2025.03.27

【連載】ハブでも分かる!?遺老説伝 Vol.78 蛇に魅入られた娘-3

1740年代に琉球王国の歴史書として編纂された『球陽』の外巻である『遺老説伝(いろうせつでん)』。首里政府が各地に命を出して集めたとされるその内容を、漫画でゆるく描き下してみるという試みです。

『ハブでも分かる!?遺老説伝』とは

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『遺老説伝(いろうせつでん)』は1743年から1745年にかけて琉球王国の正史として編纂された『球陽(きゅうよう)』の外巻で、各地の御嶽や行事の由来、珍しい出来事などを首里政府が各地に命令を出して集めたものとされています。

当連載『ハブでも分かる!?遺老説伝』は、"ハブでも分かる" をコンセプトに、原文(漢文)をそのまま読み解くには難解すぎる『遺老説伝』を、沖縄出身の漫画家・吉元あきこが漫画で描き下してみる、という試みです。ただ、本当にハブでも分かるかどうかはハブのみぞ知るので悪しからず。

*当連載の内容はすべて史実というわけではなく、フィクションが大いに含まれていますのでご了承ください。

第78回『蛇に魅入られた娘-3』

前回のお話はこちらからirou78.jpg

蛇に魅入られた娘-3

娘は、母の袖に取りすがり、涙を流して「不思議なことがございます。夜も更(ふ)けで、寝ようと床につきましたら、部屋中になんとも云えない、香(かん)ばしい匂いがして、幻に彩(いろど)られた着物を着た、美しい少年が、一つの袋を手に持って私の部屋に、はいってきました。そして私の枕元に立つようでしたが、私はそれから気を失って何もわからなくなりました。
月日が過ぎて、身ごもったことを知ったのです。
─こうなっては、汚れた名前を後の世まで残さねばなりません。
今更どうして生きられましょう──と思い、池の中に飛びこんで、この汚れた身を死んで清めようと考えましたが、私には年老いた父母を後に残して死ぬことは、人の道にそむく親不幸の罪として、どっちとも決めることができず迷うのでございます」
涙を流しながら話しました。
その理由を知った母親は「そう云うことと解ったら、あまり心配してはいけない、
ここによい計りごとがある
それは、その少年の様子をさぐって、その結果によって、不名誉の名を雪(そそ)ぎましょう」
となだめ力づけました。
(続く)

『琉球民話集 全巻 球陽外巻遺老説伝口語訳』 P112-113より
琉球史料研究会編(1963年)

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