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【連載】ハブでも分かる!?遺老説伝 Vol.85 妓女と子馬-1
1740年代に琉球王国の歴史書として編纂された『球陽』の外巻である『遺老説伝(いろうせつでん)』。首里政府が各地に命を出して集めたとされるその内容を、漫画でゆるく描き下してみるという試みです。
『ハブでも分かる!?遺老説伝』とは
『遺老説伝(いろうせつでん)』は1743年から1745年にかけて琉球王国の正史として編纂された『球陽(きゅうよう)』の外巻で、各地の御嶽や行事の由来、珍しい出来事などを首里政府が各地に命令を出して集めたものとされています。
当連載『ハブでも分かる!?遺老説伝』は、"ハブでも分かる" をコンセプトに、原文(漢文)をそのまま読み解くには難解すぎる『遺老説伝』を、沖縄出身の漫画家・吉元あきこが漫画で描き下してみる、という試みです。ただ、本当にハブでも分かるかどうかはハブのみぞ知るので悪しからず。
*当連載の内容はすべて史実というわけではなく、フィクションが大いに含まれていますのでご了承ください。
第85回『妓女と子馬-1』

むかし、越来に、四、五名の少年が、妓女(あそびめ)をつれて、お宝瀬ノ地(おたからせの地)に行って面白く遊んでいますと、ほど遠からぬ草むらの中から、子馬のいななきが、物悲しく、救いを求めるように聞えますので早速いって見ますと、案に違はず生れて間もないだろうと患はれる一匹の子馬です。
──可哀そうに、母をたずねて泣いているんだな──
と思いました少年達は、広い野原をあちこちと、母親をさがしてお乳欽ましてやろうとしましたが、その母馬は一向にみつかりません。
──これは母馬のいない小馬だ
と解ると、どうしてよいか途方にくれてしまいました。
折角の遊びも、つまらぬことにフイにするし、骨折り損のくたびれ儲(もうけ)になったので、幼心に残忍性が起きてきました。
「いたづらの限りを尽してなぶり殺してしもうのも面白いではないか」
と一人の少年がいい出すと、皆それに賛成(さんせい)しました。
『琉球民話集 全巻 球陽外巻遺老説伝口語訳』 P181-182より
琉球史料研究会編(1963年)










