ガサガサ...ガタガタ..ガタガタガタ...と嫌な音が聞こえてくるのです。
夜行性のヤシガニが本領発揮している!

でも、まぁまさか10キロを押しのけることはないだろう、と思った私が、浴室で目にしたのがこちらの光景。


ガサガサ...ガタガタ..

きてる!!
隙間は小さいものの、そこからビールケースを押しのけて脱出しようとしています。

バケツの底に落とそうにもガッチリと網を掴んでいて離しません。
仕方ないのでギリギリまでビールケースをヤシガニの近くに寄せて浴室を出ました。

もちろん、ぴったりと浴室の扉は閉めて。
そしてそのまま朝が来ました。

浴室を覗くと、当たり前のようにヤシガニは脱出していました。
しかもバスタブの縁を歩いた跡があります。扉をしめておいてよかった!

脱出した隙間。
これを見たら初日の蓋だけ置いた状態なんて、なにもしていなかったのと同じだったんだなと思いました。

 

ヤシガニ森におかえり

息子は最後まで家でヤシガニを飼いたいと言っていましたが、無理無理。お母さんには飼えない。ヤシガニの方が格上だわ。

「ばいばい、ヤシガニ」

そして、その日のうちに森に逃がしました。
やはりヤシガニは家より自然の中の方が似合います。


どうか立派に成長して、子孫繁栄してください

調べると、ヤシガニを飼育するのは相当難しく、脱皮時期に死んでしまうことが多いそう。
ヤシガニにとっても人間にとっても良いことはないので、どこかでヤシガニを見つけてもそっとしておきたいですね。

ということで3日にわたって家でヤシガニに逃げられまくった話でした。
ヤシガニはかっこよかったけど、家のどこかにヤシガニが潜んでいる恐怖はとてつもなく、いなくなったいまはホッとしています。たまにイセエビの置物にドキッとする後遺症はありますが。

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