2010.10.13

那覇大綱挽の舞台裏を追う

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先日開催された沖縄三大祭りのひとつ『那覇まつり』のメインイベントとして、約27万5千人もの人出で賑わった那覇大綱挽。今回はその、ギネスで世界一の綱と認定されている大綱が国道に設置されるまでの舞台裏を追ってみました。

去った日曜日、ギネスにも認定されている世界最大の綱引き『那覇大綱挽』が行われました。
地元紙によると、今年の人出は約27万5千人(主催者発表)。国道58号線を封鎖して行うこの綱挽きは、地元民に加え軍関係者や観光客などが入り乱れてたいへんな賑わいとなります。
全長200m、総重量45t と巨大なはずの綱が、かなり近づかなければ見えないほどの人の波で埋め尽くされるのです。

そんな大綱挽、本番の様子はテレビや新聞、ウェブ上など探せばあちらこちらで見ることができると思うので、今回はその舞台裏 "大綱が国道に設置されるまで" を追ってみることにしました。
そこには想像していた以上に壮大なドラマがあったのです!

中央分離帯の取り外しが始まった

ー 深夜 0:15 ー

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週末の街がまだ賑わっている深夜0時過ぎ、東西の綱の中心地点となる久茂地交差点を挟み、松山交差点から旭橋交差点の間で車線規制が行われ中央分離帯の撤去作業が始まりました。

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巨大なクレーン車やフォークリフトが何台も並ぶ異様な光景に、飲み会帰りとおぼしきギャラリーもちらほらと集まってきて携帯電話で写真を撮ったりしていました。

この区間の中央分離帯は長さ2メートルほどのコンクリートブロックでできており、なんと着脱が可能。国道58号線の中央に掘られた溝にすっぽりとはまる形になっています。
これは那覇大綱挽専用に設計されたもので全国にも類を見ないことだそう。

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ブロックの穴に頑丈なベルトを通しフォークリフトで持ち上げ、大型トラックの荷台にどんどん積み込んでいく。
この作業を繰り返すこと数十回。時間にして2時間以上に及びました。

ー 深夜 2:30 ー

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溝にたまった砂ぼこりをきれいにほうきで掃いたあと分厚い鉄板をのせ、大勢の人が上に乗っても大丈夫なようにしっかりと溶接が施されます。

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大綱挽きが行われる昼間に道路を見ると、「あれ?この道路は前からこんなだったっけ?」とうっかり中央分離帯の存在を忘れるほどに丁寧な仕事が施されているのです。

ついに大綱が目を覚ます!

ー 深夜 3:20 ー

あらかた撤去作業が終わる頃、大綱が眠っているという空港近くの那覇軍港へ向かいました。

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オレンジ色の街灯に照らされ独特な雰囲気のなかフェンスの向こうに見える大綱は、既にトラックの荷台に載せられ布で覆われ出動の準備が整っていました。

しばらく車の中で待機していると、人気のなかった軍港がにわかにザワつき関係者が集まり始めました。
ゲート前でRBCの映像撮影クルーと一緒にその時を待ちます。

ー 深夜 3:40 ー

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静かに軍港のゲートが開かれました。
暗闇に響く「ゴゴゴゴ・・・ギィィー」という音。高まるドキドキ感。
それからしばらくの間、人や車が出入りしトランシーバーで国道の現場と連絡をとりあったりしていた様子。
大綱にかけられていた白い覆い布が取りはらわれ、いよいよ出発の時が近づきます。

ー 深夜 3:55 ー

低いエンジン音が響き、ヘッドライトが点灯。パトランプを点灯させた先導車に続いて、巨大なトラックがそろそろと動き出しました。

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二台のトラックが続けてゲートを通過。(ちょっと写真では分かりづらいですが、荷台が長く巨大なトラックです。)
暗闇にふんわりと広がる、い草のなんともいえない良い香り。
なんかもうこの時点で感動してちょっと泣きそうになってしまいました・・・。

ー 深夜 4:10 ー

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トラックはゆっくりゆっくり徐行運転で、国道の現場に到着。
それにしても何も知らずにたまたまこの運搬現場に遭遇した人は、さぞびっくりしたことでしょう(笑)

いよいよ大綱の設置作業

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大綱にベルトを巻きつけて巨大なクレーンで釣り上げ、そろりそろりとトラックの荷台から下ろしていきます。
巨大な綱がねじれないよう慎重に、かつ迅速に・・・。
その様子はまるで暗闇でゆらりと鎌首をもたげた大蛇のようにも見え、思わず身震いが。

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ー 深夜 5:15 ー

道路脇には徐々に観衆も集まり出して、近くにいた若い男性がウチナーンチュー独特のイントネーションで「はー、俺こんなの初めて見たよーやー!でーじすごい!龍みたいやしぇー!」と興奮気味に友達と見入っていました。
私は心のなかで「そう、君の生まれたシマはこんな素晴らしい文化を持っているんだよ。」とつぶやいていました。

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今年の綱は今までで一番美しい

ー 深夜 5:35 ー

巨大な綱の設置作業は一歩間違えば大事故につながるので、作業員全員が集中して作業にあたっていることが表情から読み取れます。

最後に頭の部分をクレーンで持ち上げて台に固定するのですが、これがまた難しい様子。

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一度、大綱が台に接触し大きな音をたててひっくり返るというトラブルも。
幸いけが人はいませんでしたが、現場に緊張が走りました。

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ゆっくり、ゆっくり・・・。
なんどもなんども位置調整とやり直しを経て、ようやく女綱の固定が完了。

ー 早朝 6:00 ー

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「だーだー!もっとひっぱれー!」
「こっちにたっくわすんだろ!」

作業疲れや眠気も手伝ってか、語気が荒くなる男たち。
(方言でまくしたてるので詳しい内容は分からないけど。)

男綱の固定が完了する頃には東の空が明るくなっていました。

そんななか、東西の綱を行き来し若手を指導している旗頭の衣装をつけたご老人が。
さきほどのRBCの撮影クルーがインタビューをしていたので便乗してお話を聞いてみました。

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この方は、那覇大綱挽保存会特別顧問東江芳隆さん。御年なんと86歳!

「那覇の大綱は、美しく、大きく、重く、強く、長〜く。御万人(うまんちゅ)の幸せを綱に込めて一生懸命編んだ。今年は今まででいちばん美しい綱が出来ました。本当に素晴らしい。みなさんのおかげで準備から設置まで全て順調でうまくいきました。ばっちりです。」

噂によるとどうも毎年「今年の綱が最高」だとおっしゃっているようだけど・・・(笑)
それだけ、毎年魂を込めて妥協の無い綱作りをされているということなのでしょうね。

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「昨日から眠ってないから眠いんだよぉ〜」と顔をくしゃくしゃにするお茶目な一面も。
本当に頭が下がります。

そして綱は本番を待つ

ー 早朝 6:25 ー

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すっかり夜が明けた頃、ようやく大綱の設置作業が完了。
それぞれの綱で、「今年も無事大綱挽が行われますように。」と御願(ウガン)をして準備は全て終わりなんだそう。

前日までの天気予報とは裏腹に、東の空にはすがすがしい朝焼けが広がっていました。

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一台、また一台と仕事を終えたフォークリフトや巨大なクレーン車が現場を去っていきます。
大綱は何事もなかったかのようにそこに鎮座しているのだけど、大勢の人の夜を徹しての作業によってこの祭りの舞台が作られたのだと思うと非常に感慨深いわけです。

今年も無事、大きな怪我も事故も無く大盛況のうちに那覇大綱挽が終わりました。
作業にあたられたみなさん、本当に本当にお疲れ様でした!
那覇大綱挽きがさらにさらに好きになった長〜い一夜でした。

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